NIKKEI NET
日経地域情報化大賞2007
トップページ 2007年受賞プロジェクト 審査委員長講評 記念シンポジウム

【パネル討論】
 テーマ: 「安全・安心を守るために――いま求められる地域情報化の役割」

地域情報化フォーラム in にいがたのディスカッションに参加したパネリストら=2日、新潟市
 ITを活用した地域活性化について意見を交わす「地域情報化フォーラム inにいがた」(日本経済新聞社など主催)のパネルディスカッションが2日午後行われ、新潟大学法学部の鈴木正朝教授や、「日経地域情報化大賞2007」で特別賞を受賞した柏崎コミュニティ放送「FMピッカラ」の船崎幸子放送部長らが各地域のITを活用した安全への取り組みについて議論した。

 まず、安心・安全を守るためITを活用し表彰された受賞者3組が具体的な事例を紹介し、それらを動かす上で悩ましい課題となっている個人情報保護法に新潟大学法学部の鈴木正朝教授が問題提起を行った。

 岩手県立大学社会福祉学部の小川晃子准教授はLモードを利用した高齢者の安否確認システムを紹介。「高齢者は“遠慮の文化”を持ち、体調が悪いときでも周りに知らせない。孤独死を防ぐために、見守り系のシステムが必要」と指摘した。GPS携帯電話を使った子供の防犯対策システムを運営する藤沢市市民自治推進課の松久雅治主幹は「学校への携帯の持ち込みは禁止されており、教育委員会からはなかなか理解が得られなかった」と苦労を語った。

 FMピッカラは中越沖地震の発生からわずか1分45秒で災害放送を開始し、24時間放送で安心感を届けた。聴取者からはメールやBBSで多くの役立つ情報が寄せられたが、一方では災害直後は真偽を確認できず、混乱が落ち着いてからはクレームや中傷が増えるなどの問題も生じたという。「あそこの避難所ではカレーライスが配られたのに、どうしてうちではないのか」などの苦情が寄せられたといい、「情報の取り扱いには慎重になった」と船崎氏は振り返った。

 鈴木氏は「安心安全にかかわる仕事は本来公のものだが、自治体にかかわらず民間に広がっている。しかし、活動をするうえで個人情報保護法がネックになっており、支える仕組みが必要だ」と法制度の問題点を指摘。会場からは「個人情報保護法で名簿も作れず、緊急時に対応できるような個別法も整備されていない」などの声が上がった。

 司会を務めた慶應大学総合政策学部の國領二郎教授は、「安心安全の話というのは時によってニーズが変化し、地域の文脈によって対応しなければいけないことが変わる。現場に即した議論と意識共有が大事だ」とまとめ、議論を締めくくった。
<< 記念シンポジウムトップへ

 NIKKEI NET ▲ 上へ 
Copyright 2007 Nikkei Inc. / Nikkei Digital Media, Inc. All rights reserved.