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日経地域情報化大賞2006
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【パネル討論】
 テーマ: 「引き出せ地域の力〜コミュニティ・パワーを全開しよう!」

地域情報化フォーラム in SAGAのディスカッションに参加したパネリストら=22日、佐賀市
 ITを活用した地域活性化について意見を交わす「地域情報化フォーラム inSAGA」(日本経済新聞社など主催)のパネルディスカッションが22日午後行われ、前三重県知事で早稲田大学教授の北川正恭氏や、「日経地域情報化大賞2006」で日本経済新聞社賞を受賞した「はままつ子育てネットワークぴっぴ」の原田博子理事長らが各地域の取り組みについて議論した。北川氏は「住民自治の時代には地域の『宝物』を探す創意工夫が大事」と指摘。他の参加者からも行政に依存しないコミュニティー作りが不可欠との意見が相次いだ。

 ディスカッションには情報化大賞で各賞を受賞した4団体の関係者が出席した。いずれも文化情報や育児情報などの発信や、地域内のコミュニティー作りに力を入れている点が特徴。例えば山形県の新庄ミニFM発起人会による域内放送局「FM FLOWER」は、市内の会社員や商店主らが中心となってラジオ放送やインターネットの動画配信などを手がけており、住民自らが参加するメディア作りを旗印として掲げている。

 討論では市民中心の情報化を発展させる工夫について、独自の意見が相次いだ。地域SNSで草分け的な「ごろっとやっちろ」を運営する熊本県八代市企画振興部の小林隆生主任は「ネット時代には『ほったらかし』的なモデルも有効では」と指摘。市が以前開設していた地域情報サイトはアクセスがあまり集まらなかったが、SNSに衣替えしたところ参加者が4倍の2200人、書き込みも14倍に増えた。行政が目的を決めて推進するより、いろいろな人間関係を生み出す余地を残すほうが成功に結びつきやすいという。

 「『教育』というキーワードが周りを巻き込むうえで大きな手助けとなった」と語るのは、有田工業高校の中村隆敏教諭。同校では生徒が中心となって陶芸市の映像中継や陶芸作品のデータベース化などを手がけている。普通の業者が同様の取り組みをしてもなかなか周囲の理解を得にくいが、「授業の一環」とのテーマを打ち出すことで多くの町民の協力が得られたという。新庄ミニFM発起人会前会長の田中玲氏は「自分たちが楽しめるかどうかが一番大切。良い意味で義務感を持たないことが大事」と指摘した。

 一方で、「行政と対等な立場で取り組みを進めるには自分たちが力をつけないと駄目」と語ったのは浜松市で子育て支援のNPO法人を運営する原田氏。行政から必要なサポートを受け、なおかつ市民からも信頼を受けるには、組織として一人前となることが不可欠だと指摘した。

 北川氏はディスカッションのまとめで「以前の地域行政では住民が官に『何かをお願いする』ことが常態化していたが、これからは住民自らが力をつけていかなければならない」との持論を展開。各地域が独自の良さを引き出すことが大切だと語るとともに、今後受賞者と同様のケースが増えることへの期待を語った。

 パネルディスカッションに先立つトークショーでは大賞を受賞した長崎県の島村秀世総務部理事らが講演した。島村氏は電子県庁システムの小分け発注方式について「地元企業への発注比率が金額ベースで46%と4年間で3倍に増え、案件ベースで4分の3を占めるまでになった」と実績を紹介。「役所は民間と違って時間がたっぷりあるのだから、長い視点での取り組みが必要だ」と、地域情報化にあたっての心構えを説いた。

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