世界情報通信サミット2000
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セッション1

「モバイルとデジタル家電が拓く新ビジネス」

デジタル格差解消の手段

 司会 デジタル社会は我々に様々なインパクトをもたらす一方、デジタルデバイド(情報化に伴う経済格差)という新たな問題をもたらした。米国ではパソコンやインターネットが普及したといわれるが、年収7万5000ドルの家庭では5割以上がネットに接続しているのに、年収が低い家庭では5%程度。インターネットでより良い就職機会を得たり、電子取引で新しい利益を得たりすることで、この格差は拡大再生産される。

 デジタルデバイド問題を解消するのに、モバイルとデジタル家電はどのように貢献できるのだろうか。

 ドワティー デジタルデバイドの問題を解消するためには、すべての人々をコンピューターの専門家に仕立て上げる必要はない。非常に簡単な双方向のアクセスを提供するだけで10分解消できる。

 レジャーを主な用途とするテレビなら、ごく自然に双方向性を楽しむことができる。ニュース、気象、仕事の情報に限らず、双方向の教育プログラムや電子商取引もその象徴だ。またテレビは既存の大きな産業であるだけに我々が努力し、協力すれば、容易に技術革新が可能だ。すなわち、双方向テレビはデジタルデバイド解消のための橋渡しになり得る。

 将来のデジタルテレビの新技術は衛星放送や通常の放送でも十分であり、ハイビジョンを待つ必要はない。主要なサービスの多くは将来同じような形態をとることになる。最終的に考えねばならないのは、あらゆる人々に情報が届くということだろう。

 小野寺 デジタルデバイド問題の大部分は、モバイルの世界で改善されていく。次世代の携帯電話「IMT―2000」は音声機能よりも、ネット接続機能が主体になるだろう。ネットに接続している端末の数は、今後1-2年間で携帯電話の方がコンピューターより多くなるはずだ。

 携帯電話を使った新しいビジネスは既にできつつある。NTTドコモにしてもDDIにしてもデータセンターに相当する機能を備えている。コンテンツさえ供給されれば決済システムなどをサービスすることが可能だ。デジタルデバイドというと分裂される側にばかり目がいきがちだが、ビジネス面からみると、従来は大企業しかできなかったビジネスを中小企業や個人が興せる可能性が高くなったと言うことができる。

ヨルマ・オリラ氏
 オリラ NTTドコモのiモードの成功は我々に大きなヒントを与えてくれた。消費者はモバイルの可能性に魅力を感じており、ネット接続機能を付加することで様々な情報を提供できる。デバイスの多くは今後、携帯電話のような形に近くなる。2003年までにはデスクトップでネットに接続しているデバイスよりも、ワイヤレスでネットに接続しているデバイスの方が多くなるはずだ。

 古川 携帯電話の台数が今後も伸びるのは間違いないし、パソコンよりも大きな市場に成長するのは大いに結構。ただ、数の勝負ばかりに目を奪われていると、競争の中で負け組に入る。携帯電話は携帯電話だけ、パソコンはパソコンだけと閉じた世界を作ってしまえば、醜いデバイドが起こる。

 デジタルの衛星放送が家庭に入ろうとしている。ただ放送業界がインターネットを廃絶し、閉じたシステムを作れば、日本のテレビだけが「デジタル紙芝居」とでも呼ぶべき特殊なものになりかねない。重要なのは個々のデバイスを個別にデバイドさせないことだ。異なる業界の企業でデータや仕事を共有し、消費者がどのデバイスでも買い物や決済ができるような仕組みを作っていく必要があるだろう。

モバイル、EC普及の起爆剤

ネットで広がるデジタル家電

開かれた標準カギ

<パネリスト>
ヨルマ・オリラ ノキア会長兼CEO
小野寺 正 第二電電代表取締役副社長
ブライアン・ドワティー 米ウィンク・コミュニケーションズ社会長
チャック・パリッシュ 米フォンドットコム社執行副社長
古川 享 マイクロソフト代表取締役会長
アンディ・グリーン BT戦略・事業開発担当グループ・ディレクター

<コーディネーター>
関口 和一 日本経済新聞社編集局産業部編集委員兼論説委員

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