記者

小瀧 麻理子 欧州編集総局編集部 2001年入社
※所属部局は取材時点のものです。

追い続けるのはEU離脱と移民・難民問題。記者は「境界線」を越えていける仕事 様々な人々の声を記録して届けたい

多面的に話を聞き、疑問をぶつけ
さまざまな角度から核心に迫っていく。

 英国の特派員として、イギリスを中心とした欧州の政治や経済、金融を取材しています。私が特に注目しているテーマが欧州連合(EU)からの離脱と移民・難民問題です。それぞれの現場で何が起こっているのか。海外駐在の記者は多様なテーマを取材しますが、特に追い続けたいと思っています。
 取材テーマは、まずは自分なりに「これは面白い」「重要ではないか」と思ったことを掘り下げることが多いです。何が背景にあるのか仮説を立て、リサーチしたうえで取材を開始。記事の方向性が見えてきたところで、どう記事にするかというアウトプットの方向性についてデスクとより深く議論します。デスクからGOサインが出れば、現場に飛んでいき、記事を見据えて本格的な取材に入ります。
 私が醍醐味だと思うのは、記者の仕事があらゆる「境界線」を越えていける点です。経営者や政治家、官僚、会社や工場の従業員、起業家や学生、街で暮らす人たち、欧州を目指して歩く難民の人たち…。テーマと問題意識があれば、様々なコミュニティーや組織、国籍や宗教の違いを越えて、記者として人々に会いにいき、直接、話を聞き、事象を自ら見て、その積み重ねで1つの記事や企画を作り上げていくことができます。歴史が動く瞬間に立ち会えることもあります。とにかく現場におもむき、多様な人々と向き合いたいと思っています。
 取材しながらいつも考えているのは「根っこには何があるのか」ということです。ニュースの中心にいる人、周辺で影響を受ける人、政策を決定する人、第三者として分析する専門家など、多くの人に多面的に話を聞き、疑問をぶつけていきます。疑問の「解」がいつもすぐに見つかる訳ではありませんが、取材を続けた結果、自分なりの切り口で原稿を書けたとき、そしてそれがたった1人でも読者に届いたという手応えがあったとき、大きなやりがいを感じます。

EU離脱の国民投票を取材。
英国が抱える問題、日本にとって大きな示唆。

 「国民投票により英国はEUを離脱することが決まりました」。2016年6 月24日午前4時40分。BBCのキャスターがこわばった顔でこう宣言したときのことは今でも忘れられません。私の特派員生活で最大級の激震でした。
 その前日に英国はEUの離脱の是非を問う国民投票を実施。結果はご存じの通り、全投票数のうち48%が残留を支持したのに対して、52%が離脱を支持し、僅差で離脱が決まりました。当日は夜通し総局で開票を見守りながら原稿を書いていた私は、最初は「僅差で残留となるのではないか」と思っていたため、大きな衝撃でした。残留を支持していた同僚のイギリス人が青ざめていたのを覚えています。
 まさかの結果ではありましたが、予兆がなかったわけではありません。なぜEU離脱の是非がそこまで大きな問題なのか。分断の背景を理解するために私は国民投票前に、イングランドの農村や漁村、北アイルランド、スコットランドなど英国各地を取材して記事を執筆。グローバル化が進むなかで、その成長に取り残された多くの英国人たちの嘆きを目の当たりにしました。
 またとても印象的だったのは、国民投票直前に残留派で、移民との共生を呼びかけていた若手女性議員が極右思想に感化された人物に殺害された事件です。私はすぐに現場に飛び、イスラム系移民の方々が開いた追悼会などを取材しました。事件をEU離脱と直結することはできませんが、民主主義の歴史の長い先進国の英国で議員が殺されることは極めて異例です。多くの英国民が衝撃を受け、私も改めて英国や欧州が抱える移民問題の難しさ、根深さを実感させられました。
 英国は世界で最も開かれた国の一つとして、人・モノ・カネを世界中から集めて成長してきました。その一方で、経済成長から取り残された人たちや自分たちの文化が脅かされていると感じる人たちもいます。国民投票はそうした人たちの不安や不満が色濃く反映されました。
 国を開放し、多様性と向き合うことはどういうことなのか。副作用に対してはどう対処するのか。そこには国を開いてきた英国ならではの葛藤があります。英国で起きていることは、高齢化やグローバル化などの課題に直面する日本や多くの先進国にとって決してひとごとではなく、示唆に富んでいる。そう思いながら現場を歩き、取材を続けています。

とある日のスケジュール

9:00

出社。メール確認や電話取材、原稿の執筆

12:00

昼食

13:00

金融街シティーでフィンテック、金融規制について取材

15:00

英議会でEU離脱後の戦略を議員に取材

17:00

翌日の紙面や企画などをデスクと相談。原稿執筆

19:00

友人たちとパブで一息

入社からのキャリア

2001年入社
東京・編集局証券部
2006年
東京・編集局金融部(現・経済部)
2008年
日経BP社出向
2011年
東京・編集局経済金融部(現・経済部)
2014年
欧州編集総局編集部
記者
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  • 伊藤 学
  • 吉田 三輪
  • 小瀧 麻理子
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  • 山田 彩未
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  • 岩﨑 貴行
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  • 三上 秀和
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