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景気循環に見る地域格差(上) 〜都道府県別CIを試算、過半数が下降局面に

経済の「地域間格差」に注目が集まるなかで、地域ごとに景気動向を迅速かつ的確にとらえることが重要になっています。景気指数作成支援ツール「NEEDS-CIDIc (CI&DI Calculator)」を使って月次の共通指標から都道府県別CI(コンポジット・インデックス)を試算してみました。

異なるモノサシでは比較できず

景気動向指数の公表状況

内閣府の景気動向指数は本年6月9日に公表した4月分から、それ以前のDI(ディフュージョン・インデックス)に代わり、DIと同じ構成指標からなるCIが公表の中心となりました。CIは景気の回復の勢いや後退の厳しさといった「量感」を表します。現在、民間委託を含めて36の道府県において公表されている景気動向指数も今後徐々にCIへシフトしていくと見込まれます。ただ各自治体のDIは構成指標がバラバラです。内閣府と同様に自治体もCIをDIと同じ指標で作成すると、モノサシが異なるため景気の「量感」を地域間比較できません。

一方、都道府県の経済統計は景気を地域間比較する観点からは整備が遅れています。景気動向を迅速にとらえるには年次や四半期データでは不十分であり月次データが欠かせませんが、長期にわたって一覧できる都道府県の月次統計は有効求人倍率や大型小売店販売額などに限られるためです。

月次の共通4指標でCIを作成

内閣府CIと4指標のCI

地域別の景気分析といえばデータ制約から都道府県ではなく地域ブロックを対象にしたものが多く、月次の共通指標を使った全都道府県の景気指数は見当たらないようです。そこでNEEDSでは都道府県の月次の主要経済指標を整備し、内閣府の方法に準じて47都道府県のCIを試算しました。

共通の指標として用いたのは(1)鉱工業生産指数、(2)実質大型小売店販売額(各都道府県庁所在地の消費者物価指数で実質化)、(3)全産業所定外労働時間数、(4)有効求人数の4つの月次データで、それぞれ生産、支出、所得、雇用を代表する指標となっています。CIの算出期間はすべての都道府県について1985年12月から2007年12月までと期間をそろえました。

好況の地域が日本全体を支える

CIが上昇局面にある都道府県の割合

試算した各都道府県のCIは構成指標が4つと少ないものの、日本全体の景気循環に沿った動きを示しています。全国ベースの統計から4指標でCIを作成してみると内閣府のCI一致指数と似通った動きとなっています。試算した都道府県別CIは全国ベースの統計を都道府県にブレークダウンしたものと言えます。

CIが上昇局面にある都道府県の割合をNEEDS-CIDIcのヒストリカルDI計算機能を使って算出してみました。これはCIが上昇している都道府県の割合、つまり地域的な景気回復の浸透度合いを示します。2002年1月を「谷」とする景気回復局面でこの割合は2007年2月に50%を切り、その後も50%を下回っています。日本全体のなかで過半数の地域でCIが下降局面に入っていると解釈できます。

内閣府の景気動向指数は昨年末時点ではまだ明確に景気後退のシグナルを発信しておらず、都道府県別CIから導かれる結果とは食い違っています。これは好況の地域が下降局面の地域の落ち込みを穴埋めし、日本経済全体が何とか持ちこたえている、と解釈できます。

(日本経済新聞社NEEDSカンパニー 小野寺敬)