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CIで景気を再点検すると 〜底堅いが先行き不安も

企業業績に減速感が広がり、国内景気の先行きを危ぶむ声が聞かれます。景気判断の要(かなめ)と言われる内閣府の景気動向指数を使い、足元の景気を再点検してみました。

6月からCI中心の公表に

景気動向指数とは、景気と連動性が高い複数の経済指標の動きを1つの指数にまとめたものです。今年6月(4月分のデータ)からは、これまで景気を判断する際に重視されてきたDI(ディフュージョン・インデックス)に代わり、CI(コンポジット・インデックス)を中心とした公表に切り替わることが決まっています。

このCI、DIは同じ指標から算出されます。現在の採用指標は、先行指数が実質機械受注や新規求人数など12系列、一致指数に鉱工業生産指数や中小企業売上高など11系列、遅行指数は第3次産業活動指数など6系列です。

先行指数・一致指数・遅行指数の一覧

CIは「強弱」、DIは「向き」

ヒストリ駆るDIは基準となる50超を保つ

DIは採用指標の中で3カ月前に比べ数値が上昇した系列の割合です。この割合が50%を超えていれば景気は拡大局面、下回っていれば下降局面にあることを示しますが、値の大小で景気の強弱を説明することはできません。つまり、DIは回復局面、後退局面といった景気の「向き」を表す指標なのです。

他方、CIは各指標の前月からの変化率を平均し、累積したうえで1つの指数に合成したものです。数値の振れの大きさは景気変動の勢いを表します。このように、DIでは表せない景気の「強弱」も表現できるのがCIの利点です。

景気の転換点を判別する際にはこれらとは別にヒストリカルDIが用いられます。ヒストリカルDIを作成するには、まず、ブライ・ボッシャン法と呼ばれる転換点の設定法を適用して一致指数を構成する指標のそれぞれの「山」と「谷」の年月を特定します。そして「谷」から「山」に至る期間にある指標は「上昇(プラス)」、「山」から「谷」に至る期間にある指標は「下降(マイナス)」とみなし、上昇している指標の割合を算出します。政府は、このヒストリカルDIが50%を上回るか下回るかを公式の景気判断の材料にしています。2月までのヒストリカルDIでは、この50%を上回る状況が続いています。

「後退入り」判断は時期尚早

一致CIの山はまだ

右図は、4月21日に公表された一致CIです。足元の一致CIは高水準にありますが、小幅な上下動を繰り返す、いわゆる横ばいの状態です。つまり、CIによると2002年2月から始まった景気回復局面は続いているものの、その勢いが弱まっていることが分かります。このような景気の強弱(量感)は、DIではなかなか説明できないものです。この一致CIを1つの指標と見立て、ブライ・ボッシャン法を用いて「山」「谷」を表示しました。シャドーの期間は、景気後退局面を表します。ブライ・ボッシャン法ではまだ「山」は認められません。CIの観点からも、現時点で景気がピークを打ち後退局面に入った、と判断するのは時期尚早と言えそうです。

先行きはなお予断許さず

横ばい局面が続く

では、先行きの景気はどうなるのでしょうか。一致指数に採用されている11指標それぞれについて、過去のデータの動きから将来予測する時系列モデルという手法を使って今後1年程度の推移を試算し、そのデータから再度、一致CIおよびヒストリカルDIを算出してみました。

その結果では、ヒストリカルDIは50%を上回り、CIはフラットな高原状態が続きます。横ばいの局面が長引くものの、当面は景気後退期には入らないと解釈できます。

ただ、米国景気の減速や円高で輸出が鈍化し、生産にブレーキがかかれば、生産関連の指標が多く採用されている一致CIやDIは急速に悪化する可能性もあります。原燃料価格の高騰も企業収益や家計を圧迫しています。景気動向指数で見た足元の景気は底堅さを示していますが先行きはなお予断を許しません。

(日本経済新聞社NEEDSカンパニー 堀口亜希子)