オバマ米新政権誕生

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(1/24)オバマ新大統領の就任演説内容(全文)

 オバマ新大統領の20日の就任演説の全文は次の通り。

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>>(オバマ米大統領の国務省演説要旨はこちら)


 市民の皆さん。私は今日、我々が直面する任務を謙虚に受け止め、皆さんにいただいた信頼に感謝し、先祖が払った犠牲を忘れずに、ここに立っている。ブッシュ大統領の国への奉仕と、政権移行期に示してくれた寛容さと協力に感謝する。

 これで44人の米国人が大統領の宣誓をした。宣誓の言葉は、潮が満ちる繁栄のなかで発せられたこともあれば、水面が穏やかな平和時に読まれたこともある。しかし、宣誓は時折、暗雲が垂れこめ、荒れ狂う嵐のさなかで行われる。このような時にも米国が前進し続けられたのは、単に指導者たちの技量や洞察力のためだけでなく「我ら合衆国の人民」が先祖の理想に忠実で、建国の文書に誠実であったためだ。

 ずっとそうあり続けてきたし、現世代の米国人もそうでなければならない。

 我々が危機のまっただなかにいることは、いまや誰もが分かっている。米国は幅広い暴力と憎しみのネットワークと戦争中だ。経済はひどく脆弱(ぜいじゃく)になった。それは一部の人々の強欲と無責任の代償でもあるが、同時に、難しい選択をせず、国家を新しい時代に準備してこなかった集団的な失敗でもある。家は失われ、仕事は奪われ、企業は破綻した。健康保険はコストがかかりすぎ、学校はあまりにも多くの人の期待を裏切る。我々のエネルギーの消費の仕方は敵を強化し、地球を脅かしていることが、日を追うごとに鮮明になっている。

 これらはデータや数字で表れる危機の指標だ。同様に甚大な問題でありながら、より把握しにくいのは、米全土で徐々に広まっている自信喪失だ。それは米国の衰退は不可避という恐れ、次の世代は目標を下げなければならないという不安だ。

 今日、我々が直面している試練は現実のものだ。それらは深刻で多岐にわたる。簡単に短期間で解決できるものではない。しかしアメリカよ、これらは必ず解決できる。

 今日この日、我々は恐れより希望を、争いや仲たがいより目的を共有することを選んだ結果、こうして集まった。今日この日、我々の政治を長い間、窒息させてきたつまらない不平や間違った約束、非難合戦、使い古された教義などの終わりを宣言するために集まった。

 我々は若い国家であり続けるが、聖書の言葉を借りれば、子供じみたことはやめる時が来た。不朽の精神を再確認し、歴史の良い部分を振り返り「すべての人が対等で、自由で、最大限の幸福を追求する機会を持つ」という代々受け継がれてきた貴重な贈り物、高貴な理念、神の約束を前進させる時が来た。

 我々はこの国の偉大さを再確認するとき、偉大さが決して当然のことではないと理解している。それは働いて得たものでなくてはならない。我々の旅路は近道や妥協であったことはない。憶病者や、勤労より娯楽を好み、富と名声の喜びだけを求める者の旅路だったこともない。むしろリスクをとり、行動し、物を作り出す人々が繁栄と自由への長いでこぼこ道を導いてきてくれたのだ。その中には高名な人もいるが、多くは無名の働く男女だ。

 彼らは私たちのためにわずかな所持品をかばんにしまい、海洋を旅し、新しい生活を探してくれた。

 彼らは私たちのために工場で汗を流して働き、西部を開拓し、むち打ちに耐え、硬い大地を耕してくれた。

 彼らは私たちのために(独立戦争の)コンコード、(南北戦争の)ゲティスバーグ、(第二次大戦の)ノルマンディー、(ベトナム戦争の)ケサンのようなところで戦い、命を落とした。

 これらの男女は私たちがよりよい暮らしを送れるよう何度も何度も苦闘し、犠牲を払い、手が腫れるまで働いてくれた。彼らの目に映る米国は、1人ひとりの大望の集積もさらに大きいものだった。生まれや富や党派の違いを超越した国だった。

 これが今日も我々が続けている旅だ。我々は依然として地球上で最も繁栄し、強い国家だ。今回の危機が始まってから米国の労働者の生産性が落ちたわけではない。創造性が低下したわけではない。我々の商品やサービスへの需要が先週、先月、昨年より減ったわけでもない。我々の能力は衰えていない。しかし、現状維持、狭い権益の保護、不快な決断を先送りする時代は間違いなく過ぎ去った。今日から我々は立ち上がり、ほこりを振り払い、米国を再生する作業をもう一度始めなくてはならない。

 なぜなら、どこを見てもなすべき仕事がある。経済の現状は大胆で迅速な行動を求めている。新しい雇用を創造するだけでなく、成長の新しい基盤を築くために我々は行動する。

 我々は商業の糧となり、我々を結びつける道路や橋、送電網や通信網を造る。科学を本来あるべき地位に引き上げ、医療の質の向上とコストを抑えるために素晴らしい技術を駆使する。太陽、風、大地を使い自動車を動かし、工場を稼働させる。新しい世代の需要に合うように学校や大学を変革していく。これらはすべて実現可能だ。そして我々はこれらをすべてやる。

 さて、我々の志の大きさについて疑問を持つ人々がいる。彼らは我々のシステムがあまりに多くの大計画に耐えられないと主張する。だが彼らは忘れっぽい。なぜなら彼らはこの国がなし遂げたことを忘れているからだ。想像力が共通の目的と結びつき、必要性が勇気と交わったとき、自由な男女が何を達成できるかを忘れている。

 皮肉屋は足元で地殻変動が起きていることを理解していない。時間を浪費しすぎたカビくさい政治論争はもはや通用しないのだ。我々が今日、問うているのは、政府が大きすぎるか、小さすぎるかではなく、機能しているか否かということだ。まともな収入を得る仕事、手が届く保険、尊厳ある老後の生活。これらを各家庭が手に入れられるように、政府が手をさしのべているかだ。

 答えがイエスな部分については、我々は前進させる。答えがノーな部分については、その事業を中止する。公金を管理するすべての者は説明責任を負う。使うべきところには賢く使い、悪い習性を改め、誰からも見えるように仕事をしてこそ、初めて国民と政府の間の信頼を取り戻せるのだ。

 市場が善か悪かという問題でもない。市場ほど富を生み、自由を広げる力を持つものはない。しかし今回の危機は、市場に対する監視の目がなければ、市場が制御不能に陥ることを思い出させた。国家は成功した者だけを引き立てていては成功できない。我々の経済の成功は、単に国内総生産(GDP)の規模だけでなく、繁栄の広がり、意欲あるすべての人に機会を提供する能力にかかってきた。そうするのは、慈悲としてではなく、共通の利益への最も確実な道だからだ。

 共同の防衛について言えば、安全と理想をてんびんにかける誤った選択を拒絶する。建国の父たちは想像を絶する危険に直面しながらも、法による支配や人権を確約する憲章を書き上げた。憲章はその後、何世代もが血を流したことにより拡充されてきた。その理想は今でも世界を照らし、我々は時々の都合で放棄したりしない。だから、今日(就任式を)見ているすべての(外国の)人々と政府に言いたい。そこが巨大な首都であれ、私の父が生まれた小さな村であっても。米国は平和と尊厳の未来を志すあらゆる国とあらゆる男性、女性、子供の友人である。そして我々は再び先頭に立つ用意ができている。

 先人らがファシズムや共産主義にミサイルや戦車だけでなく、強固な同盟と永続する信念で立ち向かったのを思い起こしてほしい。彼らは力のみでは自分自身を守れないこと、力があるからといって好き勝手に振る舞う資格がないことを理解していた。その代わり彼らは深慮をもって力を行使すれば、その力が増すことを知っていた。我々の安全は、大義の公正さ、模範の持つ力、謙虚さと自制がもたらす静寂から生じるものだということも知っていた。

 我々はこの遺産の守護者だ。この原則に再び導かれることで、我々はより困難な脅威、今まで以上に国家間の協力と理解が求められる新たな脅威に立ち向かうことができる。我々は責任を持ってイラクを同国民に返し、苦労しながらアフガニスタンに平和をもたらす。旧友やかつての敵と手を携え、たゆまぬ努力で核の脅威を削減し、地球温暖化の恐れを逆戻りさせる。

 我々は自分たちの生き方について謝らないし、それを守ることを躊躇(ちゅうちょ)しない。自らの目的を達成するために、テロを使い、無実の人たちを殺害する者にいま告げる。我々の精神はあなた方より強く、決して砕けない。あなた方は我々より長続きすることは不可能であり、我々は必ずあなた方を打ち負かす。

 米国の先祖伝来の多様性は弱みではなく、強みだ。我々の国にはキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、無宗教の人がいる。地球上のあらゆる場所から集まった言語と文化によって形作られた。米国は内戦や人種差別の苦汁を味わい、その暗い歴史から、より強く、より団結し再浮上した。だからこそ、我々はどうしても信じたい。古い憎しみがいつの日か過ぎ去り、部族の線引きがやがて消えることを。世界が狭くなるにつれ、共通の人類愛が浮き彫りになることを。そして米国が新しい平和の時代をもたらすために、役割を果たさなければならないことを。

 イスラム世界に言いたい。我々は互いの利益と互いへの尊敬に基づいた新しい道を求める。対立を助長したり、自国社会の問題を西洋に責任転嫁したりする世界の指導者に言いたい。あなたの国の国民は、あなたが何を壊すかによってではなく、何を築くかによってあなたを判断する。汚職とウソ、口封じによって権力にすがりつく指導者よ、あなたは歴史の間違った側にいる。しかし、その握りしめた拳を開けば、我々は手をさしのべる。

 貧しい途上国の人々に言いたい。畑が豊かになり、きれいな水が流れるようになるようあなたがたとともに取り組んでいく。飢えた体を養い、向上心のある脳を満たしていく。米国のような豊かな国は、もはや国境の外の苦しみに無関心ではいられない。何の考慮もなしに資源を無駄遣いすることも、もうできない。世界が変わったため、我々もそれに合わせて変わらなければならない。

 我々の前に開かれた道を考えるとき、私たちはこの瞬間にもはるか遠くの砂漠や山々を警備している勇敢な米国人たちを謙虚な感謝とともに思い出す。アーリントン(国立墓地)に横たわる亡くなった英雄たちが時代を超えてささやくように、彼らも我々に何かを語りかけている。彼らは私たちの自由を守っているだけでなく、奉仕の精神や、自分自身より偉大な何かに意味を見いだそうとする意志を体現しており、我々は彼らを誇りに思う。そして、いまの世代への評価が決まるこの局面で、この(奉仕の)精神こそが我々みんなが持たなくてはいけないものだ。

 なぜなら、政府ができること、やらなければならないことはあるが、この国が最後に頼りとするのは米国民の信念と決意だからだ。堤防が崩れた時に見知らぬ人を受け入れる優しさ、友人が職を失うくらいなら自分の労働時間を短縮する無私の心が、暗黒の時に我々を支えてくれる。煙に満ちた階段を駆け上る消防士の勇気、そして子供を育てる親たちの意欲が最終的に我々の運命を決める。

 我々が立ち向かう挑戦は新しく、それに立ち向かう手段も新しいかもしれない。しかし我々の成功の礎となる価値観は古い。それは誠実さと勤勉、勇気と公正、寛容さと好奇心、忠誠心と愛国心などだ。これらは普遍の真理である。我々の歴史を通じて前に進む静かな力となってきた。

 そうであるならば、いま求められているのはこうした真理に立ち戻ることだ。いま求められているのは新たな責任の時代だ。米国民の1人ひとりが自分自身、自分の国、そして世界に対して義務を負うという認識だ。いやいや請け負う義務ではなく、喜んでつかむ義務だ。難しい課題に全力で向かうことほど、精神を満たし、我々らしさを見せることはないからだ。

 これが市民であることの代価であり、約束である。我々の自信の源泉である。未知の運命を自らの手で形作れと神が呼びかけていることを我々は知っている。

 これが我々の自由の意味であり、信条である。これがあるからこそ、今日この偉大なモールにあらゆる人種とあらゆる宗教の男性、女性、子供が集まり祝うことができるのだ。これがあるから60年前ならレストランで食事をすることもできなかったかもしれない父を持つ男が、最も神聖な宣誓を行うためにあなた方の前に立つことができるのだ。

 だから、我々が誰なのか、どれだけ長い道のりを歩んできたかを振り返りながら、この日を覚えておこう。米国が生まれた年、最も寒い月に、愛国者の小さな集団がいてつく川沿いの消えかけたたき火に身を寄せ合った。首都(フィラデルフィア)は見捨てられた。敵は進軍してきた。雪には血がにじんだ。革命(独立)の行方が最も危ぶまれた時、建国の父は人々にこう読むよう命じた。

 「将来の世界で語られるようにしよう。希望と美徳以外は何一つ生き残ることができない真冬の日に、共通の危機にひんした都市と地方はともにそれに立ち向かった」

 アメリカよ。共通の危機に直面した今、この困難な冬に、我々はこの時を超えた言葉を思い出そうではないか。希望と美徳によって、氷のように冷たい流れにもう一度勇敢に立ち向かい、いかなる嵐が訪れようとも耐えようではないか。子々孫々が今を振り返った時に、我々が試練の時に旅を終えることを拒否し、引き返すことも、たじろぐこともなかったということを語り継がせようではないか。地平線に視線を定め、神の慈悲を身に浴びて、我々は自由という偉大な贈り物を運び、将来の世代に安全に送り届けたということを。ありがとう。神の祝福がみなさまにあらんことを。そして、神の祝福がアメリカ合衆国にあらんことを。

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