台頭する中国は日本を脅かす「脅威」なのか。いや、日本製品を大量に買ってくれる良いお客さんだ――。
少し前には景気が悪いのもデフレも中国のせいといった声さえ聞かれたのに、今や中国の需要が国内景気の行方を左右しかねない情勢です。半面、以前だと“米国が風邪をひけば日本は肺炎になる”というたとえがあるほど依存度が大きかった米国の影はだんだんと薄くなりがちです。
本当のところ、日本にとって中国や米国市場の位置づけはどの程度変わったのでしょうか。最近出揃った04年の貿易データなどから、業界ごとに点検してみます。

2004年の中国向け輸出額(合計)は00年からの4年間で2.4倍に急拡大しました。1つの起爆剤になったのが、01年の中国の世界貿易機関(WTO)加盟です。輸入数量制限の廃止や関税引き下げなどで、中国市場の「開放」が進みました。輸出に占める中国向けのシェアは00年には6%だったのが13%へ、米国向けは逆に30%から22%に落ちています。まだ米国の方が上と言えそうですが、中国に香港を加えると19%を超え、互角に近づきます。
輸出に占める中国向けの割合を品目別に見てみましょう。00年に米国を上回っていたのは繊維だけでしたが、04年には化学や、鉄鋼などの金属も米国を上回っています。素材系では中国の優位が明確になってきたと言えそうです。米国が優っている電気機器でも、音響・映像機器用の部品や半導体などの電子部品では中国が上に来ています。特に電子部品は、ここ4年間で大幅に伸びています。
機械類では、「加熱用・冷却用機器」「金属加工機械」などの上昇幅が大きく、米国を超えたり肩を並べるまでなっています。計測機器が大半を占める「精密機械」の上昇ぶりも目を引きます。中国では目下、設備投資が過熱しており、日本から多くの投資財が供給されているようです。
一方、概して耐久消費財は低位のまま。自動車とテレビなどの映像機器は、いずれも中国向けは1−2%にとどまっています。同分野で米国向けの比率が高いのと好対照をなしています。耐久財では、最終製品の組み立ては中国の現地工場で、国内は部品や素材の輸出で稼ぐという構図が明確になっているようです。
中国の存在感が大きくなっているのは、モノの交易だけではありません。ヒトの流れもどんどん太くなっています。
04年に日本を訪れた中国からの観光客は約205,000人と4年前の4.5倍に達する勢いです。米国の453,000人には及びませんが、米国は4年間でやっと2割増。伸びには格段の差があります。
今年はさらに弾みが付く可能性があります。3月25日開幕の愛知万博にあわせて、団体観光客向けのビザ発行の条件が緩和されるからです。ビザの発行対象地域は、現在の3市5省(北京、上海、天津市と広東省、江蘇省など約3億7千万人)から全土(13億人)に広がります。万博後もその継続が検討されています。
日本の観光地も「中国」を意識し始めています。今年2月には、富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)が旧正月(春節)の連休を利用して日本を訪れた中国人観光客のために、遊園地を丸ごと1日開放しました。閑散期のこの時期に日本に来てくれるお客さんは、大変ありがたい存在です。
中国経済は、昨年引き締め政策をとったにもかかわらず、04年10−12月期の成長率は9.5%と減速の兆しがありません。春節期の個人消費は前年を16%上回ったと言われています。活発な投資や購買力の上昇が続く中国のお客様度は当面右肩上がりとなりそうです。