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日経地域情報化大賞2003
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【パネルセッション】
 テーマ: 「地域は日本を変えるか――ネット社会の新たな展開」

 シンポジウムの最後は、パネルセッション。「地域は日本を変えるか――ネット社会の新たな展開」をテーマに、慶応義塾大学環境情報学部の国領二郎教授の司会で、受賞団体の代表者をはじめ、各地で地域の情報化に取り組む企業人、専門家らが活発な議論を繰り広げた。

 出席者は岡山市の萩原誠司市長 、シニアSOHO普及サロン・三鷹の堀池喜一郎代表理事、関西ブロードバンドの三須久社長、ワイズスタッフの田澤由利代表取締役、岐阜県の神成淳司情報技術顧問。

 国領:地域情報化について、思いをともにした人たちがここに集まっている。会場に集まっているみなさんを元気にさせる、成功のためのエッセンスは何か、何が必要なのか、を語ってほしい。


堀池喜一郎・シニアSOHO普及サロン・三鷹代表理事
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 堀池:地域でのIT学習ニーズはお年寄りや主婦が対象だ。一般的なサポートではなく、そうした層に特化したプログラムが必要だった。シニアSOHO普及サロン・三鷹では、幸い、仲間に教育の専門家がいたこともあり、オリジナルの教材を開発するなど独自のプログラムを作っていると高い評価を得た。そうした積み重ねが、収入に結びつき、お年寄りの仕事に対するモチベーションにも結びついてくる。事業そのものが軌道に乗り、シニアのパワーアップにつながった。

 三須:兵庫県は日本の縮図と言われ、都市部と周辺地域の格差が大きい。明確なデジタルデバイドがある。そこで、大手事業者と違う形で、インフラを整備できないかと言うことで起業した。


萩原誠司・岡山市長
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 100%のブロードバンド化を旗印に、行政の情報ハイウエーを利用し、官民一体のコラボレーションで、都市部以外にもブロードバンドを提供するようにした。地方のブロードバンド化が遅れているのは明らか。しかし、情報ハイウエーなど既存のインフラを活用すれば、ブロードバンド化は実現できる。

 萩原:岡山市では市民参加型の電子行政に取り組んでいる。受賞こそ逃したが、岡山市の多くの人々が今回の地域情報化大賞に応募した。

 地方自治は住民の共同体であり、住民の参加が必要不可欠だ。しかし、高齢化・都市化の影響で全員が参加することは難しい。そこで岡山市では、電子町内会を作り、ITを駆使した住民の組織化を試みた。


田澤由利・ワイズスタッフ代表取締役
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 田澤:北海道・北見市でネットを使った在宅勤務”ネットオフィス”を運営している。SOHOというと従来は”一匹狼”のイメージが強かったが、管理することで生かされるSOHOもある。遠隔地にいる人で、たとえ”一匹狼”でなくても、ネットオフィスがあれば、誰でも仕事ができるようになっている。

 神成:5年後、10年後に自分の好きな場所に住みたい、そこで仕事したい、自分の子供を育てたいと思えば、次の世代まで豊かであるような地域を作らなければ行けない。しかし、地域情報化というと、情報化そのものが目的になってしまうケースが多い。何をしたいのか、何をしなければいけないのかを明確にすることが肝心だ。

 自治体の情報化は、従来の行政サービスを電子化しただけのものが多い。毎日使うサービスとどのように連携するかが大事だ。年に1回しか使わないようなサービスを電子化しても意味がない。岐阜では、図書館に行かなくても本の借り出し・返却をコンビニでできるようにしている。商用サービスとの融合が必要だ。

 各市町村の情報化の進展具合をABCDで評価する試みもしている。


神成淳司・岐阜県情報技術顧問
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 田澤:地域によって格差があることは確か。ネットスタッフの中には、物理的に回線が来ていないために、ブロードバンドを使えない人がいる。ビジネスが成り立たない地域なのだろうが、そこは行政に支援をしてもらいたい。

 萩原:デバイドがいけない、と言う先入観がありすぎるのではないだろうか。自治体も競争している。どこへ行っても同じでは、進歩はない。岡山は進んでいるんだというのを積極的にアピールしたい。

 国領:会場から、情報化のその先に何を目指しているのか? という質問が出たが、どうお考えでしょうか。


三須久・関西ブロードバンド社長
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 神成:地域の雇用を創造するということでしょうか。そのためにも地域の中で自立的・自発的にリーダーが立ち上がり、それを自治体が受けて立つという構図が望ましい。

 国領:リーダーは、待っていたら出てくるのでしょうか。

 田澤:地方では何かやりたいという人は都会に出ていく傾向があります。なので、リーダーになりやすいとすれば、一度都会に出ていって帰ってきた人でしょう。ITを駆使し、地方でも自立できるようになれば人も帰ってきます。根本は、その地域・地方に仕事を創造できるかどうかだと思います。

 神成:東京より岐阜の方が、仕事がうまくできると思えばがんばれるはずです。少なくともうまくいくかもしれないと語り合うこと、地域に夢を持つことだ大事だと考えます。


国領二郎・慶応大学環境情報学部教授
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 国領:総括すると、官民のコラボレーションは大事だが、明確なポリシーできちんと運用しないと無駄なことも起こりうる。イニシアティブをとっている人をスポイルすることさえある。地域で、自発的に組織化するようなリーダーがいて、それを受け止める自治体がいて――という形が重要。いいリーダーのもと、地域としての魅力作りに取り組むことがカギになる。さらには、アウトプットにも責任をもてるような組織を作る。そうすれば、地域間で競い合うこともできるでしょう。

 日本は地域から変えるだという考え方で、お互いに助け、教え合いながら前進していきましょう。
 パネリスト
萩原 誠司岡山市長
堀池喜一郎シニアSOHO普及サロン・三鷹 代表理事(日経地域情報化大賞受賞者)
三須   久関西ブロードバンド 社長(日経地域情報化大賞受賞者)
田澤 由利ワイズスタッフ 代表取締役(北海道でのネットオフィス[SOHO]による事業家)
神成 淳司岐阜県情報技術顧問
 司 会
国領 二郎慶応大学環境情報学部教授
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