NIKKEIデイリースポーツ サラブnet HorseRacing Info サラブnet
ホーム 重賞レース情報 重賞レース結果 最新競馬ニュース 競馬読み物 予想大会
■ 競馬読み物
  ■専門記者の競馬コラム
  [日経新聞運動部記者 野元賢一]

  (8/21)関東のメーン開催、低調な夏・各競馬場で高額条件馬の綱引き、北海道に資源の集約を
 すでに終盤に入った夏競馬だが、今年ははっきり低調だ。新潟競馬場がスタンド改築工事中のため、8月から9月にかけては中山開催なのだが、この成績が悪い。13日の日曜日は雨模様だったとは言え、売り上げが94億6207万円という低水準で終わった。たまたま、当日はクイーンS(札幌)、小倉記念(小倉)と、他場で重賞競走が2つ組まれていた影響もあったが、ここまで売れないのは近年では珍しく、深刻な状態と言えるだろう。

 もともと、夏場はトップクラスの馬は休養中。セカンドクラスの馬と3歳馬が中心となる。メーン競走は土曜なら900万条件、日曜日でも1600万条件という場合が多い。重賞競走でも、実際には条件馬が出走で頭数を補っているのが常だ。ところが、今年の場合は、900万条件でも頭数のそろわないレースが目立っている。19日の中山の千倉特別(900万)は9頭立て。13日のNST賞(1600万)に至っては、わずか7頭立てだった。

 重賞競走でも、小倉、札幌は頭数もまずまずそろっているが、関東のメーン開催となる福島、中山は少頭数。6日の関屋記念(福島)は9頭立てで、新潟開催だった昨年の18頭から半減した。気候条件に大きな違いがあるとは言えないため、異変と言ってよいかも知れない。

 近年の夏競馬の流れとしては、札幌記念のG2昇格が大きな変化だった。96年まで北海道地区では、札幌、函館の順に開催されていたが、97年からこの順序を入れ替えた。翌98年には函館競馬場にウッドチップコースが設置されたため、開催終了後も調教場として広く使われるようになった。もともと、本土と比べて気候条件に恵まれており、調教施設が整備されれば馬が集まるのは自然の流れ。昨年も1回札幌開催の出走延べ頭数は1174頭。1レース平均12.2頭で、ほぼ同時期の3回新潟には及ばないが、2回小倉を大きく上回っている。

 海外でも、夏場はリゾート開催が注目を集める。米国西海岸のデルマー、ニューヨーク近郊のサラトガは2大リゾート開催として名高い。フランスでは、映画「男と女」で有名な避暑地ドーヴィルの開催がある。一昨年、シーキングザパール、タイキシャトルが相次いでG1を優勝、日本の競馬ファンにもなじみ深くなった。

 日本では下級条件ほど、馬資源とレース数のアンバランスが深刻なため、酷暑の夏でも競馬を休む訳にはいかない事情がある。だが、開催する以上、ある程度は高額条件戦も組まないことには、売り上げが伸びない。そこで、夏場に稼働する限られた上級馬をどこに誘導するかが問題となる。現在の馬の流れを見ると、北海道に資源を集約する方向を考えても良いと思われる。ところが、現状では札幌も函館もJRAでは「第3場」とされ、新潟や小倉より一段落ちる扱いを受けている。

 競走番組を見ても、最近は遠征馬が多くなった割に、各競馬場のタテ割りがきつく、高額条件馬の綱引きをしているような印象を受ける。米国のように各競馬場が別々の経営体であれば致し方ないが、JRAは単一組織である。現在、馬券売り上げの90%以上が、場外と在宅で占められている。大半のファンは、臨場感のないところで馬券を買っている。逆に言えば、情報さえきちんと流れれば良いのだ。各競馬場の横並び的な番組編成にメリハリをつけて、質の高い馬を1カ所に集約するような工夫も、今後は検討されて良いのではないだろうか。



 
■コラム一覧
■北海道牧場紀行
■初心者入門

  ■コラム一覧
   (3/3)安藤勝騎手、中央へ――統制経済は維持された
(2/10)摩訶(まか)不思議な免許取り消し劇
(1/27)固定化した東西格差――不良資産と化した"美浦"
(1/14)年度代表馬決まる――壁を超えることへの評価
<2002年>

(12/24)2002年の終わりに―「会議は踊り、危機は深まる?」
(12/9)早田牧場の破たん――生産界の危うさを露呈
(11/25)官と民のはざまで――問われるJRAの自浄能力
(11/11)祝祭から遠く離れて――日常に埋没するニッポン競馬
(10/28)ポスト三大種牡馬の模索
(10/15)ダブル免許問題とJRA
(9/30)第二期高橋理事長体制の課題
(9/9)有馬記念日程問題が決着――JBCの行方は不透明
(8/26)ポストサンデーの日本競馬――名種牡馬の死は何をもたらすのか?
(8/19)失われた?競馬の発信力――市場の開放性高め、スターを生む環境を
(8/5)騎手、ダブルライセンスの行方――公正な競争の実現を
(7/22)活況の背後に迫る危機?――セレクトセールから
(7/8)高齢化するオープン馬――進まぬ世代交代
(6/24)供給過剰とダウンサイジング・「冬の時代」の公営競技のあり方
(6/11)番組の再検討――宝塚記念をどうするか?
(5/27)新種馬券導入とファンの変容・浸透するか馬単と3連複
(5/13)2002年ダービープレヴュー・90年代の変容を映す
(4/29)JBC発売問題――中央・地方協調時代に幕?
(4/15)馬主登録という迷宮・調教師の馬所有の是非
(4/1)内国産種牡馬の新たな波・活力見せる在来血統
(3/18)“低資質馬整理”ルールと除外問題の行方
(2/25)ダート競馬の成長・変容するニッポン競馬
(2/12)総務省勧告とウインズの行方
(1/28)高まるきゅう舎制度への風圧――預託料自由化の波紋
(1/17)伸び悩む若手騎手――背後に競馬界の構造変化
<2001年>

(12/31)競馬この1年(下)あえぐ地方競馬――経費削減いばらの道
(12/30)競馬この1年(中)若手伸び悩み――「結果第一」かからぬ声
(12/29)競馬この1年(上)海外躍進の陰で――カネかけぬ育成法探る
(12/28)地方競馬は生き残れるか?――模索すべき中央と地方の新たな関係
(12/17)“居場所”がない競馬・見送られた独立行政法人化
(12/3)世界の技量に最強馬が沈黙――固定的な騎手選びに一石
(11/19)芝・ダートの“クロスオーバー”進む
(11/5)“凡戦”菊花賞と長距離戦の行方
(10/22)田原調教師逮捕――管理競馬の限界が見えた
(10/9)待ったなしの賞金削減・主催者の裁量権行使で改革実現へ
(9/25)競走馬の耳に発信機、田原調教師の処分・管理競馬のゆがみ映す
(9/10)JRAのリストラと生産界・自立の道は遠く
(8/27)危機深まる地方競馬・自治体の責任を問う
(8/13)“ミスター競馬”の遺したもの
(7/29)横浜新税、国地方係争処理委員会の責任回避
(7/16)セレクトセールの3年・影落とす日本競馬の先行き
(7/2)宝塚記念などが国際格付けへ
(6/18)再論―馬主団体のあり方を問う
(6/4)“三冠セット論”を卒業しよう
(5/21)農水省とJRAの不可解な関係・口蹄疫問題で表面化、国際化の妨げに
(5/9)きゅう舎制度改革の行方
(4/19)東西格差ときゅう舎制度改革
(4/2)横浜新税問題、第2ラウンドへ
(3/19)サッカーくじ発売と日本のギャンブル
(3/13)危険な“血の飽和”・サンデー産駒増殖で深刻な活力低下の恐れ
(3/7)馬券と税・英は控除金廃止へ、日本では引き上げの懸念も
(3/7)際立つ欧州騎手の活躍・短期免許で日本競馬が“草刈り場”に
(2/26)「組合馬主制度」は機能するか?
(2/19)「狭き門」調教師試験・進まぬ新陳代謝、求められる“荒療治”
(2/12)芝から砂へ―日本のダート競馬の可能性
(2/8)ダート戦、マイナー扱いは時代遅れ
(2/8)日本で少ない競走馬のトレード・調教師確保がハードル
(1/31)新種馬券をめぐって―“制限”の根拠を問う
(1/22)「1歳の差」――タイムリーな満年齢表記
(1/16)問われる馬主団体のあり方・運営ゆがめるJRAの“過剰サービス”
(1/16)競馬界の「西高東低」――従業員の仕事に質の差?
(1/1)ファン不在、財政のための競馬――問題はギャンブルをめぐる不条理
<2000年>

(12/18)課税の根拠は矛盾だらけ――JRA“狙い撃ち”の「横浜新税」
(12/4)最強馬の2001年は? テイエムオペラオーの今後
(11/20)JRA“総見直し”の限界
(10/30)オペラオーと和田騎手、難コースを強気の攻略・1番人気連敗「12」で止める
(10/23)クローン名馬は夢のまた夢
<参考>国際ルール「自然交配だけ」・希少だから高額取引される種牡馬
(10/10)横浜市長の“ローブロー”・横浜場外の課税問題
(9/25)「予備登録枠」拡大は、きゅう舎間競争の促進につながるか
(9/10)名伯楽逝く・地方から中央に挑戦
(9/4)大量種付け時代の到来、人気種牡馬の経済的価値急騰・強い馬の引退などの弊害も
(5/15)世紀末に神様が与えてくれた2頭の傑物
(8/21)関東のメーン開催、低調な夏・各競馬場で高額条件馬の綱引き、北海道に資源の集約を
(8/10)女性騎手、懸命の手綱・中央競馬にわずか5人
<参考>女性騎手、偏見との戦い・「地方」では延べ43人
(8/7)出走馬選定ルールが一部変更・日常的な「除外」、「機会均等」ルールの見直しを
(7/24)実感される層の薄さ・見直すべき騎手育成のあり方
(7/11)4月誕生の馬に3億2000万・北海道の競走馬せり市
(7/10)ジョセフ・リーさん・ドバイの名馬を手がけた調教手腕を「育成牧場」で
(6/26)故障に泣いた「未完の大器」グラスワンダー
(6/12)香港発の黒船・安田記念から
(5/29)最強の騎手と調教師が連携・世界を見据える藤沢=武豊タッグ
   


著作権は日本経済新聞社またはその情報提供者、およびデイリースポーツ社に帰属します。
Copyright 2003 Nihon Keizai Shimbun, Inc., all rights reserved.
Copyright 2003 Daily Sports, Inc., all rights reserved.