日経産業消費研究所 地域グループ
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| 《地域の波動を伝える「日経地域情報」432号から》 |
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◆特集 転換期の地方公営企業(上)
国の制度改革や自治体の財政悪化などを背景に、地方公営企業が抜本的な経営改革に迫られている。その中で改革の動きが広がり出しているのが、自治体との二重構造の中で経営努力を怠った結果、累積赤字が膨らみ続ける病院事業(自治体病院)だ。経営責任を明確化、収益向上につなげるため、予算・人事権限などを委譲する管理者を設置する自治体が相次ぐ一方、民間医療機関に事業を譲渡する民営化や統合のケースも増え始めている。--待ったなしの自治体病院改革◆ ■6割強の事業が赤字、累積赤字は7割強 自治体が経営する病院事業(地方公営企業法を適用する病院事業)は2002年度末現在で764事業(=団体、建設中の3事業を含む)で、これら団体が持つ自治体病院の数は1007病院(うち建設中が7病院)に上る。総務省がまとめた2002年度の決算で見ると、純損益ベースで赤字になった事業は474事業で、営業中の761事業の62.3%に当たる。赤字事業の数は前年度に比べ109事業(29.9%)増加。赤字の総額は1516億円と前年度比48.8%増えた。累積欠損金も膨らんでいる。総額は1兆5123億円で前年度に比べ8.9%増加(図)。自治体病院の7割強が累積欠損金を抱えている。累積欠損金が増大している背景として、自治体病院がへき地医療や救急医療など採算面で厳しい部門を担っていることや、減価償却費の増加などによる損失が引き続き生じていることが挙げられるが、「医業収益を上げるなどの経営努力を怠り放漫経営を続けてきたツケ」(総務省地方公営企業アドバイザー・公認会計士の長隆氏)を指摘する関係者も多い。 ![]() ■経営責任明確化へ、全権委譲の管理者設置急増 自治体病院の経営悪化に歯止めをかけるため、公営企業法の全部適用に移行するところが急増している。全部適用は法律上、適用を義務づけられる「財務規定」(発生主義原則に基づく企業会計方式などの導入)だけでなく、任意適用とされている「組織及び身分取り扱いに関する規定」を条例で定めて新たに適用するもので、予算原案の作成、内部組織の設置、職員の任免など、病院経営に関する広範な権限が首長から管理者に委譲される。全部適用では経営責任が明確になり、効率的な運営体制確立が可能になるといわれる。 全部適用を実行に移している自治体(一部事務組合を含む)は2003年4月現在、全体の7%弱に当たる53団体で、病院数では136病院。2000年以降、宮城県、山形県、群馬県、埼玉県、静岡県、兵庫県の6県、宮城県豊里町、埼玉県草加市、岡山市、岡山県笠岡市、同県井原市、和歌山県有田市、長崎市、広島県御調町の8市町の計14団体が相次いで全部適用団体になった。全部適用の予定・検討組も少なくない。2004年4月から全部適用に移行するのは福島県、千葉県、愛知県、長崎県、三重県伊勢市の5団体(計24病院)。いずれも管理者を設置する予定。 ■民営化の動きも拡大の可能性 経営改革の選択肢として民間医療機関に資産譲渡する民営化の動きも増え始めている。これまでに、自治体病院で民営化したのは北九州市、北海道砂原町、山梨県石和町の3団体だが、新たに徳島県鳴門市と大分県佐賀関町が2004年度に民営化を実施。さらに福岡県が県立病院では初めて5病院ある県立病院のうち4病院を2005年度から順次民間に譲渡する方針を打ち出した。資産を譲渡する民営化の場合、その受け皿があることが大前提になり、しかも職員の再雇用という問題をクリアする必要があるが、民間病院が比較的多く立地し、自治体病院の存在意義が小さいところでは民営化の動きは今後広がる可能性がある。 ■サテライト化や統合も焦点に 自治体病院間の機能分担によるサテライト化や統合の動きも出ている。サテライト化では山形県置賜地域の自治体病院が県と地元市町村がつくった置賜広域病院組合の総合病院と、そのサテライト病院に再編されたのが先駆け的な動きで、岩手県や青森県でも同様の取り組みが始まっている。東京都でも都立病院の機能分担による再編が計画されている。とりわけ市町村立病院に関しては、モータリゼーションの進展などを背景に「1つの市町村に1つの自治体病院が必要か」との指摘が根強くある。市町村合併が進めば、市町村立病院の統合、さらには県立病院を含めた統合の機運が出てくるだろう。 |
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