「信用金庫は取引先企業の経営者の家族構成さえ把握している」――信金キャピタルの明石栄三社長はこう語る。信金キャピタルは全国8600カ所にある信用金庫の中央機関である信金中央金庫の全額出資子会社。地域に根差した幅広いネットワークを持つ信用金庫から地元の優良中小企業に関する情報を収集、良い案件が見つかれば経営者の話に耳を傾ける。家族構成といったきめ細かい情報を持つ信用金庫ならではの紹介ならば、投資リスクも軽減するという仕組みだ。
各地域の信用金庫と融資などの取引がある中小企業が信金キャピタルの主な投資先。ベンチャー投資に加えて、後継者難などにあえぐ中小企業の合併・買収(M&A)仲介も同時に行うのが特徴だ。7月には横浜信用金庫の取引先で地元の中小企業のM&Aを初めて仲介した。手数料収入が大きい大企業のM&A仲介は都市銀行なども手がけているが、中小企業を対象にしたものは少ない。
信用金庫としても、信金キャピタルにベンチャー企業やM&Aの案件を紹介することで融資など取引拡大につながることが期待できるため、今後もこの動きは加速しそうだ。8月末には70億円の第1号ファンドを設立。信金キャピタルは今後、ベンチャー投資を収益の柱としつつM&Aの仲介や経営陣による企業買収(MBO)なども増やす計画だ。信用金庫からの信頼を得るためにも専門家としてのキャピタリストの強化・育成は急務となる。
信金キャピタルは今年6月に外資系VCのフェニックス・キャピタル・マネジメントを信金中金が買収して設立。その際フェニックスから130億円のファンドと6人のキャピタリストを引き継いだ。同社が抱えるキャピタリスト数は明石社長を合わせて7人。現在外部から専門家をアドバイザーとして数人雇用するために交渉中だが、それでも人員を増やしても20人程度までだという。全国の信用金庫がVCの支店の役目を果たすためで、コスト削減にもつながるからだ。
大手のベンチャーキャピタル(VC)は、ある程度キャピタルゲインが見込める段階からしかベンチャーを支援しない傾向にある。「信用金庫の取引先は宝の山」と言うように、大手VCが動き出す前に有望な企業を発掘することが信金キャピタルの狙いだ。「出資先のベンチャーが船頭で、我々が乗組員。共に助け合う」との理想を掲げ、投資先にも信金キャピタルが「VCとしてどのような形で支援できるか」を明確に示して誠実な関係を築く必要性を説く。
4―5年後にはさらに100億円程度のファンド設立を計画。信金キャピタルの投資先の選定基準はあくまで経営者の「人間性」だ。米国のVCによるそういった投資姿勢を手本にしながらも、信用金庫が持つ細かな情報を活用する独自の道を模索している。信金キャピタルが発足してからまだ3カ月、いかにして信用金庫とのホットラインを築いていくかが当面の目標であろう。(ネット編集部 山本優)
| 会社概要 |
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所在地 | 東京都中央区 |
| 代表者 |
明石栄三社長 |
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設立時期 |
2001年6月 |
| 社員数 |
16人 |
| 資本金 |
4億9000万円 |
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[10月2日]