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更新:2009/07/02 (1/22)バブル期を迎える環境ビジネス(石戸 太氏)
イリノイ州はコーンベルト地帯と呼ばれる農業の盛んな地域。今、この地域の農家はトウモロコシの豊作と需要増による価格高騰で収入が増加している。
農務省によれば、全米の昨年のトウモロコシ作付面積は3,142万haで拡大傾向が続いている。米国は世界の約4割を生産する最大のトウモロコシ生産国。コーンベルト地帯は全米の約8割を生産しており、この地域にはトウモロコシを原料にしたエタノール製造工場が集中する。政府は2012年に75億ガロンのエタノールを生産するという目標を掲げていたが、来年末頃には目標を達成しそうな勢いなのだそうだ。しかしこの量のエタノール生産には原料のトウモロコシが約711億トンも必要とされるため、多くの農家が大豆からトウモロコシ生産にシフトしているとのこと。
燃料として注目されているエタノールだが、米国でその原料の中心となっているトウモロコシは、当然食料や飼料になる。原料確保のためには飼料・食用とされていた分を減らすことになるため、それが価格高騰につながるとして懸念する声もあがっている中、それでもエタノールは新しいビジネスの種を探し続けるシリコンバレーで注目されつつある。
IT業界での成功者達は、環境対策にも熱心に取り組んできた。例えばマウンテンビューに本社を置く検索大手のGoogleは以前から環境対策に熱心で、ガソリン価格の高騰で大人気のトヨタのハイブリッド車プリウスの購入に補助金を出す、太陽電池を設置するなどの取組みを行っている。
マイクロソフトは、同じマウンテンビューにある同社社屋の屋上に太陽電池を設置して電力の約15%を得ている。本社のあるワシントン州と違いシリコンバレーは年間を通じて晴天が多いためにできることだそうだが、他にも公共交通機関の利用促進を図り、高度な給水設備で水の使用量を減らすなど環境対策に熱心だ。ビル・ゲイツ会長が出資する投資会社Cascade Investment社はバイオエタノール製造のPacific Ethanol社に8400万ドルを投資しており、やはりエタノールに対する視線が熱い。
当然、投資家達も群がり始めている。エネルギー関連の投資額は2005年の400億ドル強に対して2006年には倍の800億ドルを超えると見込まれている。エタノール生産には生産量以上のエネルギーが必要とか、実は新たなバブルなどといった懸念はあるものの、カリフォルニア州知事のシュワルツェネッガー氏が積極的なエネルギー政策をとっていることもあり、熱狂はしばらく続きそう。もしバブルなら、さしずめアルコールバブルといったところだろうか。本当だとすると、かなり悪酔いしそうだ。
日本では、大成建設や丸紅など5社が出資するバイオエタノールジャパン・関西が、大阪府に世界初の廃材を原料としたエタノール工場を完成させたことが報道された。年間1400キロリットルの生産能力を有し、2008年には4000キロリットルまで増産する計画というこの工場の木材発酵技術は米国から導入されているとのこと。農業の競争力が低い日本で農作物を原料にするのが非現実的であることは容易に想像でき、廃材等の利用は当然と言えよう。従って、ホンダが開発に成功したという稲藁等からエタノールを生産する技術などは極めて有望である。しかし、技術だけで十分ではない。
日本の環境関連技術では、リサイクル技術が優秀と言われている。技術高度化の背景には、廃品回収という住民一人一人が取り組む社会活動があったように思う。日本では道路わき等に雑草が茂っている様子があちこちで見られるが、開発された技術にはこうした雑草を原料としてエタノールを生産できる可能性がある。廃品回収と同じやり方で雑草を回収し、環境美化とエネルギー対策を同時に実現することも可能になるはずだ。
技術開発やビジネスに酔いしれるだけではなく、昔から地道に取り組まれてきた社会全体で支えるリサイクル活動が、日本の根幹となるエネルギーをも支える、そんないかにも日本的に思えるエネルギー対策というのも、環境保護運動としては面白いかもしれない。
※「海外トレンド」は、米国シリコンバレーでベンチャー企業関連のコンサルティングや情報収集に携わる日本人ビジネスマンによる現地からの最新情報を中心に、海外各地のベンチャー企業の動きを紹介するコーナーです。
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