猛暑は景気にプラス。そんな連想をしがちですが、ほぼ定着してきた四半期決算を丹念に読み解くと、熱風を追い風に稼いだ会社がある一方、夏バテで冴えない会社も浮かび上がってきます。NEEDSの決算データを使って、食品業界を例に猛暑効果の明暗を探ってみます。
今年は4−6月期から気温が高めで猛暑の“はしり”が出ていたとはいえ、夏物商戦の帰趨が決まるのはやはり7−9月期。まだ終わってもいない7−9月期の業績をどう占うか。やや粗い手法ですが、9月中間期の予想から4−6期の実績を差し引くことで7−9月期をあぶり出してみます。昨年も四半期決算を開示した3月期決算の全国上場企業について集計したところ、食品業界では今年の7−9月期に75%の企業が前年同期比増収になると予想しています。これは全社平均の70.1%を上回っています。食品のほか小売業や電機も増収会社が多く、猛暑に加えて五輪効果が表れているようです。
増収組が多い食品業界の中で、どんな会社が増収率の上位に来ているのでしょうか。1位の日本食品化工は「コーンスターチ」の最大手。とうもろこしのでん粉である「コーンスターチ」は猛暑で出荷が増えているビールの原料になります。でん粉を加水分解して得られる糖類は飲料や冷菓などの甘味料になり、売り上げは前年同期比2割増が期待できそうです。
野菜飲料大手のカゴメ(6位)、コーヒー飲料やレモン飲料を扱うポッカ(7位)、飲料の受託生産を手がけるジャパンフーズ(8位)もトップ10にランクインしています。6位の井村屋は冬場が需要期の肉まん・あんまんの大手ですが、夏場の収入を確保するため冷菓事業にも注力しています。水ようかん、アイスクリームや、アイスバーの新製品「氷きんつば」の好調を見込み、7−9月期に大幅に稼ぐ計画です。やはり飲料、冷菓メーカーが潤っているようです。
一方、減収となる企業を見ると、洋菓子や家庭向け調味料、食肉加工メーカーで影響が出るようです。気温が30度を超えると洋菓子の売り上げが悪くなる傾向(国内証券アナリスト)があり、秋からが需要期と言われるチョコレートやキャンディーを扱う名糖産業(6位)は減収を見込んでいます。
外食や即席めんメーカー向けに天然調味料の販売を行うアリアケジャパン(3位)、わかめスープや家庭向け調味料の理研ビタミン(9位)も、猛暑時期には食欲不振になりがちなためか夏場は振るわないようです。食欲が減退する夏の季節は食肉加工メーカーにも影響が出ているようです。福留ハム(4位)、丸大食品(7位)、プリマハム(8位)は、ハム・ソーセージなどで補うものの、昨年からの米国産牛肉の輸入停止などの影響も加わり減収を見込んでいます。伊藤ハム(10位)も微増収にとどまりそうです。1位のニチレイと2位の日清製粉グループ本社は一部子会社の売上高が連結対象からはずれたため、2ケタの減収となりました。
内閣府のリポートでは、気温が高い年は夏物製品への支出が増える半面、それ以外の消費が減少、冷夏ならその逆で、全体として気温と消費の相関は弱いと分析しています。猛暑はプラスと決めてかかるのは危ないようです。