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NIKKEI NET


企業

更新:2007/12/02


 キャピタリストの眼 VC投資最前線

(6/20)地域経済活性化目指し投資――池銀キャピタル
バイオニクスの須下幸三社長(左)と池銀キャピタルの神保敏明代表取締役
バイオニクスの須下幸三社長(左)と池銀キャピタルの神保敏明代表取締役
 池銀キャピタルは大阪を本拠地とする池田銀行系のベンチャーキャピタル(VC)だ。VC業務を強化した2000年以来、約45社に合計8億円を出資した。これまでに4社が新規株式公開(IPO)を果たした。

 投資先の大半は地元の関西の企業だ。神保敏明代表取締役は「技術力や収益力だけでなく、いかに地域経済を活性化し雇用を生み出す投資になるかという点に注目する」と語る。地元発の新規事業の発掘に積極的で、池田銀行の「助成金制度」と連携して支援を進めている。「助成金制度」は、半期ごとに事業計画を一般公募し、優れたものに助成金を与える制度。中でも特に将来性が高い計画に池銀キャピタルは追加出資もしている。

 生体認証技術のバイオニクス(大阪市)も助成金制度で発掘した企業の1つだ。同社の主力商品は指の静脈パターンの違いを読みとる血流認証装置で、主にオフィスビルやマンション向けの入退室管理システムとして販売している。池銀キャピタルは同社の持つ高い技術力を評価し、今年3月に1000万円を出資した。

 バイオニクスの須下幸三社長が生体認証技術に出会ったのは今から5年ほど前。当時大手商社に勤務していた須下社長は、滞在先の米国で手のひらの形を利用した認証技術を目にする。衝撃を受けた須下社長は生体認証について独学を重ね、帰国後には商社を退社。血管を使った認証技術の開発に取り組み、試行錯誤の末、2001年9月に商品化にこぎつけた。

 現在、バイオニクスが販売に力を入れているのはマンション向けの入退室管理システムだ。「鍵穴のないマンション」(須下社長)として、今秋までに800戸が導入する予定。2005年12月期の売上高は前期比3倍の8億円を見込む。前期は研究開発費が膨らみ最終赤字を計上したが、利幅の大きいマンションの入退室管理システムの貢献で今期は最終黒字への転換を目指す。

 IPOについては「資金の調達力を上げてよりよい製品をつくり、会社の信頼性を高めるためにも、株式を上場・公開する意義は大きい」(須下社長)と意欲的だ。池銀キャピタルの神保取締役も「投資先の出口は必ずしもIPOに限らないが、バイオニクスにはIPOするだけの力がある」と後押しする。

 池銀キャピタルでは企業育成ファンドを活用し、バイオニクスのような地元企業への投資をさらに増やす計画。「今後は1社ごとの出資額を増やすなど、ある程度リスクをとった投資も考える」(神保取締役)と投資規模の拡大を視野に、関西経済の発展を下支えする考えだ。

(NQN・藤田希実)