(12/29)競馬この1年(上)海外躍進の陰で――カネかけぬ育成法探る
「ゴール前は、羽が生えたように伸びてくれた」。香港・シャティン競馬場で16日行われた香港国際ヴァーズ(G1・芝2400メートル)をステイゴールドで制した武豊騎手は話した。
国内で19回もG1に挑み、2着4回、3着2回タイトルには手が届かなかったが、香港では1番人気となり期待にこたえた。
ステイゴールドだけでなく、同日の香港マイル(G1・芝1600メートル)を圧勝したエイシンプレストンも、3歳になって以降はG1を勝っていない。3月のドバイワールドカップ(G1・ダート約2000メートル)でも、その時点でG1タイトルのなかったトゥザヴィクトリーが2着と健闘。日本の超一流でなくても、海外で通用する時代が訪れたのだ。
3つのG1を全勝した香港だけでなく、11月末のジャパンカップ(JC)とJCダート(東京)でも日本馬は着順掲示板(5着まで)を占拠した。JCは日本馬が4連勝しており、招待馬が集まらないのが日本中央競馬会(JRA)の悩み。甲佐勇・首席ハンデ役は「日本馬が強いのも、来ない理由」と言い切る。
日本馬は今年、海外で延べ11頭出走し4勝2着1回だが、活躍馬の顔ぶれは特徴的だ。通用するのはサンデーサイレンス産駒と外国産馬だけなのだ。エイシンプレストンと香港カップ(GI・芝2000メートル)を勝ったアグネスデジタルは米国産。ステイゴールドとトゥザヴィクトリーはサンデー産駒。4頭とも関西(栗東所属)の馬。サンデーに代表される高資質馬の導入と、関西のきゅう舎間の厳しい競争が、躍進の原動力だ。
日本馬の今後には不安材料も多い。サンデーサイレンスが日本に輸入されたのはバブル経済末期の1990年。不況で馬主や生産者の購買力は低下。馬券の売り上げ減少の影響でJRAは来年度、賞金や諸手当を実質122億円(7.8%)も削減する。高額の種牡馬や外国産競走馬を買うのは難しくなった。
半面、育成・調教技術はかなり進歩している。高額でなかったアグネスデジタルや、国際的には忘れられた血統のエイシンプレストンを発掘し、育てたこともその表れといえる。“カネの切れ目”を、ヒトがどうつなぐかが日本馬の将来を左右する。
(野元賢一)
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