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  [日経新聞運動部記者 野元賢一]

  (7/2)宝塚記念などが国際格付けへ
 6月半ばに行われていたインターナショナル・カタロギング・スタンダード(ICS)会議で、日本の宝塚記念、京王杯SC、毎日王冠の重賞3競走が、国際格付けを与えられることが内定した。日本の競走が国際格付けされたのは、1992年のジャパンC(G1)以来、9年ぶり。宝塚記念は国際G1に、残る2つは国際G2とされている。ジャパンCと違い、いずれも招待競走ではないため、外国馬が大挙して出走した例はないが、過去の出走馬の質から見て、順当な評価と言えるだろう。

 ICSは、もともとはセリ市場の要請で始まった。セリのカタログには、血統表と合わせて、近親馬の競走成績が記載されているが、重賞競走の入着実績は太字(ブラックタイプ)で表示しており、競走の格が高いほど字も太くなる。競馬の国際化で、競走馬の取引も国境を超えるようになるとともに、表示の統一のために、各国の主要競走を一元的に格付けする要請が生じてきた。

 現在の格付けは、国際クラシフィケーションを基準に行われている。上位4頭の年末時点でのレーティングの平均値を算出し、過去2年の平均が115ならG1、110ならG2、105ならG3に該当するとされる。従来、日本では国際格付けについて、「あれはセリ会社が勝手にやっていること」と軽視する雰囲気もあったが、1997年に国際クラシフィケーションに正式参加したことが契機となり、徐々に受け取り方も変わってきた。今年からは毎月、重賞競走のレーティングが公表されており、レースの国際的なポジションも見えやすくなって来た。

 今回、格付けされた3競走だが、まず宝塚記念は頭数が集まらず、売り上げも伸びないため、JRAの頭を悩ませている半面、ここ数年は実力馬が順当に上位を占めている。一昨年はグラスワンダー、スペシャルウィークという2頭のG14勝馬が1、2着。昨年と今年はテイエムオペラオー、メイショウドトウが上位を占めた。いずれも昨年のレーティングが120台。今年の場合、4着のステイゴールドもドバイ・シーマクラシック(G2)を勝っており、文句なしに国際G1の資格がある。海外では少頭数のG1は日常茶飯事で、日本のように頭数が問題になることはないのだ。毎日王冠は「影のG1」と言われるほどで、99年には平均レートが115に達したこともある。京王杯SCも99年から今年まで、コンスタントに平均レートが110をクリアした。相当に強い外国馬でなければ、地の利のある日本馬に勝てないだろう。

 実は、今回もう一つ、格付けされても良いレースがあった。安田記念である。昨年は平均レート115.25でG1の資格を満たしていたが、今年は有力馬が総崩れとなったため、現時点のレースレートが113にとどまった。JRAのG1が国際G2では二重グレードで混乱を招くため、今回は申請を見送った。エアジハード以後の軸不在のマイル路線が、こうした結果を招いたわけだ。

 ただ、国際格付けの条件はもう1つある。外国馬に対して「フルに」門戸を開いていることだ。この点では、3競走いずれも外国馬を上限5頭としており、この問題の扱いが決まって、初めて正式決定となる。例えば、宝塚記念の場合、ファン投票で出走馬10頭を選出するルールがあり、外国馬枠を拡大しようとすれば、現行のルールとの調整が必要となる。しかし、外国馬の過去の参加実績や、ここ数年の日本側の出走頭数を見る限り、これはさして実益のない議論とも言える。外国馬はセトステイヤー1頭。過去10年で、ファン投票10位以内の馬(延べ100頭)のうち、実際に走ったのはたった45頭。むしろ、外国馬が増えた方が興行的にプラスかも知れない。現実的な解決策は、外国馬の出走資格をレーティングで決めてしまうことだろう。枠ではなく、実績でハードルを設定すれば、内外不平等の批判を回避できよう。

 宝塚記念は活性化策がことごとく不発に終わってきたが、国際G1に認定されると、新たな展開の可能性も出てくる。ドバイ―香港―シンガポールと続くアジアの国際競走と連携して「アジアサーキット」を組んだり、エミレーツ・ワールドシリーズに加わることが考えられよう。シンガポールと日本の間には、まだ検疫協定がないが、早期の締結が期待されるところだ。

 現在、日本では平地の国際競走は15あるが、実際に外国馬が走ったのは7競走。関西エリアでは、宝塚記念のセトステイヤーの1件しかない。となると、検疫の受け入れ態勢がある5競馬場の重賞の大半を開放したとしても、外国馬は来ないという予測が成り立つ。今後、香港馬が脅威となるかも知れないが、生産を行っていない地域の馬に負け続けるようなら、日本の競馬がその程度のレベルだったと考えるほかはあるまい。レースを開放すれば、日本の競馬の国際的地位は確実に向上する。そろそろ、従来の発想を改めても良い時期に来ている。



 
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