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特別セッション 「e−アジア発展への協調と競争」
日中韓、普及へ重い役割
「e−アジア発展への協調と競争」をテーマに討論する(左から)梁承澤、董雲庭、月尾嘉男の各氏(19日午前、東京国際フォーラム・ホールC)
 「e―アジア発展への協調と競争」と題したセッションでは、韓国電子通信研究院の梁承澤・客員研究員(元情報通信大臣)、中国電子情報産業発展研究院の董雲庭会長、総務省の月尾嘉男顧問がアジア全体の情報技術(IT)インフラの構築や電子商取引の普及に向けた課題を議論した。司会は後藤康浩・日本経済新聞社編集委員兼論説委員。

 司会 韓国、中国、日本のブロードバンド(高速大容量)通信の現状や国際協力への考え方を聞きたい。

  韓国のブロードバンドは昨年10月末までに全人口の21%に相当する人が利用するようになった。普及率は世界でナンバーワンだ。韓国政府は1997年に非常に厳しい経済状況に陥ったが、失業者などに大規模なインターネット教育を提供し、経済状況を改善してネット関連の市場も大きくした。市場の競争が激しいこともサービス向上を促した。

 国際協力を促進するには各国の経験などを共有すべきだ。地域として(技術などの)標準化団体をつくることも大事だ。アジアから世界に対し色々発信していきたいと思う。電子商取引にも焦点を当てる必要がある。

 月尾 日本はネット接続型の携帯電話では世界の先端を行くし、韓国や中国と合わせて世界的に情報分野で進んだ地域になってきた。ただ広大なアジアで見れば、まだ域内には大変な格差がある。アジアには多様な言語があるが、世界のネット利用者の使う言語は英語に偏っている。日本はアジアでの情報技術の普及に向け、積極的に協力したい。APEC(アジア太平洋経済協力会議)など従来からある組織も活用し、アジアがこの分野で将来けん引役を果たせるようにしたい。

  日中韓にはそれぞれ強みがある。日本は80年代に比べると強みは少し落ちたが、技術や人材は一流。韓国は何事にも負けない気概を持ち、金融危機などの困難を乗り越えた。中国は市場が大きく労働力が安価という以外に、全体の労働の資質も高まっている。この三国の間に技術や法規などで違いがあるのは否めないが、協力に向けた努力が必要だ。

 司会 日中韓がアジアの通信環境の整備向上に果たせる役割は。

  カンボジア、ラオス、ベトナムなどの国々と我々の状況は大きく違う。カンボジアなどはまだ基本的な通信機能が不足している。これらの国では、家庭間を接続するためのネットワークを真剣に考えなければいけない。まず最初は電話だ。電話があれば、次にブロードバンドへと発展できる。まずは電話回線に対する支援活動を行うべきだと思う。

  「e―アジア」を建設するための条件は、各国が自国の産業に対して過保護にならないことだ。中国のIT産業が早く発展したのも開放政策を実施したからだ。さらに重要なのはスタートを切ること。「やりましょう」とただ口で言うより、一歩でも実際に踏み出す方が有効。経済発展のバランスが取れていないので難しいが、例えば遠隔教育や遠隔医療の分野では、協力を始めることができると思う。

 月尾 アジアで日本、韓国、中国がやるべき事の1つは技術などの頂点を高めること。「いつでもどこでも」型のユビキタスネットワークなど次の情報社会をにらみ、日韓中は新たな挑戦をすべきだ。

 同時にピラミッドの底辺を安定させる必要がある。我々は遅れた国々に対し、従来よりも一歩先を行く視点で支援する方が良い。例えば電話による(遅い)ナローバンドのインターネットにするのでなく、ブロードバンド型のネットを提供する。教育も重要だ。一人一人が新しい技術を使って良かったと思えるようにしないといけない。

 司会 途上国では従来の固定回線を各家庭に引くのか、一気に無線にするのかが問題になる。

  考えなければならないのは、すでに固定回線が必要な施設には導入済みだということ。音声通信に比べ、データ通信の価格がまだまだ高い東南アジアの発展を考えると、基本的なサービスは電話サービスという形で提供する方が経済性がいい。ただ対応の方法は色々ある。

 月尾 国によって事情は違う。大変な数の島がある国もあれば、深い山や谷があって、簡単にネットワークを引けないところもある。その国の条件に合わせて何を選択するかを色々な形で手伝うのが基本だ。だが、単に従来型の技術を追いかけるだけが戦略でないことを認識すべきだと思う。

 司会 中国のユビキタスへの取り組みは。

  中国のデスクトップ型パソコンの生産台数は世界一。ここ2年間パソコンの需要は非常に旺盛だ。だから今後数年はものすごい勢いで発展し、「どこでもいつでも」というユビキタス状況には2年くらいで進むと思う。

 司会 韓国ではオンラインショッピングなど電子商取引が急速に拡大している。

  こういう状況は私も予想しなかったので驚いた。様々なサービスを試して初めて何が成功するかがわかる。試行錯誤のプロセスをもとにして展開したのが良かった。数年前からの規制緩和などの施策も効果があった。インターネットで何か注文して、その商品が気に入らなければ、返品が可能になった。eビジネスは納得のいく状況で展開しないといけない。

 司会 一方、日本では韓国のような電子商取引の発展は見られない。

 月尾 確かに韓国の方がこの面の評価は上位にある。私は少し先を見通して、電子商取引を進める必要があると思う。1つは分散型の社会をつくるためだ。19世紀から20世紀に世界的に人口が都市へ集中し、都市にも地方にも多くの問題が起きている。もう一点はアジアに新しい経済圏をつくる視点だ。電子商取引をブレイクスルーとして広域経済圏づくりへ、日中韓の三国がぜひ協力すべきだと思う。

 司会 アジアの電子商取引の共通のプラットホームづくりは。

  まだ難しいところがあると思うが、東アジアであれば、相対的に容易ではないかと思う。自由貿易圏の話は私も賛成だ。今後、日中韓の間で電子署名の認証とか基準などの問題について、機構のようなものを通じて調整していく必要があるだろう。例えば返品した場合に、どのように関税を戻すかといった問題もある。

  国々の間にまだ貿易障壁があることを認めなければいけない。もし障壁がなければ、共通のプラットホームは簡単につくることができると思う。電子商取引と自由貿易は車の両輪だ。ただ韓国と中国は慎重な態度にならざるを得ない。日本に比べてまだ若い経済国だからだ。しかし何年後かはわからないが新しい時代は来ると思う。

 例えばオンラインショッピングの返品時の施策は、世界で歩調が合っているわけではない。こうした様々な問題を洗い出して協議するため、まずは日中韓の間で対話を持つことが重要ではないか。

[3月31日/日本経済新聞]

パネリスト
梁 承 澤氏 韓国電子通信研究院 客員研究員(前情報通信大臣)
董 雲 庭氏 中国電子情報産業発展研究院会長
月尾 嘉男氏 総務省顧問
司会
後藤 康浩 日本経済新聞社産業部編集委員兼論説委員
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