地方自治体への寄付金を税優遇する「ふるさと納税」や地方法人二税(事業税・住民税)の配分見直しへの議論が活発化するなど、税収の地域間格差を是正すべきとの声が高まっています。2006年度決算(速報)を収録した「都市財政比較07年版」などを使い、地域間格差の背景を探りました。
明暗分かれる中核市
格差は大都市と小規模な地方自治体との間にだけ起きている現象ではありません。政令指定都市に準ずる権限を持った人口30万人以上の市である中核市同士を比べても格差は目立っています。
06年度末の段階で中核市に指定されていた市は全国に37市あります。これらの市について財政基盤の強さを示す「単年度財政力指数(=基準財政収入額/基準財政需要額)」を比較したところ、最上位の豊田市(愛知県)と最下位の函館市(北海道)の間には大きな差が生じ、しかも06年度にはその差が前年度よりも広がっていることがわかりました。上位および下位5市の自治体をそれぞれグループ化し、主要な財政指標のグループ間の差が05年度と比べてどのように変化したかを見てみます。
05年度の格差の状態を1にした場合、06年度の1年間に単年度財政力指数のほかにも経常収支比率、実質公債費比率などで格差が6−10%程度拡大したことがわかります。では両グループの明暗を分けたものは何だったのでしょうか。
製造業が呼び込むプラスの連鎖
財政力指数と相関の高い「二次産業従事者の割合」および「若年人口比率」のデータについて、平均値からの乖離幅で散布図を描きました。
これによると、財政力指数の上位グループは、製造業に代表される二次産業に従事する人口比率と若年の人口比率がともに高い領域(右上)に、一方、下位グループは二次産業比率も若年人口比率も低い領域(左下)に多く存在しています。下位グループの地域は、総じて三次産業比率と高齢人口比率が高い傾向にあります。
さらに00年と05年のデータを比較したところ、上位グループの方が二次産業従事者の増加率は高く、若年人口の減少率は低くなっていました。好調な基幹産業(二次産業)のある都市では若者の定着度合いが高く、結果的に財政力の格差拡大につながったとの見方ができそうです。
財政構造にも違い
けん引役となる二次産業の有無は、財政構造の違いにも表れています。歳入全体に占める地方税の割合は、財政力指数が上位のグループと下位のグループで2倍強も違っています。法人市民税の割合では、その差は3倍以上です。製造業が集中し企業活動が活発な地域には人も集まり、法人市民税やその他の地方税収で財政に余裕が生まれやすくなるわけです。
気になるのは歳出面の性格の違いです。社会保障など扶助費が歳出全体に占める割合は、財政力指数が下位のグループで突出して高くなっています。一方、インフラの整備など投資的経費(普通建設事業費)が歳出全体に占める割合は、財政力指数が上位のグループで一段と高くなっています。
税収確保・格差是正のために強い製造業の誘致が有効なことは明らかです。ところがこの構図は、財政力のある地域は投資余力でより一層の財政力・経済力を身につける一方、財政力の弱い地域はそのくびきからますます脱しづらくなることを示しています。
税収の地域間格差を是正するため、政策的に税源の配分を見直す機運が高まっていますが、重要なのは、それら政策の手当てが最終的な果実に結びつくかどうかです。自治体自身の日ごろからの取り組みも重要です。例えば、企業誘致のチャンスが訪れたときに好機を逸さないよう、能動的かつ積極的に政策を遂行(Plan-Do-See)できる体質を作っておくことや、企業のニーズにあったインフラの整備などの積み重ねが、格差是正策によって「地域の活力」を本当に取り戻せるかどうかのカギになりそうです。
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