オバマ米新政権誕生

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(2/24)オバマ米大統領の議会演説内容(全文)

 オバマ米大統領の24日の議会演説の全文は次の通り。

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大胆かつ賢く行動する

 (下院)議長、副大統領、議員の方々、そして(妻である)ファーストレディー。私は今夜、この議場にいる皆さんだけでなく、我々を議会に送り出した国民に向けて率直に、そして直接語りかけるためにここに来た。

 多くの米国民が自国の経済に対して大きな懸念を持っている。まさにそうなのだ。皆さんは個人的にこの景気後退の影響を受けていなくても、友人や隣人、家族の誰かが影響を受けていることを知っているはずだ。我々の経済が危機にあることを知るために各種の統計を聞く必要はない。

 なぜなら、皆さんは日々(危機に)直面しているからだ。不安を抱えて目を覚まし、夜も眠れない原因だ。(定年まで勤め上げてから)退職しようと考えていたのに失ってしまった仕事。夢をかけて築き上げたビジネスは今では1本の細い糸でつながっているにすぎない。子供は大学の合格通知を封筒に戻さなければならなかった。この景気後退の衝撃は現実のもので、そして至る所にあるものだ。

 我々の経済は弱体化し、自信が揺らいでいるかもしれない。困難で不確実な時代に我々は生きているが、今夜、私はすべての米国民に次のことを知ってほしい。

 我々は(国家を)再建し、復活し、米国はかつてよりも強力になってよみがえるだろう。

 今回の危機の重大さがこの国の運命を決めるのではない。問題に対する解決策は我々の手が届くところにある。解決策は私たちの実験室や大学に、農地や工場に、そして起業家の想像力や世界で最も勤勉な人々の誇りのなかにあるのだ。

 アメリカに人類史上最も強力な進歩と繁栄をもたらしたこうした資質を、我々は今でも十分持っている。現在この国に求められているのは、団結し、直面する困難に大胆に対処し、もう一度、将来に対して責任を持つことだ。

 もしも我々が自分自身に正直であるならば、あまりにも長い間、政府も個人も必ずしも責任を果たしてこなかったことを認めざるえをえない。私は非難したり、後ろ向きなことを言ったりしているのではない。現在の状況にどのように至ったかを理解することによってのみ、我々はこの窮地から抜け出すことができるのだ。

 事実として、我々の経済は一夜にして衰退したのではない。また、我々の問題は住宅市場の崩壊や株式市場の低迷だけによって引き起こされたのではない。我々は数十年前から、我々の生存が新たなエネルギー源を発見することにかかっていることを知っていた。しかし今日、我々はかつてよりも多くの石油を輸入している。健康保険のコストは毎年、我々の貯蓄を食いつぶしながらも、改革は遅れたままだ。我々の子供たちはグローバル化する経済のなかで職を求めて競争していくことになるが、我々の多くの学校はこのことに対する準備ができていない。これらの問題が未解決であるにもかかわらず、個人も政府もかつてよりも資金を消費し、負債を増やし続けている。

 言い換えると、我々は短期的な利益が長期的な繁栄より重視される時代を過ごしてきた。そこでは、差し迫った支払いや次の四半期(決算)や次の選挙の先のことを考えることを怠った。財政黒字は、我々の将来に投資する機会ではなく、富を富裕層に移す口実となった。短期の利益を得るために、規制は骨抜きにされ、健全な市場は失われた。銀行や金融会社は悪質なローンを押し付け、人々は支払い能力がないことを知りながら、住宅を購入した。そしてこれらのさなかずっと、重要な論議や難しい決定はいつかまた別の日にと後回しにされた。

 過ちをただすときが来た。我々の将来を自らの手で導くときだ。

 今は大胆にかつ賢く行動するときだ。経済を回復させるためだけでなく、持続的な繁栄の新しい礎を築くために。我々は赤字を削減するという難しい選択をしなくてはいけないが、今は雇用を一気に創出し、融資を再開し、エネルギーや医療保険、教育など経済を成長させてくれる分野に投資するときだ。それが私の経済政策の狙いであり、今夜皆さんに話したいことだ。

350万人の雇用創出

 雇用についての課題から始める。

 私は就任してすぐ、プレジデントデー(今年は2月16日)までに、人々が仕事に戻り収入を得られるための景気対策を可決するよう議会に求めた。それは大きな政府を信じているからではない。私は大きな政府を信じていない。我々が引き継いだ巨額債務を気にしていないからでもない。そのことについては私は気にしている。

 私は行動を求める。なぜなら、もし行動しなければ、より多くの仕事が失われ、より多くの困難をもたらすからだ。事実、行動していなかったら、何年にもわたる低成長をもたらし、その結果として長期的な赤字を悪化させていただろう。これが、私が迅速な行動を求めた理由だ。今夜、私は議会が結果を生み出したことに感謝し、大型景気対策法が成立したことをうれしく思う。

 景気対策は今後2年間で350万人の雇用を救い、または創出する。それらの雇用の9割以上は道路や橋を建て直したり、風力発電機や太陽光パネルを設置したり、ブロードバンド通信網を敷設し大量輸送機関を拡充したりといった民間部門の仕事だ。

 景気対策によって、雇用が保たれ、子供たちの教育ができる先生がいる。介護従事者らは病気の人たちを世話し続けことができる。レイオフされそうになっていた57人の警察官が今夜ミネアポリスの道路に立つことができるのも景気対策のおかげだ。

 景気対策によって、米国の全世帯の95%が減税の対象となる。この減税は4月1日以降のあなたたちの給料に反映されるだろう。

 景気対策によって、学費の支払いに苦労していた家族は4年間の大学の学費に対し2500ドルの税控除を受ける。この景気後退下で仕事を失った米国人は、拡充された失業保険を受けたり、医療保険を引き続き適用されたりすることで、嵐をしのげるだろう。

 この議会にいる人や、家庭でテレビを見ている人のなかには景気対策が効果をもたらすか、懐疑的な人たちもいるだろう。その疑問は理解できる。ここワシントンでは、善意が約束違反や無駄な支出に瞬時に変わってしまうのを見てきた。そして、このように大規模な計画を正しく実行するにはとてつもない責任が伴う。

 だからこそ、私はバイデン副大統領に、厳しく過去に例をみない監督の仕事を担うよう頼んだのだ。誰も彼とはもめたくないからだ。私は全閣僚と全国の知事や市長に、すべての支出について、私と米国民に対する説明責任があると伝えた。浪費や不正を探し出すため、有能で積極的な監督官を指名した。また「政府再生」と名付けた新しいウェブサイトを開設し、すべての国民が自分たちのお金がどうやって使われるかが分かるようにした。

銀行ではなく国民救う

 この景気対策は経済を回復軌道に戻すための最初の一歩だ。だが、それは最初の一歩にすぎない。なぜかというと、たとえこの計画を完ぺきに実行しても、金融システムを深く傷つけた信用危機を解決しないことには本当の回復はないからだ。

 すべての国民に影響する、私はこの問題について簡潔にかつ正直に話したい。あなたたちには、銀行に預けているお金や保険が安全で、金融システムは依然として信頼できるものだと知ってほしい。これらは懸念材料ではない。

 懸念すべきは、融資が再開されなければ、回復は始まる前に頓挫してしまうということだ。

 信用の流れは経済の血液だ。融資を受ける力は、住宅や自動車、教育などあらゆるものを購入するときの財源をいかに調達するかであり、いかに商店が棚に商品を並べるか、農場が機械を購入するか、企業が給料を支払うかを意味する。

 しかし、信用のあるべき流れを止めてしまった。住宅危機から生み出されたあまりに多くの不良債権が銀行の負担となっている。巨額債務と自信のなさが相まって、これらの銀行は個人や企業、別の銀行に対する貸し出しを恐れている。融資がなければ、個人は住宅や自動車を買えず、企業は雇用削減を迫られる。我々の経済は一段と苦しくなり、資金はさらに枯渇してしまう。

 それゆえに私たちの政権は、この破壊的な循環を断ち切り、自信を回復し、融資を再開するために迅速に積極的に動いているのだ。

 それをいくつかの方法で実施したい。第1に、自動車ローンや学資ローン、中小企業向けローンを、経済のけん引役である消費者や起業家に供給する過去最大の取り組みとして、新たな貸出基金をつくる。

 第2に、支払い能力があるにもかかわらず差し押さえに直面した家庭のローン返済額を軽減し、借り換えを支援する住宅市場対策を打ち出した。これは投機家を救うものではないし、払うあてもないのに家を買った人を救うものでもない。この対策は住宅価格下落に苦しむ数百万人の米国人を救うのだ。人々は低金利の恩恵を受けられる。事実、きょうローンを借り換える平均的な世帯なら年間返済額を2000ドル近く削減できる。

 第3に連邦政府が全力を傾け、米国人が頼りとする主要銀行がより困難な局面でも十分な信頼性と貸出資金を持てることを確実にする。主要銀行で深刻な問題があった場合は、銀行の責任を明らかにし、必要な調整を強制し、バランスシート(貸借対照表)を健全化するために支援する。国民と経済の役に立つ強い金融機関としての継続性を確保する。

 何の制約もなく銀行を救済し、無謀な経営判断について説明責任を問わない手法をとれば、ウォール街(の経営者ら)は安心するだろう。だがそれでは問題は解決しない。我々の目標は米国民や米企業への貸し出しが再開し、危機が終わる日を早めることだ。

 私は銀行が支援を受けるにあたり、十分な説明責任を果たさせるつもりだ。銀行は税金がどのように米国の納税者への貸し出しに回ったのか、はっきり説明する必要がある。(銀行の)最高経営責任者(CEO)らは今回、税金を使って自分の報酬を水増ししたり、ぜいたくな衣服を買ったり、自家用飛行機に身を隠したりすることはできない。そんな時代は終わった。

 ただ、この計画には連邦政府の多大な資金拠出が必要になる。これまでに確保した金額を上回るかもしれない。行動のコストは大きいだろうが、行動しないことのコストはもっと大きい。行動しなければ経済は数カ月や数年ではなく、おそらく10年にわたって停滞する。財政赤字、企業、あなたがた、次の世代の状況を悪化させる。私はそんな事態を起こさせない。

 前政権が議会に対し経営不振銀行への支援を求めた時、民主党員も共和党員も前政権の運営のまずさと、それがもたらした結果に激怒した。納税者もそうだ。私もそうだった。

 だから私はいま銀行を救うことがいかに不興を買うかわかっている。銀行の誤った経営判断のせいで誰もが苦しんでいる時だけになおさらだ。私はそれを理解していると約束する。

 だが私は危機の時に怒りにまかせて政権運営したり、その時々の政治に屈したりすることはできないこともわかっている。私の仕事、我々の仕事は、問題を解決することだ。責任の感覚を持って国を統治することだ。ウォール街の経営者に報いるのに1セントも使う気はない。だが従業員に賃金を払えない中小企業や、倹約してもなお住宅ローンを借りられない家庭のためならどんなことでもする。

 私の計画の目的はこういうことなのだ。銀行を救おうとしているのではない。国民を救おうとしているのだ。融資が受けられるようになれば若い家庭は新居を買え、企業はその家を建てるために労働者を雇う。労働者は消費のためのお金を手に入れ、さらにローンも組めれば、車を買ったり事業を始めたりすることもできる。投資家は市場に戻り、米国の家庭は再び安心して退職後の生活を送れる。ゆっくりだが確実に信用は戻り、我々の経済は回復するだろう。

 だから私は議会に対し、私と一緒に必要なことをするよう求めたい。終わりのない景気後退に国民をさらすことはできないからだ。この規模の危機が二度と起きないようにするため、時代遅れの規制を改革するための立法を迅速に進めてほしい。我々の金融市場が前向きな推進力と革新性を後押しし、(不正な)近道や悪用を罰することができるよう、強じんで新たな常識に基づいたルールを導入すべき時だ。

長期投資、回復への道

 景気対策と金融安定化策は、米経済を短期的に立て直すために実施する当面の手段だ。だが米経済の強さを完全に回復させる唯一の道は、新たな雇用や新産業、他国との競争力を生むような長期的な投資だ。今世紀がもう一度アメリカの世紀となるための唯一の道は、石油依存や高コストの医療保険制度、子供たちを受け入れられない学校、子供たちが引き継ぐ負債の山に、我々が最終的に立ち向かうかどうかにかかっている。それが私たちの責任だ。

 今後数日の間に、私は議会に予算を提出する。我々はしばしば予算文書を単なる数字の羅列か、長々とした計画のリストとみなしがちだ。私の見方は違う。予算とはアメリカのビジョン、我々の将来の青写真なのだ。

 私の予算はあらゆる問題を解決しようとしているわけでも、すべての課題に対処するわけでもない。予算は我々が引き継いだありのままの現実を映し出す。つまり1兆ドル規模の(財政)赤字、金融危機、損失を伴う景気後退だ。

 こうした現実を踏まえ、この議事堂にいる全員、すなわち民主党員も共和党員も、お金(予算)を振り向けられないいくつかの大事な事項を犠牲にしなければならないだろう。私も同様だ。

 しかし、それは我々が長期的な課題を無視しても困らないという意味ではない。私は我々の抱える問題が自然に解決されるという見方を受け入れない。共通の繁栄の礎をつくるうえで政府の果たすべき役割はないという見方も受け入れない。

 なぜなら歴史は我々に違うことを教えてくれる。歴史を振り返れば、あらゆる経済大変動や変化の時、この国は勇敢な行動と壮大なアイデアで対応してきた。南北戦争のさなかに我々は商業や産業を刺激する鉄道を岸から岸まで敷いた。産業革命の混乱から生まれたのは、市民を新しい時代に備えさせる公立高校制度だった。戦争と不況の後に制定された復員兵援護法は一世代をまるごと大学に送り、史上最大の中間層をつくりだした。そして自由を求める黎明(れいめい)期の苦闘は高速道路網につながり、米国人を月に送り、今日の世界を形作る技術の爆発的進歩を生んだ。

 いずれの場合も政府は民間企業に取って代わることはなく、民間企業の触媒となった。何1000人もの起業家、新しい企業が順応し、成長する条件をつくり出した。

 我々は危機のさなかにあって希望を見いだす国であり、試練から機会をつかみ取る国である。今、再びそうした国にならなければならない。

 だから私が提出する予算は、必要のない事業を縮小する一方で、経済の未来に絶対不可欠な3分野に投資する。それはエネルギー、医療保険そして教育である。

 まずはエネルギーだ。我々はクリーンで再生可能なエネルギーの手綱を握る国が21世紀を主導すると分かっている。しかし、エネルギー効率の高い経済に向け、史上最大の計画を発足させたのは(我々ではなく)中国だ。太陽光発電の技術を開発したのは我々だが、その生産においてはドイツや日本のような国々に追い抜かれた。新しい(家庭用電源で充電できる)プラグイン・ハイブリッド車は我々の生産ラインから生まれるが、バッテリーは韓国製だ。

 私は、雇用が創出され新しい産業が根付いていくのが国境の外だというような将来は受け入れられない。皆さんもそうだろう。今こそ米国が再び先頭に立つときだ。

 景気対策により再生可能エネルギーの供給量を今後3年で倍増する。基礎研究にも史上最大の予算を計上した。この投資はエネルギー分野で新しい発見を促すだけでなく、医薬、科学、技術においても画期的な前進をもたらす。

 我々は近く、新しいエネルギーを都市や町に運ぶ何1000マイルもの電線を国中に敷く。住居や建物のエネルギー効率を高め、何10億ドルもの光熱費を抑制する。そのために米国人を雇用する。

 真に経済を変革し、安全を守り、気候変動の破壊から地球を救出するには、究極的にはクリーンで再生可能なエネルギーを、利益を生むエネルギーとしなければならない。市場に基づく炭素規制(温暖化ガスの排出量取引市場)を設け、再生エネルギーの生産を促す法案を私に送るよう議会にお願いする。そしてその革新を支援するため、風力発電、太陽光発電、バイオ燃料、クリーンな石炭、燃費の良い自動車やトラックの開発へ年間150億ドルを投じる。

 自動車産業について言えば、何年にもわたる悪い経営判断と世界的な景気後退により自動車各社が瀬戸際に追い込まれていることは誰の目にも明らかだ。我々は彼らの悪い習慣を保護すべきではないし、そうしない。だが、新たな手段を得て、新たな発想を持ち、競争し打ち勝てる自動車産業をつくるゴールは堅持する。何100万人もの雇用がかかっている。何十もの地域コミュニティーが依存している。自動車を発明した国は、自動車(産業)を見捨てることはできない。

 コストなしではできない。簡単でもない。しかしこれが米国なのだ。我々は簡単なことはしない。国を前進させるのに必要なことをするのだ。

医療保険先送りできず

 同様の理由で医療保険を押しつぶすようなコストにも対応しなければならない。このコストにより、米国では30秒に1件の割合で倒産が起きる。これにより年末までに150万人の米国人が家を失うかもしれない。過去8年間に保険料は賃金の4倍の速さで増大した。その間、毎年100万人以上の米国民が医療保険を失った。小企業が営業をやめ、企業が海外に職を移す大きな原因の一つとなっている。そして、われわれの予算のうち、最も大きく、最も早く膨れ上がっている部分でもある。

 このため、もうこれ以上、医療保険改革を先送りできない。この30日間のうちに実施した医療保険改革は、既に過去10年の改革を上回った。今議会は開会して数日で、親がフルタイムで働く1100万人の米国の児童に医療保険を提供する法律を可決した。景気対策で、ミスを防止し、コストを引き下げ、プライバシーを守り、命を救う電子カルテや新技術に投資する。

 ほとんどすべての米国人に迫っている病気を克服するため、新たな行動を開始する。つまり我々が生きているうちに、がんの治療を追求する。そして予防医療に史上最大の予算を投じる。なぜなら国民の健康を維持し、コストを管理する最善の方法だからだ。

 予算はこれらの改革をさらに推し進める。包括的な医療保険改革に向けた歴史的な取り組みを含む。1人ひとりの米国民が質の高い、手ごろな医療保険を持つという原則を実現するための頭金だ。費用の一部は前々からの懸案であるシステムの効率化によってまかなう。そして今後、財政赤字を引き下げるためには取らなければならない措置だ。

 医療保険改革を実現する方法については数多くの見解やアイデアが出てくるだろう。このため来週、企業や労働者、医師、医療保険業者、民主党員、共和党員を一堂に集めてこの課題の検討を始める。

 これが簡単なプロセスだという幻想にとらわれてはいない。困難なものになるだろう。しかし、セオドア・ルーズベルト大統領が初めて改革を呼びかけてから約1世紀にわたり、医療保険のコストは経済の足かせとなり、かなり長い間、国民意識の重しとなってきた。だから疑問が残らないようにしよう。医療保険改革は待つことはできないし、決して待つようなことがあってはならない。1年でさえ先延ばしは許されないのだ。

教育に一層の改革必要

 取り組むべき第3の課題として、米国の教育に関する約束を急いで拡充する必要がある。グローバル経済の中では、最も売る価値のある技能とは知識であり、良い教育とはもはや機会を得るための単なる道筋ではない。前提条件だ。

 いまや、急速に増え続ける職業の4分の3は高校卒業以上の学位を必要とする。しかしながら、その教育水準にあるのは米市民の半分をようやく超える程度にすぎない。米国は高校中退率が先進国で最も高い国の一つだ。さらに大学生の半分は卒業できない。

 このことは経済不振にとっては処方せんになる。今日、我々より教育水準が高い国が、明日、我々より高い競争力を備えることが分かっているからだ。このため、すべての子供が生まれてから仕事につく日まで、完全で競争力のある教育を受けられるよう保証することが現政権の目標だ。

 景気対策を通じてすでに教育に歴史的な投資をしてきた。幼児教育を劇的に拡大し、その質を改善し続けていく。最も実りある学習というのは、生まれてから数年間に行われるからだ。

 700万人以上の学生が大学教育を受けられるようにしてきた。そして子供たちの発育を後退させるような痛みの伴う予算削減や教師の解雇を阻止するために必要な資金も供給してきた。

 だが、学校は単により多くの予算を必要としているのではない。もっと改革を必要としている。今回の予算は教師の能力を高める新しい刺激策や、発展への道筋、成功した場合の見返りを提供する。学校が高い基準を満たし、教育水準の格差をなくすことを支援するような革新的なプログラムに投資していく。さらにチャーター・スクール(専門教育などを提供する目的で特別に認可された市民主導の学校)への支援も拡充する。

 こうした教育システムを機能させることが政治家や教育家としての責任だ。だが、すべての市民にもそこに参加する責務がある。今夜、米国人に少なくとも1年あるいはそれ以上、より高度な教育か職業訓練を受けるよう求める。これはコミュニティー大学や4年制の学校、職業訓練、実習でもよい。

 ただ、そうした訓練が何であれ、すべての米国人は高校卒業以上の資格をとる必要がある。高校中退はもはや選択肢にはならない。それは自分自身への放棄であり、国家に対する放棄である。

 この国はすべての米国人の才能を必要とし、価値を置いている。だからこそ、国民が大学を卒業できるよう、そして2020年までにもう一度、大学卒業者の割合が世界で最も高い国になるという新しい目標を達成できるよう必要な支援を与えるのだ。

 授業料がこれまでになく高くなっている。このため、地域社会でボランティアとして進んで働いたり、コミュニティーに戻ったり、国家に奉仕したりするなら、より高度な教育を受けられるようにする。

 そして現在と未来の世代のため国家に奉仕するという新たな精神を持てるよう、オリン・ハッチ上院議員の名前と、決して国家のために何ができるかという問いかけをやめることのなかった1人の米国人、エドワード・ケネディ上院議員の名前を付けた超党派の法案を提案するよう議会に求める。

 こうした教育政策によって子供たちの前には機会の扉が開かれる。だが彼らが確かに歩き通せるかは我々にかかっている。結局、教師と親との会議に出席し、夕食の後に宿題を手伝い、テレビを消し、ビデオ・ゲームを片づけ、子供たちに本を読んで聞かせてやれるのは母親や父親に代わるプログラムや政策はない。私が子供たちの教育に対する責任は家庭で始まると言う時、大統領としてだけではなく、1人の父親としても話している。

世界へ新たな関与の時代

 もちろん、子供たちへの責任はさらにある。彼らが支払えないほどの借金を残さないようにするという責任である。これまで引き継いだ財政赤字、われわれが直面する危機がもたらすコスト、今後の長期的課題はあるものの、経済の回復に応じて財政赤字の削減に取り組むこと以上に重要なことはない。

 景気対策が利益誘導なく決定したことを誇りに思う。そしてわれわれが費やすすべてのお金が最も重要な国家の優先課題にきちんと振り向けられるよう来年度予算を通過させたい。

 私は昨日、財政に関する超党派会議を開催し、1期目の終わりまでに財政赤字を半分に削減すると約束した。政権は無駄で効率の悪い政策を排除するため予算を一行、一行見直すことにも着手した。想像できると思うが、これは一定の時間がかかる作業だ。だが、最大の事業から始めている。既に今後10年で2兆ドル抑制できる事業を特定した。

 この予算では、効果がない教育プログラムを終え、援助を必要としない大規模な農業ビジネスへの直接給付を終了する。イラクで何10億ドルも無駄にした随意契約をやめ、もはや使わなくなった冷戦時代の武器に資金を使わないよう国防予算を改革する。高齢者を健康にしないメディケア(高齢者医療保険)の無駄、詐欺、乱用を根絶する。海外に雇用を移す企業への税制優遇をようやく終わらせることにより、税制に公正さとバランスを取り戻す。

 子供たちを将来の負債から守るために、我々は米国民全体の2%にあたる最富裕層を対象とした税優遇策を終わらせる。しかしここで完全に明確にしておきたい。こうした税制優遇を終わらせることは、米国民にとっての大規模増税につながることを意味する、との意見を聞くことだろう。もしあなたの家族の年収が25万ドルを下回るのであれば、10セントさえも税負担が増すことはない。繰り返すが、10セントもだ。事実、景気対策法では米国の95%の勤労者世帯が減税を受けられることになる。こうした減税策は目の前にある。

 長期的に財政健全性を保つためには、増大するメディケアと社会保障分野での費用にも焦点を当てる必要がある。包括的な医療制度改革は、メディケアを強化するための最適な手段だ。無税の貯蓄口座制度を創設する一方で、社会保障にもどのような措置を取れるのか議論を始めないといけない。

 最後に、我々は信用の欠如に苦しんでいるため、予算には誠実さと透明性を持たせるように誓約した。この予算は10年先を見据えており、古いルールのもとに置かれていた歳出に説明を付けている。そして初めてイラクとアフガンでの戦費全額を含んだ。7年間、我々は戦争に参加してきた。その費用をこれ以上隠すことはしない。

 我々は現在、この2つの戦争についての政策を注意深く再検討している。イラクを同国民に委ね、責任ある形でこの戦争を終わらせると間もなく発表する。

 友好国、同盟国とともに、我々はアルカイダを打ち負かし、過激派と戦うために、アフガニスタンとパキスタンにおける新たな包括的戦略をまとめる。私はテロリストたちが地球の裏側の安全地帯から米国民を狙う計画を立てることを許さない。

 今夜、我々がここに集っている間にも、制服を身につけた多くの兵士が海外で監視に当たり、派遣への準備をしている人いる。彼ら、そして彼らの不在に耐えている家族らに米国民は一つのメッセージを送るために団結しよう。我々はあなた方の仕事を誇りに思い、あなた方の犠牲に鼓舞されている。軍の負担を減らすため、私の予算では兵士や海兵隊員の増員を盛り込む。奉仕する者への信頼を保つため、彼らの給与を上げ、退役軍人への医療保険や給付金を増やす。

 過激主義の克服のために、我々の部隊が守る価値を維持することに用心深くなる必要がある。なぜならこの世界では米国以上に力がある軍隊はないからだ。これが私がグアンタナモ米海軍基地のテロ容疑者収容施設の閉鎖を命じた理由だ。捕らえられたテロリストに関しては迅速で確かな法の裁きを求める。価値観のもとで生きることは我々を弱くはしない。我々を安全にし、強くする。だから私は今夜ここに立ち、例外やあいまいな表現なしに、米国は拷問をしないと言うことができる。

 言葉と行動で我々は世界に対し、新たな関与の時代が始まったことを示している。今世紀、米国は単独で脅威に立ち向かうことはできない。しかし、世界も米国抜きで立ち向かえない。我々は敵対国と交渉のテーブルにつくことは避けられず、我々に危害を加える敵対者や武力を無視することはできない。その代わり我々は自信と誠実さを持ち前進することが求められている。深刻な時代がそれを求めている。

 イスラエルと周辺国の永続的和平に向けた進展を探るため、我々は特使を任命して努力し続けることにした。テロリズムや核拡散、流行病、サイバースペースの脅威、深刻な貧困といった21世紀における様々な問題を克服するため、我々は古くからの同盟関係を強化し、新たな関係を構築し、我々の国力のすべての要素を使っていく。

 世界で起きている経済危機への対応では、世界の20カ国・地域(G20)と協力し作業を進めている。金融システムへの信頼を回復し、保護主義拡大の可能性を防ぎ、世界市場で米国製品への需要を高めるためだ。世界は力強い経済を持つために米国に依存している一方、米国経済も世界経済の強さに依存している。

 歴史の岐路に立つ中、全世界のあらゆる人々が改めて我々に視線を注いでいる。我々がこの瞬間に何をするか注視している。我々が(世界を)先導するのを待っている。

 今夜ここに集まった人たちは、異常な時期に国を統治することを求められている。大変な重荷だが、大きな特権でもある。こうした特権を与えられたのは米国の歴史上、ごくわずかな世代だけだ。善かれあしかれ、世界を形作る能力は我々の手の内にある。

 こうした真実を見失い、冷笑的で疑い深くなり、ささいなことに心を奪われるのは簡単だ。

我々はあきらめない

 しかし私は、希望は思わぬところで見つかるということも人生の中で学んだ。ひらめきはしばしば大きな権力と名声のある人からではなく、ごく普通の米国人が抱く夢や大志から生まれるのだ。

 私はマイアミの銀行頭取であるレナード・アベス氏を思う。報道によると彼は自分の所有する会社を売り、6000万ドルのボーナスを受け取り、それを399人の従業員や、72人の元従業員に配った。誰にもそれを告げなかったが、地元紙に気づかれると、「自分が7歳の時から知っている人もいる。売却益を独り占めするのは正しいことだとは感じなかった」とだけ答えた。

 私は竜巻で完全に破壊されたカンザス州グリーンズバーグを思う。住民の手により再建されつつあるが、クリーンエネルギーで地域全体をどう運営するか、レンガと瓦礫(がれき)が山積みだった場所にどうやって雇用とビジネスをもたらすかを示す世界的な模範となっている。再建を手伝った男性が言った。「悲劇はひどかった。だがそれが信じられないほどのチャンスを提供したことも、ここにいる連中はわかっている」

 そして私はかつて訪れたサウスカロライナ州ディロンの学校に通う少女、ティシェーマ・ベシアさんを思う。同校は天井から水が漏れ、壁のペンキははがれ落ち、電車が猛スピードで教室の横を通るため1日6回も授業を中断しなければならない。

 人々は彼女に学校は救いようがないと言うが、ある日の放課後、彼女は公共図書館に行き、この議事堂に座る人々にタイプで手紙を打った。手紙を送る切手代は校長先生に頼みに行った。手紙は我々に支援を求め、こう書いてある。「私たちは弁護士や医者、あなた方のような議員、そしていつの日か大統領になろうとしている学生です。私たちはサウスカロライナ州だけでなく、世界を変革することができるのです。我々は簡単にあきらめる人間ではありません」

 我々は簡単にあきらめる人間ではない。

 これらの言葉や話は、私たちをここ(ワシントン)に送り込んだ人々(有権者)の精神について何かを語っている。苦しい時でも最も困難な状況でも、柔軟さ、上品さ、忍耐、将来や繁栄に責任を持とうとする意志があるということを教えてくれる。

 彼らの決意は我々を鼓舞してくれる。彼らの懸念は私たちの大義名分となる。我々は取り組まなければならない課題に対して平等だということを彼らに示さなくてはいけない。

 我々(政治家)はすべての案件で一致したわけではない。未来においてもきっと道が分かれることもあるだろう。だが、今夜ここに座るすべての米国人が国を愛し、国に成功してほしいと願っていることを私は知っている。この事実は今後数カ月にわたり起きるであろうあらゆる議論の出発点でなければならないし、議論が終わった後の帰結点でなければならない。米国民は我々がこの事実を基礎に共通点を探ることを期待している。

 そして、もし我々が協力してこの危機から米国を引きあげれば、もし人々に仕事を戻し繁栄のエンジンを再開させれば、もし恐れることなく困難に立ち向かえば、もしあきらめない米国のたゆまぬ精神を呼び起こせば、何年か後のいつの日か、我々の子供はそのまた子供たちに我々が行動したと伝えることができるだろう。まさにこの議場に刻まれている言葉の通りである。「価値あることは記憶される」。ありがとう。皆さんに神のご加護を。そしてアメリカ合衆国に神のご加護を。

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