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  ■藤沢和雄の「伯楽一顧」
  [藤沢和雄・中央競馬調教師]

  第4回 クラシックに向けて

 少し前の話だが、ダンスインザムードで桜花賞を勝つことができた。勝った後も馬は元気で、23日のオークスに向けて、順調に調教を積んでいる。万全の態勢で送り出したいと思う。

 私のきゅう舎はこれまで、なかなか3歳クラシックに縁がなかった。勝ってみると、やはり馬の能力が違っていたとしか言いようがない。ダンスインザムードは、きゅう舎に入ってから短期間でデビューできたし、使うたびに体重が増えた。レースぶりも楽で、連戦してもテンションが上がることもなかった。何しろ、桜花賞に出走した関東馬7頭で唯一、体重が増えていた(2キロ)。色々な意味で、手のかからない馬なのである。

 「牝馬は繊細で扱いが難しい」といわれるが、私はそう考えていない。同じ年ごろの牡馬と比べたら、はるかに一生懸命でレースにも集中してくれる。少し強く調教しただけで、簡単にその気になる。むしろ、上手に気持ちをはぐらかしてやらないと、プレッシャーがかかり過ぎてしまう。

 その点、若い牡馬はなかなか能力を100%出してくれない。色々なことに興味を持つし、異性も気になる。8日のプリンシパルステークスを勝ったピサノクウカイもそうだ。調教でもレースでもフラフラしていて、なかなか本気で走らない。最近の調教から浅いしゃ眼帯を使い始めたら、やっと動きが変わった。そこでレースでも着用したが、直線でやはり内のさくの方に寄ってしまい最後は接戦だった。ダービーの出走権は取ったが、もっと早く何かしてやることがあったのではと、情けなく思った。

 こういうことは牝馬にはない。ただ、一番困るのは飼い葉を食べてくれないことだ。一昨年、桜花賞で1番人気になったシャイニンルビーも、阪神に輸送したら、体重が22キロも減ってしまい、3着に終わった。牝馬を扱う上で最大のネックだが、食べない馬に食べさせるのは無理だ。年齢を重ねるのを待つしかない。

 シャイニンルビーは8日、2年3カ月ぶりの勝ち星をあげた。京都に輸送したが、体重は2キロ減っただけ。大人になれば自然に解消していく。

 ただ、3歳の時期に無理をさせてしまうと、馬が成長する前に、競馬に嫌気がさしてしまう。レースに出す以上は調教をしなければならないから、体重が減るのは仕方ない。本来ならそういう時期は使わない方がよいのだろう。この辺がクラシック候補を抱えていて、最も悩ましい問題だ。

 オークスが終わってもダンスインザムードの現役生活は終わらない。私はこういう馬はチャンピオンとして引退させてやりたい。そのために、今後も最善を尽くすつもりだ。


 藤沢 和雄(ふじさわ・かずお)
 1951年9月、北海道生まれ。52歳。88年3月開業。93年に初の全国最多勝。95年から9年連続全国最多勝を継続中。98年にタイキシャトルで仏GT制覇。シンボリクリスエスは一昨年から2年連続で年度代表馬に選出された。

[2004年05月18日/日本経済新聞 朝刊]



 
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■藤沢和雄の「伯楽一顧」
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   第1回 馬に個性、難しい調教
第2回 馬を育てる騎手
第3回 発祥の地の光と影
第4回 クラシックに向けて
第5回 勝敗、施設次第なのか
第6回 ポストサンデー
第7回 世界と戦うために
第8回 従業員と向き合う
第9回 敗戦をどう生かすか
第10回 馬の頑張りに声援を
   


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