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(1/29)“公開確率”でイチロー選手目指す−−UFJキャピタル
<center><b>中村明社長</b>
中村明社長
 「累計投資社数1400社に対し公開社数が470社。“公開確率”は3割3分5厘。できればイチロー選手の打率くらいに高めたい」――。UFJキャピタルは母体の三和キャピタルが東海銀行系、東洋信託銀行系ベンチャーキャピタル(VC)を吸収合併し、UFJ銀行と同時発足した。初代社長に就いた中村明氏は最高打率3割8分7厘(2000年シーズン)を誇るイチロー選手に新会社の新規公開目標を重ねる。

 公開確率を高めるにはどうすればよいか。中村氏の答えは「審査に掛ける件数を増やせばよい」だ。審査を“練習バッティング”に、投資を“実戦の打席”に例えよう。練習を数多くこなせば実戦で球筋がよく見えてくる。同様に審査件数を増やせば投資担当者の業務経験が増し投資先の見極めができてくる。すると投資先の質が向上し、必然的に“打率”イコール公開確率が上がる、という論理だ。

 投資先が公開にこぎ着けられるか。VCはその目標に向かって業種の成長性や販売戦略、経営者の人柄などを考慮し、あらかじめ審査対象を絞り込む。これが常道だ。審査の手間や担当者の専門を考えれば妥当な話だ。

 しかし中村氏は審査前の絞り込みはしないと決めた。自他VCの投資実績を独自調査した結果、数値はやはり規模の優位を示しており「投資が公開に結びつくかは統計学的問題」と割り切った。中村氏が判断材料を必要とするのは「投資するかどうかの最終決断の時だけ」だという。

 とはいえ実際に審査件数を増やすには担当者の確保が必要だ。そこで従来銀行からの出向に頼っていた人材を外部にも求めた。公認会計士や証券マン、医療・バイオ研究者など様々な経歴を持つ人間を30人採用した。これは手堅い投資回収を優先しがちな銀行出身者の思考にも風穴を開けた。

 審査案件は親銀行の取引先が半数程度、残りは外部採用者や三菱商事、大学の技術移転機関(TLO)との提携を生かし発掘した。01年度に審査に掛ける案件は1200社(合併3社合算)に上る。投資に至るのはその1割に当たる120社の見込み。潤沢な自己資金を背景にファンド(投資基金)方式は採用せず、直接投資一本やりだ。

 投資先の業種構成は多彩だ。2000年度実績を見ると情報技術(IT)関連の25%を筆頭に、システム開発が17%、人材派遣などサービスが16%、将来収益を見込む医療・バイオも14%とほぼ満遍なく分布する。

 実際公開したのは半導体製造装置開発を手掛けるサムコインターナショナルなどで、今年度は合計60社を見込む。今注目するのは広い意味での物流関連で、ネット上で食材取引市場を展開するインフォマート(東京・港)は来年以降期待の1社だ。

 昨今の株式市況低迷でベンチャー企業の公開熱は収まり始めた。しかし中村氏は「今回のベンチャー躍進は単なるブームではない」と分析する。5年後までに大企業が撤退・退場してできた空席をベンチャーが占める構造転換が進むという。ただ「生き残った大企業は相当強い。今後10年牙城を崩すのは難しい」。

 VC業界では規模の大きいUFJキャピタルも“崩されぬ牙城”を築くため公開確率の向上を追求する。買収・合併(M&A)など公開以外にもベンチャー企業育成の視界は開けており、こうした新道に布石を置くことも始めた。ただ収益性の高い新規公開を重視する「本道」を譲る気は当分ない。

(ネット編集部 河野俊)

会社概要
所在地東京都中央区
代表者 中村明社長
設立時期 2002年1月15日(三和キャピタルは1984年8月1日)
資本金 22億円
自己資本 120億円
投資担当者数 約50人
投資社数累計 1400社(うち公開済社数 470社)
[1月29日]
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