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  [日経新聞運動部記者 野元賢一]

  (12/4)最強馬の2001年は? テイエムオペラオーの今後
 競走馬の現役寿命は短い。3歳の秋にデビューして5歳の暮れで引退するとして、わずか2年3カ月ほど。強い馬ほど、「無事なうちに早く生産地へ」という要請も強い。そこには、「下手な相手に負けて、種牡馬としての価値が落ちては困る」という打算も入り込む。

 そんな風潮の中にあって、現役最強馬テイエムオペラオーの関係者は、6歳(来年から表記は“5歳”だが)となる来年も現役を続行する構え。だが、「海外遠征は考えていない」という。ファンはどう考えるだろう?

 すでに年度代表馬選出も確実となったテイエムオペラオーのこの1年は、昨年の年度代表馬エルコンドルパサーとは実に対照的だ。エルコンドルパサーは国内で一度も走らず、ジャパンC当日の引退式でファンの前に姿を見せただけだった。年間獲得賞金は380万フラン(約6460万円=当時)。フランスでの滞在費など諸費用を差し引くと「赤字だった」と関係者は話していた。その代わり、種牡馬シンジケートの価格は18億円に上った。種牡馬としての価値を上げることで、賞金分をカバーした。

 テイエムオペラオーはもっぱら、世界一の日本の賞金体系に乗る形で荒稼ぎしている。今年7戦7勝で、本賞金が8億3800万円、付加賞が1415万8000円だが、ほかに内国産馬所有奨励賞が7680万円、市場取引馬奨励賞(同馬は2歳時に北海道市場で購買された)が3950万円。レースの参加賞とも言える特別出走手当を加えると、今年1年の稼ぎは実に9億7147万5000万円。「たら、れば」は禁物のこの世界だが、有馬記念を勝つと賞金1億8000万円のほかに、今年から新設された天皇賞・秋―ジャパンC―有馬記念の「3冠ボーナス」が2億円。さらに各種手当てが2840万円前後となる見通しで、今年1年の稼ぎは13億8000万円近くなる。全く途方もない額だ。

 今年、テイエムオペラオーが勝ったレースの2着馬はナリタトップロード、ラスカルスズカ、メイショウドトウの3頭しかいない。同じような相手との戦いの繰り返しで、ここ数戦は自分との戦いという色彩が濃い。しかも、ジャパンCに出走した4歳のG1勝ち馬が何と13―16着を占める惨状だった。「菊花賞を早めた悪影響」という見方もあるが、それにしても醜態で、現4歳世代からテイエムオペラオーを脅かす存在が現れる可能性は低い。無事である限りは、この馬の天下が続くだろう。

 だが、こういう状態で「自分との戦い」を勝ち続けても、本当に意味があるのか、という疑問も沸く。エルコンドルパサーの年度代表馬獲得の際には、ほかならぬJRA内部にも「売り上げに貢献していない馬」という冷ややかな視線があった。その伝で言えば、海外に目もくれずに国内のレースを走り続けるというテイエムオペラオーの関係者は表彰ものであろう。だが、ファンはそう一筋縄では行かないものだ。最低限、上半期までは、今秋、戦っている相手との対戦が繰り返される。毎回、同じようなメンバー構成で、同じ馬が勝つという図式は、JRAや他地区との交流が活発化する前の地方競馬の状況に近い。その間に、自らの衰えで今まで破っていた相手に負ければ、馬の名誉に傷がつくことにもなる。

 血統的には凱旋門賞やキングジョージでも通じそうな馬だけに、1回くらいは外に出て欲しいものだが、竹園正継オーナーはジャパンC優勝後、「遠征は負担が大きい。馬がかわいそう」と言い切った。これも一つの考え方ではある。結局、1頭の名馬のオーナーの考え方は、その馬の運命だけでなく、一国の競馬のありようをも左右するということだ。ともあれ、来年の競馬が盛り上がるには、2歳下の現3歳世代から、テイエムオペラオーを脅かす存在が現れるのを待つほかないようだ。



 
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