(12/30)競馬この1年(中)若手伸び悩み――「結果第一」かからぬ声
3歳馬ジャングルポケットが勝った11月25日のジャパンカップ(JC)。レース後の会見で、オリビエ・ペリエ騎手(28、仏)に、英国人記者から質問が出た。「君は日本の騎手から好かれていると思うかい」。ペリエが「それは日本の騎手に聞いてくれ」と答えると、会場は笑いに包まれた。
外国人短期免許を取得して、1994年12月から毎年、欧州のオフシーズンの秋冬に来日。今秋はマイルチャンピオンシップ(ゼンノエルシド)、JC、阪神ジュベナイルフィリーズ(タムロチェリー)と、中央競馬史上初の3週連続G1制覇を達成した。
今年はわずか8週の騎乗で25勝をあげ、収入は推定5000万円以上。本国での年収を軽く上回る荒稼ぎだ。
日本の騎手界を代表する武豊(32)が、2年連続で海外に長期遠征した空白を埋めたのは、ペリエなどの外国人と、安藤勝己(41、笠松)をはじめとする地方所属騎手だ。年間で外国人は8人で109勝、地方騎手は15人で115勝を数え、合計ではJRA全レースの6.5%を占めた。
そんな中、安藤勝が11月にJRAの騎手試験で不合格となった問題は大きな波紋を呼び、ファンからは「二度と(中央では)乗せないんでしょうね」という皮肉たっぷりの声もJRAに届いた。高額賞金の下、ハングリー精神に欠ける中央勢への不満もあってか、地方騎手への支持は厚い。ほかならぬ中央のきゅう舎関係者も、今は安藤勝らに大きく依存している。
その分、若手の活躍の場は狭まった。今年デビューした10人は合計64勝にとどまり、うち2人は勝てなかった。JRA競馬学校(千葉県白井市)開校当初は、武豊のほか、柴田善臣(35)や蛯名正義(32)などが次々に現れたが、近年の卒業者はいま一つ目立たない。
競馬学校の井上敏夫校長は「初期の卒業生は、それまでの馬事公苑出身者より騎乗訓練の量が多く、それが活躍の原因だった」と説明する。大半の騎手が学校で同じように練習し、卒業する今、実力差はその後の実戦経験でついてくる。最近の馬主や調教師は結果を重視し、未熟な若手をあまり起用したがらない。
騎手の育成には学校で実戦並みの騎乗訓練が必要だが、馬が次々に故障するため1人当たり年間数千万円もの経費がかかる。レースになると乗せる側の馬主、調教師は育成より技量不足で勝機を逃すリスクを恐れる。不況と売り上げ不振で世知辛くなった競馬界。騎手育成のコストが重荷になってきた。(野元賢一)
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