世界に根ざし、世界のニュースを届ける。アジアのリーディングメディアを目指すグローバル戦略。

新田あかね×菊池友美×鈴木亘

アジアの現地ニュースを英語で伝えること。そこから生まれる価値がある。

Nitta Akane

日経グループには新聞社以外にも様々な会社がある。株式・企業情報、債券、金利、為替や投資信託などについて信頼できる情報を提供するQUICK、給与調査、ブランド調査、世論調査を行う日経リサーチなどだ。様々な専門性を持つグループ各社のエキスパートが加わり、アジアにおける事業展開の拠点として2014年4月シンガポールに新たに発足したのが日経グループアジア本社だ。NARを核に、アジアでの新しい事業の可能性を日々模索している。このグループアジア本社でNARのアジア圏でのプロモーションを担っているのが新田だ。

「私の主な仕事は、NARの新たな読者の開拓、そして媒体の認知向上のための様々なセミナーやネットワーキングイベントの企画運営です。NARの潜在読者である非日系ビジネスパーソン向けの情報チャネルを開拓するため、ASEANの主要都市の商工会や欧米系の団体の会員企業をターゲットとした地道なプロモーションも展開しています」。

グローバル戦略の核ともなるNARは、ウェブサイト、アプリに加えて、毎週発行されるプリント版がセットになった“マルチデバイスメディア”だ。ウェブサイト、プリント版とも順調に伸びている。どのようなターゲットを対象として、ビジネスを展開していこうとしているのか。

「私たちが読者にしたいと考えているターゲットは、英語を話すビジネスパーソン。しかも一つの国だけではなく、このアジア地域のいろいろなビジネスについて幅広く知りたいと思っている方を対象としています。しかしまだまだ媒体として認知度が低いのが現状です。まずは各地で誌面を手にとってもらうことからはじめています」。

実際に雑誌を手にとってくれた人たちの反応は上々だ。

「プロモーション活動を行うごとに、ウェルカムな反応が返ってきています。各国ともに欧米系のメディアのアジア版以外に、汎アジアのビジネス誌といえるものが無い状況です。同じアジアの人間が、現地に根ざして、事実と丁寧な取材に基づいて記事を書いている。欧米目線ではなく、アジア目線。アジアを広範囲にわたってカバーしているビジネスの媒体ということを伝えると、新鮮に受け取られます」。

地元アジアの人だけではなく、欧米人たちにも好意的に受け止められている。

「以前、ジャカルタ市内でのイベントでインドネシアの大統領関連の掲載号を持ち込んだところ、バックナンバーにも関わらずその号はすぐになくなってしまいました。やはり自分のいる国のことを取材した記事があることが興味をもってもらうのに欠かせません。その地域の目線での取材と編集を、日本経済新聞社がNARという媒体のために総力を挙げて取り組むことにした。これはアジアのリーディングメディアに向かう確かな一歩です。私はそれをプロモーションの立場からサポートしていきたいと思っています」。

読者と直接触れ合う現場で、プロモーションを展開する新田だからこそ感じるこの肌感覚。ビジネスが動き始めている何よりの証拠だ。

経済にとどまらず国のトップにも取材。若手二人の奮闘記。

Kikuchi Tomomi

グローバル戦略を支えるもう一つの拠点が、2014年3月に開設されたタイのバンコクにあるアジア編集総局。これまでは現地で取材した情報を原稿にし、いったん東京に送って編集していた。しかしNARをはじめとした電子化の流れもあって、現地でスピーディーな情報発信を行なっていくことが必要不可欠に。ASEAN各国のハブとなる機能を備えることにした。記者・編集者が増員されたとき、まだ入社3年目である菊池と鈴木もそのメンバーに加わった。現在菊池がシンガポール、鈴木はインドネシアのジャカルタにて地元企業を追いかける日々を過ごしている。かけ出しでありながらも、グローバル戦略の一端を担う重要役割を与えられた彼らは、どのような想いで日々の仕事に向かっているのか。菊池が語る。

「シンガポール支局は日本と違って記者が3人しかいないため、担当分野が細かく分かれているわけではありません。銀行やメーカー、商社、サービス業、IT企業など多様な業種を任されます。また企業だけではなく、政治家や国のトップに取材することもあります。経済政策から株式市場の状況、地域経済に大きな影響を与えることがある事件を担当することもあるので、気は抜けず、勉強することだらけですね」。

鈴木が続ける。

「インドネシアの主要企業を取材し、NARに記事を書くことが今の主な仕事です。来てすぐに大統領選の取材があり、その歴史的な瞬間に立ち会えたのは非常に興奮する出来事でした。海外に来て一番大変だと感じるのは、自分たちで媒体の知名度を高めていかなければいけないことです。東京にいた頃は、これまでに先輩たちが代々築いてきた取材先との関係があったので、取材ができないということはなかったのですが、ジャカルタでは『NIKKEIの記者って誰なんだ』ということも起こります。その結果、取材がうまくいかないこともあるのです」。

Suzuki Wataru

記事を書く上で取材ができないことは、大きな障壁となる。若手二人はその壁をどのように超えていこうとしているのか。菊池は答える。

「一つひとつ丁寧に仕事することではないでしょうか。例えば記者会見に足を運んで記事を書いたとします。日経新聞やNARで紙面化した後に『このような記事を書きましたよ』と連絡を入れる。日本だけでなく世界中の読者に向けて記事を発信しているということを理解してもらい、関係を築くことがまず大事だと思います。すると、世界中を飛び回っていて忙しくされている社長さんでもシンガポールに来ている時にはタイミングを合わせて会ってくれたりするものです。ただ話を聞かせてください、と頼むのではなく、その取材におけるテーマを持つことも大切だと痛感しています」。

鈴木が加える。

「ほんとうにそう思います。異動してきた当初は手さぐりの中、インタビューをしていたのですが、だんだん関係が出来てくるとそれだけでは通用しなくなってくる。取材対象者の方も質問の内容や、どのくらいこちらのことを知っているのかなどを重要視している。ごまかしはきかない。だからこそベースの部分を把握した上で企画性を持って質問をしていくと、真剣に取材しに来ているんだな、と認めてくれるようになる。そうやって一つずつつながりが生まれていくのは、非常に嬉しいものがあります」。

取材や記事を通じて、人と人との信頼関係を生み出し、日本経済新聞社のプレゼンスを伸ばしていく。日本での取材ではあたり前のことも、これから切り開いていかなければならない海外の地ではなおさらだ。フロンティア精神を持ち、その逆境をもろともせず、前に進もうとする若手二人の姿がここにあった。

アジアのビジネスを知る上で必要不可欠なメディアへ。その大きな一歩「ASEAN100」。

ASEANを広くカバーしている新聞社として、日本経済新聞社は次なる手を2014年11月に打った。ASEANの有力企業を日本経済新聞社が約100社選び、「ASEAN100」として現地記者がフォロー、ニュースをNARで発信。15年11月には「Asia300」をスタート。東南アジア、インド、中国、韓国、台湾の300超の企業を対象に英語、日本語での情報発信強化を打ち出した。新田が力を込める。

「日本において日本企業の人たちが日本経済新聞を欠かさず読んでくださるようになったのは、自分の会社や取引先、競合企業が日々取り上げられていて、状況がすぐに分かるような信頼性の高い媒体だという認識が定着したからだと思うのです。ASEAN100にはその手法を、アジアでも展開していく狙いがあるのではと考えています。ASEAN100はもちろん読者のためでもありますし、“NIKKEI”というグローバルブランドをつくっていくうえでもすごく重要なことだと考えます。まだ始まったばかりなので時間はかかると思いますが、少しずつでも地元企業の方たちに浸透させていきたいと思っています」。

国内だけではなく、世界でのプレゼンスを意識する。そのために今動き出さなければならない。目標はアジアのリーディングメディアになること。その目標はまだまだ高い頂にある。アジアの現地で編集からプロモーションまでの機能を備え、プロジェクトを動かせるのは、「経済」を軸とする日本経済新聞社にしかできないことだ。

ダイナミックなアジアのこの熱気を私たちが伝えたい。

世界で働くということは、想像するよりも困難なことが多い。しかし、想像以上に自分を成長させてくれる機会にも恵まれている。菊池に海外に出て感じたことを語ってもらった。

「私がいるシンガポールはASEANの中でも一目置かれている経済成長国だと思われがちなのですが、実は日本と同じように高齢化といった問題を抱えていたり、国土が小さく資源もない。そのため、成長していくには20年後、30年後を見据えて、産業の育成や誘致を行わなければならない国でもあります。そういったこの国特有の複雑な問題を、この国自身がどう捉え、変わっていこうとしているのかといった動きを見ていきたいと思っています。シンガポールは中継貿易国でもあり、周辺国との関わりが多いので、シンガポールを軸にASEANの全体像がわかる記事も発信していきたいと思っています。ほんとうにいろんな国から企業が入ってきているので、その事業のルーツを探るだけでもすごく面白いのです」。

経済が大きく動いている。世界に出て、そのダイナミックな動きを肌で感じているという菊池。「ほんとうにエネルギーの塊とぶつかっている感じです」と鈴木も続ける。

「こちらではその勢いをどんどん加速させ、成長していく企業がほんとうに多いのです。成長が止まった市場でいかに収益力を保つか、という守りの姿勢ではない。日本企業も多く進出してきて、現地企業との提携も進んでいます。さらに経済成長が見込めるとなれば、その国の規制が変わることもあり得るのです。そんな動きを間近で感じられるのはすごく楽しいです。毎日新しい発見の連続です」。

自分たち自身も現状維持するつもりはない。アジアの変化のスピードに合わせて常に全速力で駆け抜けている。日本経済新聞社が描くグローバル戦略。みなさんが入社するころには、さらに大きな動きもあるかもしれない。そんなダイナミックで刺激のあるフィールドがここにはある。

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