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次世代通信網、2年後構築――信頼性・柔軟性 安価で両立
和田 紀夫氏和田 紀夫氏
NTT社長
 我々は今、「ブロードバンド(高速大容量)」で「ユビキタス」なネットワーク社会を形成しつつある。

 人類は遠く離れた人同士の遠隔型コミュニケーションにおいて、時間と距離をどう克服し、いかに情報量を多く送受信するかという戦いを勝ち抜いてきた。江戸時代は飛脚がその役割を担い、郵便、電報、電話と進化したが、ブロードバンド通信時代を迎え、我々は新たな革命のステージに立っている。

 ネットワークの変遷についてみると、(1985年の)通信市場の自由化以前は、国内通信は日本電電公社、国際通信はKDDと2社に色分けされていた。しかし、固定電話、移動電話で参入が相次ぐ。続いてNTTは99年の再編成を経て地域網、長距離網、国際網そして移動網に分かれ、それぞれ相互に接続し合う複雑な形態となった。

 だがインターネット時代はケタが違う。事業者は1万社を超え、ネットワークの構造は一層複雑となり、収拾がつかないほどだ。

 ネットワークの主役は電話からIP(インターネット・プロトコル)に変わろうとしている。ただ、インターネット上で情報量の多い映像を交換するという点では技術的にまだ未熟だし、いつでもどこでもコンピューターを自由に活用する点でも制限がある。

 ネットワークはまだ過渡期にある。例えばNTTが提供してきた電話のネットワークは高い品質と安全性、信頼性を持っているが、コストが高く、柔軟性がない。一方、急成長するIPネットワークは低価格で柔軟性はあるが、確実に相手に情報を送る信頼性は低い。電話網の障害はほとんど発生しないが、インターネットが不通になるなどのネットワーク・システム障害は少なくない。

 そこで我々はブロードバンド時代の新たなネット戦略を「“光”新世代ビジョン」という形でまとめた。

 NTTは2005年をメドに光ファイバー網を活用した「RENA(レナ)」と呼ぶ次世代ネットワークを構築する考えだ。「RENA」は電話網の持つ品質と信頼性に加え、IP網の持つ柔軟性と低価格を兼ね備えた通信網で、大容量の映像や音声を双方向で自由にやり取りできる。

 光ファイバー網を活用するのは通信速度が伝送距離に左右されず、双方向通信手段として最適だからだ。波長多重技術により、一本の光ファイバーで多様な使い方も可能だ。現在急成長しているADSL(非対称デジタル加入者線)は情報をダウンロードして収集するには有効だが、情報を送る「上り」の速度が遅いため、コミュニケーションツールすなわち情報交換型の手段として最適とはいえない。  光ファイバー網を活用したIP網にも2つの大きな問題点がある。1つは地震や火事など災害時の通信確保の問題であり、もう1つはサイバーテロなど外部からの攻撃だ。1月下旬にも世界規模でインターネット障害が起こったが、改めて個人のプライバシーが侵害されるのではないかという不安感をかき立てた。

 セキュリティー対策が不可避となっているが、「RENA」では悪意の通信が大量に発生した場合も、送信元を自動的に追跡し、ネットワークへの流入を防ぐシステムを考えている。

 これは「ムービングファイアウォール」と呼ぶシステムで、攻撃元に最も近い装置に防衛プログラムをダウンロードして攻撃を抑止し、被害を局所的に抑える。また悪意のデータを正確に識別して通信を制限し、攻撃を封じ込める一方で、通常の利用者の通信を確保するというやり方だ。

 NTTの使命はネットワークのぜい弱性を克服することだ。アジアなど世界各国の通信事業者と協力し、サイバーテロや地震など災害時にも強いネットワークを構築していきたい。

[3月31日/日本経済新聞]
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