2005年度自治体決算を分析

新指標「実質公債費比率」に注目


2005年度の地方自治体決算がまとまりました。注目を集めているのは「実質公債費比率」と呼ばれる新しい指標です。国と地方を合わせ770兆円という膨大な借金を抱えた日本。これまであまりなじみのなかった自治体の財政破たんという事態も現実のものになり始めており、財政改革は待ったなしの状況です。「都市財政比較2006年版」を使って実質公債費比率を中心に自治体の財政状況を分析してみます。

06年4月から地方自治体が資金を調達するために発行する地方債が許可制から協議制に移行しました。従来は地方債の発行には総務大臣や都道府県の許可が必要でしたが、4月以降は財政状態が健全な自治体は原則自由に起債できるようになったのです。起債にあたり「財政状態の健全さ」を客観的に判断するために導入された指標が実質公債費比率です。

実質公債費比率は下記のようにして求められます。

A:地方債の元利償還金
B:準元利償還金
C:元利償還金・準元利償還金充当特定財源
D:基準財政需要額に算入された公債費など
E:標準財政規模
F:臨時財政対策債発行可能額

比率低いほど起債が自由に

わかりやすく言えば、「収入のうち、どのくらいの割合を借金返済に充てているか」を示す指標で、低いほど「財政状態が健全」なことを意味します。総務省は実質公債費比率を基に地方債の起債に関して次のようなルールを定めています。同比率が低いほど起債の制約が少なくなっているのがわかります。

(1) 18%未満 事前協議の上、自由起債
(2) 18〜25%未満 総務相、都道府県による許可制
(3) 25〜35%未満 一般事業などで起債制限
(4) 35%以上 (3)に加え一般公共事業、教育・福祉施設整備事業などでも起債制限

また、実質公債費比率とは別に実質収支比率がマイナス20%を超えた市は財政再建団体となり財政を再建(赤字解消計画の策定とその実施)しなければ原則として地方債を発行できなくなります。

05年度決算で全国777市の実質公債費比率は次のような分布になりました。

協議制に移行したとはいえ、地方債を自由起債できるのは622市と全体の8割にとどまり、残りの2割は従来と変わらず起債に許可が必要です。また、06年夏に財政破たんが表面化した夕張市など8市では起債制限要件である25%を上回りました。

一方、実質公債費比率が極めて低いのは大企業の工場などが集まる地域の自治体が目立ちます。地方税収が歳入総額に占める割合は、実質公債費比率上位10位の市の平均で46.9%ですが、下位10市では29.1%と大きな開きがあります。このことは有力産業の有無が地方財政に大きな影響を与えているといえそうです。


借金の実態をより厳密に

05年度までの地方債起債の許可制の下では、「起債制限比率」という指標が起債の可否に影響していました。これは実質公債費比率と同様に、収入に占める借金返済額の割合を示す指標です。両者の大きな違いは、借金返済額の中に「厳密には公債費負担ではないが、公債費負担と同等の支出」(上記式のBに相当)を含むかどうかです。たとえば水道事業など公営企業会計への一般会計からの繰出金などがここに含まれます。従来の普通会計決算では表面化しなかった分を含む点で、実質公債費比率は自治体の借金の実態をより厳密に表す指標といえます。

(電子メディア局データ事業部 土屋哲生)
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