世界情報通信サミット2000
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森下洋一
「ネット家電が拓(ひら)く新たな世界」

森下洋一
松下電器産業代表取締役社長
「インターネットは家電による第2世代へ」

 「ネット家電が拓く新たな世界」と題した講演で松下電器産業の森下洋一社長は「インターネットは従来のパソコンをベースとした第1世代から、ネット家電による第2世代に移行しつつある」との見解を示した。そのうえで、だれもが時間と場所にとらわれずに情報ネットワークを利用できる「ユビキタスネットワーク社会」を提唱した。

 森下社長が講演の基軸にすえた「ユビキタスネットワーク社会」とは、「どこでもいつでも、だれもがネットワークにつながった情報端末を利用できる、高度な情報ネットワーク環境」が形成された社会だという。「ユビキタス」はラテン語で「同時にいたるところに存在する」を意味する。このような社会においては、情報機器を使えるかどうかで生活や経済面での格差が生じる「デジタル・デバイド」の解消が必要だとして、「その役割をネット家電が担う」と述べた。特に(1)機器の日用品化(2)わざわざ使い方を学ぶ必要がないようなインターフェースの良さ(3)情報流出などのリスクに対するセーフティ・ネット(安全網)−−の3点が重要だと語った。

 森下社長はそれに先立ち、家電のデジタル化の流れを紹介。ITや放送・通信の進歩に伴う「デジタル・ネットワーク家電(ネット家電)」の急速な発展は、制御用のマイコンを埋め込んだ「コントロール家電」、CD(コンパクト・ディスク)を筆頭とする「デジタル・メディア家電」とは一線を画した「不連続で革命的な変化」だという見解を示した。そのうえで「ネット家電につながる第2世代のインターネットがこれから登場する」として、「ネット家電を基軸に、さまざまなネットワークを介して多様なサービスが家庭やモバイル環境で続々と生まれる」と語った。

 家庭環境については、同社が提唱している「HII(ホーム・インフォメーション・インフラストラクチャー=家庭情報基盤)」を紹介。「ネット家電をプラットホームとして、安全や健康管理など暮らしに関わるさまざまなサービスやソリューションがネットワークを通じて提供されるようになる」と説明した。モバイル環境については「iモード」のような新しい携帯電話サービスを筆頭に、デジタル放送や無線通信接続技術「ブルートゥース」などの登場で、「さまざまな携帯機器がネットワークに接続し、多種多様なサービスを享受できるようになる」と述べた。中でも、教育や健康医療、環境分野でのITの活用が今後の世界にとって重要になってくるとの見解を示した。

 最後に、同社の創業者である故・松下幸之助氏の「水道哲学」に言及。「水のように安価な物資をたゆまず社会に届ける」という哲学を新たな時代に即して考えると「デジタルネットワークが水道、そこを流れる情報が水」だと語った。インターネットなどのツールを使って「ものの提供による豊かさの追求に加え、価値ある情報つまり叡智を広く安価に世界に届ける」という新時代の企業哲学を披露。デジタルネットワーク時代に向けて「どんな社会を作りたいのかというビジョンと哲学が重要になってくる」としたうえで、「バーチャル(仮想的)な社会ではなく、安心で健全で豊かなリアリティのある社会作りにまい進すべきだ」と主張した。(マルチメディア編成部)

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