最近注目しているエレクトロニクス領域に化合物半導体がある。GaN (窒化ガリウム)、AlN (窒化アルミニウム)、さらにSiC(炭化ケイ素) は、新世代の電子部品用半導体の主要材料として注目されている。将来の電子機器やICには高出力・高周波性能や、極悪の環境下または高温下での安定的動作が求められる。材料としての優れた性質から、GaNとAlNデバイスはこれらの条件を満たし、送電や配電システム、航空機、宇宙電子、自動車産業、ハイブリッド及び電気自動車その他様々な高度電気設備や機械などにおいて、米国では工業および軍事ニーズに応えることが期待されている。 以下、関連市場データ、マーケットでの見方を報告する。
例えば、GaN(窒化ガリウム)のデバイス市場は、最近は年複利成長率(CAGR)28%で急速に成長しており、2009年には48億ドルを超えるまでに成長することが見込まれている(下図=TDI社資料)。
とくに半導体照明アプリケーション用の素材として好まれている。GaN高輝度青色やUV発光ダイオード(LED) 、またレーザーダイオード(LD)の成功により、非常に効率よくエネルギー消費量も低くかつ寿命の長い照明源が可能になり、照明業界に革命をもたらしつつある。GaN LEDはさらに携帯電話やPDA、信号機、電光掲示板や看板、またダッシュボードのバックライト、室内灯や最近商品化されたヘッドライトなどの自動車用照明などの用途で急速に市場シェアを伸ばしている。
2002年に、GaNを中心とした光学電子機器市場は初めて1億ドルを超え、2007年には44億ドルを超えると見られている。この市場は青色、緑色と白色LED、ブルーおよびブルー・バイオレットLDとUV検出器で構成されている。米国、日本、台湾では多くのメーカーがこれらのサファイア基板GaN技術を利用してこうした部品を製造している。
2002年3月、日本企業を中心にGaNを基にしたブルーレーザー(405 nm)を使った新しい光学ディスク方式を共同発表した。これにより現在使われているDVDと同サイズのディスク1枚(両面)に27 GBまでの容量を可能にする。その後同様の技術を用いた高密度(HD) DVD ディスクが発表された。これはLD市場の大きな発展を示す一例であり、今後LD市場は2008年には217%のCAGRを保ちながら2009年には9億ドルを越えると見られている。この市場ではサファイア基板GaNテンプレートやその他従来の基板製品は適切ではなく、低不良率のGaN やAlN 基板が適している。このオプトエレクトロニクス分野向けは、1999年の4億2千万ドルから2009年には44億3千万ドルまで成長すると予想されており、年複利成長率26.6%に相当する。青紫色と白色のスペクトルにおいて発光体を生成するGaN(窒化ガリウム)に競合できるような半導体材料はない。
この分野は特に日本メーカーが強い。GaNベースの青紫色レーザーダイオードは、今後、センシング、スペクトロスコピー、ラボでの研究や、ビデオ録画、コンピュータデータ保存、ビデオゲーム用の次世代光記憶装置のような用途に使用されることが期待される。一方、高密度DVD-ROMドライブ(容量:15−50 Gbyte)は、青色レーザダイオードの最大用途であり、従来のDVD-ROM(容量:4.7 Gbyte)やCD-ROMドライブ(容量:0.65 Gbyte)の後継となるだろうと言われている。この市場は2009年に20億ドルを超えるまでに成長すると予想され、これは、2003年から2009年の期間で年複利成長率106.2%に相当する。
GaNベースの紫外線検知器は、今市場参入が進んでいる。光電子増倍管(PMT)のような紫外線検知の既存形式に置き換わるだろう。例えば、PMTの作動範囲を超えるほど大きい振動や温度という環境が考えられる。このような用途は、航空機のジェットエンジンや自動車エンジンの計器である。GaNベースの紫外線検知器に関する合計市場は、2000年の7億ドルから2009年には181億ドルまで成長することが予想されており、年複利成長率120%以上に相当する。
このようにGaN電子装置市場は、今後目覚しい成長を遂げることが期待されているが、当初の市場はもたついた。その主な理由は、電子装置用途に関して差し迫った市場のニーズがなかった(「引き」がなかった)ことである。つまり、現在ほとんどの用途は、シリコンやガリウムヒ素のような従来の半導体により十分対応されている。ところがこの従来の半導体は、新しい電子装置に関して増大する高出力、高温、高周波数という条件を満たすことができない。GaN(窒化ガリウム、さらにAlN:窒化アルミ)の使用により、これらの条件が満たされる。このGaNベースの高出力電子装置への応用には、通信(携帯電話基地局、固定無線基地局、衛星地上局)、電力変換、また産業、軍事、航空宇宙、自動車、航空機システム用の制御と保護が含まれる。
中でも、ラジオ周波数(RF)とマイクロ波への応用は、GaNデバイス市場において最大のシェアを占めることが予想されており、市場規模は2009年には2億ドルに達するとされる。無線基地局の電力増幅器のような個別のトランジスタ−は、この市場の大半を占める。その他マイクロ波への応用の可能性としては、衛星地上局が挙げられる。
◆氏家 豊氏◆
SBFコンサルティング代表。日本国内でIPO、VC投資、M&A関連業務に携わっていた当時から、シリコンバレー代表企業の日本法人を担当。日本の研究・技術計画学会会員。SBFは、ソフトウェア、コンピュータ・ネットワーク、その他エレクトロニクス分野に亘って、主に日系企業向けに技術R&D、製品開発、その後の資本提携・企業投資を含む事業開発段階のサポートを行うリサーチ&コンサルティングチーム。
http://www.sbfconsulting.com/東北大経卒。 |
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