「ティックデータ」情報拡充

〜執行コスト分析やコンプライアンス強化に〜

「売買の的確なタイミングを探りたい」「売買の執行にかかるコストを抑えたい」「売買価格が適正なことを示したい」。そんな様々なニーズに応える「ティックデータファイル」に4月3日、CB(転換社債型新株予約権付社債)データが加わります。ヘッジファンドやトレーダー、執行コスト分析やコンプライアンス関連など様々な株式市場関係者の間での利用が広がりつつある同サービスが一段とパワーアップします。

「ティックデータファイル」とは、東証や大証などの取引所に上場する株式や派生商品などについて、すべての注文に伴って発生する約定や気配に関する情報を収録し、それらをまとめてファイルの形でその日のうちに提供するサービスです。対象は、株式(約3,800銘柄)のほか、日経平均などの株価指数(4つの指数対象)や長期国債標準物をはじめとする債券(約100銘柄)の先物・オプション。これらの全上場銘柄・商品に、CB(約180銘柄)が加わります。

証券取引所は、どの価格で、どれだけの売買高で取引が成立したのかという約定情報のほか、すべての注文情報をもとに、「いくらで売りたい(売り気配)、あるいは買いたい(買い気配)か」という気配情報を、最良気配から、売り・買いそれぞれについて、価格と数量を合わせて5本から8本提供しています(名証とJASDAQは最良気配のみ)。これらをファイル化することで、各銘柄の取引について、時々刻々と変わる、売り気配・買い気配の全体像が一目でわかる、いわば「板」情報が分析しやすい形で提供されることになります。

また、これらの情報をもとに、すべての銘柄・商品について、売買高加重平均価格や売り・買いそれぞれについての時間加重気配数量時間加重気配スプレッドといった加工データも、一日の取引、あるいは午前・午後の取引に分けてご利用いただけます(債券の先物・オプションを除く)。

最近の株式市場の活況を背景に「ティックデータファイル」への注目度が高まってきました。たとえば、ここ数年にかけて日本株を積極的に買い進んできた外国人投資家。その代表格ともいわれるヘッジファンドは、保有する日本株や株価指数先物が割安か割高かを判断して売買のタイミングを計る場合などに、「ティックデータ」をもとにした分析結果を用いているといわれています。

1999年10月の株式売買手数料完全自由化を受け、株式の売買に伴うコストへの注目度が高まったことも見逃せません。投資家が証券会社に支払う委託手数料だけでなく、取引のインパクトで価格が必要以上に動いてしまうことに起因する執行コストなど目に見えないコストをいかに下げるかが重要になってきました。執行コストについて「ティックデータ」を使った様々な検証・分析が、国内外の研究者や株式取引関係者の間で行われています。

加えて、ここにきて株式売買が急拡大する一方、場外取引など取引形態が多様化する中で、法令遵守に対する意識が急速に高まってきました。証券会社の監督官庁である金融庁の検査に対する取引価格の正当性の検証など、コンプライアンスを強化する情報として、「ティックデータ」を重要視する動きも広がりそうです。



 
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用 語 説 明
 最良気配 最低価格の売り気配・最高価格の買い気配
 売買高加重平均価格
(VWAP)
価格が成立した売買高をウエイトにして、加重平均された価格
 時間加重気配数量 最良気配が存在した時間をウエイトにして、加重平均された株数。たとえば前場120分の間に売り最良気配が100分間存在し、うち60分間ではその気配数量が1000株、残り40分間ではその気配数量が2000株だった場合、前場売り時間加重気配数量は、(1000×60+2000×40)÷100=1400株となります。
 時間加重気配スプレッド 最良気配値の売りと買いの両方の気配が存在した時間をウエイトにして加重平均された、最良の売り気配と買い気配の価格の差。たとえば後場150分の間に売りと買いの最良気配がともに存在したのが120分間で、うち90分間ではその差が10円、残り30分間ではその差が20円だった場合、後場時間加重気配スプレッドは、(10×90+20×30)÷120=12.5円となります。