IT機器の消費電力を削減する「グリーンIT」の取り組みが企業に広がっている。特にビジネスに不可欠な存在になったPCは、企業内で膨大な数が利用されており、IT機器の消費電力量のなかで大きな割合を占めている。PCの利便性を損なわず、グリーンITを実現する最適解ともいえるのが「シンクライアント」である。シンクライアントは消費電力を抑制するだけでなく業務効率の改善など「攻め」のビジネス展開にも有効なソリューションだ。
今日の企業経営はITを抜きには考えられない。ビジネスの最前線ともいえる現場業務はもちろん、迅速・的確な判断が求められる経営層に至るまで、ITが支えているといっても過言ではないだろう。ITの用途が広がるなか、アプリケーションやデータの大容量化が加速し、IT機器の消費電力量は急増。それに伴う二酸化炭素の排出量拡大が大きな課題となっている。
日本ヒューレット・パッカードの松本 光吉氏は「肥大化するIT機器の消費電力を抑制し、環境負荷の軽減に貢献するグリーンITは、CSRの観点からも避けて通れない経営課題です」と訴える。
企業システムを支えるIT機器はサーバー、ストレージ、ネットワーク機器、PCなど多岐にわたる。そのなかでも電力消費に伴う二酸化炭素の排出比率で大きな割合を占めるのがPC(モニター含む)である。PCはいまや1人1台は当たり前になっており、企業内では膨大な台数が利用されている。松本氏は「企業のIT機器における二酸化炭素排出比率のうち、PCは全体の約4割を占めるといわれています。グリーンITを実現するには、PCの省電力化を考えることが非常に重要です」と指摘する。
こうした課題を解決するうえで有効なのが「シンクライアント」である。シンクライアントとはハードディスクを持たないクライアント端末を活用するシステムのことを指す。一般のPCはデータ処理を行う「演算部」、アプリケーションや作成したファイル/データなどを保存する「記憶部」、入力情報や処理結果をモニターに表示する「表示部」が一体となっているが、シンクライアントは表示部を独立させ、演算部と記憶部は統合的なサーバー/ストレージ環境に集約する仕組みである。

日本ヒューレット・パッカード株式会社
執行役員
パーソナルシステムズ事業統括
マーケティング統括本部
統括本部長
松本 光吉氏
オフィスには表示端末のみ設置し、ネットワークを介してデータセンターの演算部と記憶部の機能を利用すれば、その分の消費電力を集中的にコントロールできる。「従来型PCと、日本HPが提供しているブレードPC型のシンクライアント・システム『HP CCI』の消費電力量を比較すると、CPU100%稼働の場合、従来型PCの消費電力は136W、それに対し、HP CCIの消費電力は約半分の71.5Wです」と松本氏は語る。
前述したように、シンクライアント・システムは演算部と記憶部を担うサーバーやストレージを、データセンター内に集約し統合的に管理する。オフィスは基本的に人が作業する場所なので、IT機器に最適な空調や冷却設備を整えることはできない。しかし、データセンターならそれが可能だ。冷却のための空調電力、排熱処理、電源設備における変換ロスなどを効率化することで、消費電力量を抑制できるという。
また、日本HPではブレードPCを採用したHP CCIにおいて、さらなる省電力化が可能な自動電源運用機能を提供している。表示端末からの接続要求に対して、空いているブレードPCを自動的に割り当て、稼働率を最大化する。電源停止中のブレードPCは稼働させないで済むため、その分の消費電力を抑制できるのだ。
「これらの取り組みを推進することで、電力効率は相乗的に向上します。当社の試算では、従来のPCを使う場合に比べて、最大60%以上の消費電力の削減が可能になります。シンクライアントは、グリーンITを進めるうえで大変効果的なソリューションです。」と松本氏は強調する。
