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セッション1 「ワイヤレス技術の新しい潮流」
無線インフラ整備進む――携帯電話、融合へ進化
「ワイヤレス技術の新しい潮流」をテーマに討論するパネリスト(18日午後、東京国際フォーラム・ホールC)

 「ワイヤレス技術の新しい潮流」と題したセッションでは次世代のネットワークを構築する上で今後ますます重要になる無線通信システムをテーマに取り上げた。国内外の通信事業者の経営トップを招き、無線の技術動向や取り組むべき課題について活発な議論を繰り広げた。司会は関口和一・日本経済新聞社編集委員兼論説委員。

 司会 無線通信の環境は今後どうなるのか。

 津田 (携帯電話の)第三世代以降では高速・広帯域の通信システムを必要とするコンテンツ(情報の内容)を提供する。日本の第二世代では(他の通信規格と互換性がない)日本固有の規格でネットワークが構築された。第三世代では海外標準の規格を採用したが、両システム間に技術的な親和性が少なく、全国規模で新たなネットワーク作りに取り組んでいる。

 そのためには時間と投資資金が必要だが、第三世代までが限界。今後は既存と新規のネットワークを簡便につなぐ技術が大事だ。携帯電話のネットワークと(基地局や有線網を必要としない)『アドホックネットワーク』を融合する技術もカギとなる。

 和田 日本でブロードバンド(高速大容量)通信が普及するには集合住宅向けの対策が不可欠だ。集合住宅では光ファイバーを引き込んだり、ADSL(非対称デジタル加入者線)を使うにも内部を改修する。当社はビルに置かれた中継器から周囲のマンションに電波を送信する方式などで無線サービスを提供している。(集合住宅向け対策として)無線は有力な手段と考える。

 免許が不要な2.4ギガ(ギガは10億)ヘルツ帯の無線通信は問題も抱える。機器の価格が高く、そろえにくいため、サービスを安く提供するのが難しい。また研究所や医療施設からのノイズをおさえるため、スピードを若干犠牲にしている。今後は毎秒1.5メガ(メガは100万)ビットのスピードでは10分満足できなくなるかもしれない。近い将来には5ギガヘルツ帯を使い、ADSLをしのぐ通信速度の無線接続サービスも考えている。

 司会 技術面では常に新たな動きが出ている。

 デイビッドソン スカイパイロットのメッシュ型の無線通信では利用者の電波が直接、基地局に届く必要はない。障害物があって電波が基地局にとどかなくても、他の利用者を経由してインターネットに接続できる。一部の(ネットワークへの接続点となる)ゲートウェイが故障した場合、他のルートを通って通信する。

 無線のメッシュ型ネットワークでは利用者が増えるほど、通信速度が速くなり容量も増える。利用者間での通信距離が短くなり、より多くの通信データの通り道が提供されるからだ。利用者がネットワークを構築するため、保守費用は他の無線システムに比べて少なくて済む。

 ケルンホファー ネクストネットの通信技術では世界で最も人口密度の高い地域であるメキシコシティで、1800平方フィートの面積をカバーした。また、メキシコシティや東京のように高い人口密度の地域だけでなく、低密度地域での実証実験も進めている。当社サービスは機器を家庭に設置すれば高速ネット接続がすぐ使え、コストも大幅に軽減できる。

 司会 第三世代携帯電話、FOMAの現状と無線LANの可能性は。

 津田 2001年10月に始めたFOMAは当初想定した数値に届いていない。映像、高音質の音楽などどんなコンテンツが“キラー”になるか見えないのが原因の一つ。これを解決するには携帯だけではだめでブロードバンド市場全体が広がる必要がある。第三世代と無線LANは競合するとの見方もあるが、NTTドコモも昨年7月から無線LANサービスを始めたように補完関係と考えている。

 和田 無線LANが使えるホットスポットは適正な場所を選ぶ必要がある。パソコンを持ち歩くのが不自然ではない、パソコンを使う時間がある、ネットの意味ある使い方ができる――などが重要だ。今の携帯電話はメールが主力コンテンツだが、映像、音のコミュニケーションツールとして進化するだろう。携帯電話がパソコン並みのインターフェースになり高速化すればホットスポットは不要になるかもしれない。

 ケルンホファー 第三世代のデータ通信能力は利用者ニーズを満たすには不十分。そのため携帯と無線LANのネットワークの融合が進んでいるわけだ。

 司会 ドコモは第四世代携帯をどう定義づけているのか。

 津田 日本では1979年にアナログの自動車電話が実用化され、ほぼ20年で第二世代に移行。それから10年で第三世代が始まった。第四世代はより短期間で移行するかもしれない。第四世代は毎秒100メガビット程度を目指して研究開発している。また、少ない基地局で高速・広帯域サービスを実現することも課題だ。

 ケルンホファー 欧米では基本的に第三世代は導入されないだろう。技術の問題よりも世界経済の悪化が響いている。大手通信会社は新たなインフラ投資ができない。

 司会 メッシュ型ネットワークと第四世代携帯の関連は。

 デイビッドソン メッシュの発想は電気通信業界からではなくコンピューター技術者から出てきた。政府が関与する通信業界に比べコンピューター産業は非常に速く変化する。メッシュは電気通信事業をより速く変革させたいという立場から生まれた。

 司会 メッシュは新しいバックボーンとして従来のツリー型通信網に取って代わるだろうか。

 デイビッドソン そう思う。80年代半ばにAT&Tはパケット通信の普及を望んでいなかったが結局普及した。インターネットが広がったのは世界各地の大手通信事業者がネットのバックボーンを構築し管理したからだ。無線メッシュも同じで、無政府状態では広がらない。

 司会 免許不要な周波数を使った無線サービスに携帯電話が脅かされるとの危機意識はあるのか。

 津田 ないと言えばうそになる。固定電話が携帯電話に利用者を奪われたように、我々も同じ壁にぶち当たるだろう。固定の経験があるので、よりいい解決方法を見いだして進んでいきたい。我々はモビリティー(移動性)を最重視していく必要がある。

 デイビッドソン もし全米で光ファイバーを各家庭まで結ぶファイバー・ツー・ザ・ホーム(FTTH)をやると2000億ドル以上のコストがかかる。メッシュの場合、無線LANを使えば2億ドル程度で済む。コストはこれからも下がっていく。米国には免許不要の周波数帯を欧州と歩調を合わせて広げていこうという考えがある。DSL(デジタル加入者線)、ケーブルテレビ(CATV)回線に続く3番目の競争力のあるブロードバンド回線として有望視されているのが無線周波数だ。

[3月31日/日本経済新聞]
パネリスト
津田 志郎氏 NTTドコモ副社長
ダンカン・デイビッドソン氏 スカイパイロット・ネットワーク会長(米国)
和田 裕氏 スピードネット社長
ガイ・ケルンホファー氏 ネクストネット・ワイヤレス社長兼CEO(米国)
司会
関口 和一 日本経済新聞社産業部編集委員兼論説委員
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