「京都ブランド」の効果はいかに?

緑茶飲料「綾鷹」と「辻利」


 

京都の老舗茶舗と共同開発した緑茶飲料の発売が相次いでいます。日本コカ・コーラは10月に「綾鷹上煎茶」、日本たばこ(JT)は9月に「辻利」を投入しました。京都の老舗メーカーとの提携による商品ではサントリーの「伊右衛門」がペットボトル入り緑茶飲料で2割以上のシェアを獲得しており、各社は京都ブランドの活用による市場への食い込みを狙っています。日経POS情報サービスのデータを使い、緑茶飲料「秋の陣」の最前線を追いました。

コカ・コーラとJT、京都ブランドとの提携で新商品

「綾鷹」は日本コカ・コーラと京都・上林春松本店(かんばやししゅんしょうほんてん)の共同開発による商品です。急須で入れたときのような“にごり”をお茶に残すことで、「舌にうまみが残るふくよかな味わいを実現した」としています。10月8日にコンビニエンスストアと自動販売機で発売しました。

一方の「辻利」はJTと京都の辻利一本店が開発。老舗茶舗のメーカー名を前面に押し出すことで、ブランドの浸透を図っています。こちらは9月3日にスーパーやコンビニ等で販売を開始しています。


明暗が分かれた「綾鷹」と「辻利」

日経POS情報の週次データによると、「綾鷹上煎茶 425mlペットボトル」の発売初週(10月8−14日の週)の首都圏コンビニエンスストアでの来店千人当り金額は997円。その後は減少傾向が続き、11月12―18日の週は407円に下落したものの、ライバル商品ともいえるサントリー「伊右衛門 500mlペットボトル」の413円とほぼ同水準となっています。

一方の「辻利 500mlペットボトル」は発売初週(9月3―9日の週)こそ千人当り金額が663円を記録したものの、その後は落ち込みが続き、11月12―18日の週には44円となりました。販売当初は好調だった両商品も、その後の推移では綾鷹と辻利で明暗が分かれたようです。

両者の売り上げに差が出たのはなぜでしょうか。それを読み解く鍵となるのは商品の「カバー率」です。カバー率とはPOSデータの集計対象の店舗のうち商品の販売実績があった比率を指し、商品を陳列した店の割合とほぼ同じ数値となります。カバー率が大きければ、より多いお店で商品が陳列されていると見てよく、逆にカバー率が低ければ、お店の陳列が減って定番商品になりづらかったことを示します。

綾鷹 425mlのカバー率は常に90%前後で推移しており、特に10月15―21日の週は98.5%と、伊右衛門 500mlのカバー率を11.7ポイント上回りました。最新週(11月12―18日の週)では伊右衛門 500mlが94.1%と巻き返しており、両者は激しい販売競争を続けています。

一方の辻利 500mlは発売初週(9月3―9日の週)こそ73.5%を記録したものの、その後は下落が続き、11月5―11日の週のカバー率は16.2%となりました。販売実績のある店舗に限った千人当り金額は10月では300円台を維持しており、商品が置いてある店舗での売り上げは低くないのですが、カバー率の落ち込みが全体の販売額の下落につながったといえそうです。


市場シェアへの影響は?

綾鷹の発売によって緑茶飲料市場にどのような変化が起きたのでしょうか。

ペットボトル入り緑茶飲料のブランド別でみた週間シェア推移を見ると、綾鷹 425mlが初登場した10月8―15日の週はキリンビバレッジの「生茶」が前週比マイナス8.4%と半分以下にシェアを落としたことが分かります。その後、綾鷹の初期需要が一巡するにつれ、生茶の売れ行きも回復してきました。

キリンビバレッジは9月18日に従来商品と比べて高級感を高めた「生茶玉露100%」を投入し、発売初週(9月17―23日の週)の千人当り金額は377円となりました。ところが、綾鷹の発売後となる10月最終週(10月29日―11月4日)は86円に落ちています。プレミアム茶の新商品同士の争いは現時点では綾鷹に軍配が上がったといえそうです。

一方、伊右衛門は10月8―15日の週は前週比プラス0.3%とほとんど影響を受けていません。綾鷹の登場によるシェア変動の影響は、同様に京都ブランドと提携した伊右衛門よりも生茶の方が大きかったといえそうです。

(日本経済新聞デジタルメディアNEEDSカンパニー 小藤千佳)

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