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  [日経新聞運動部記者 野元賢一]

  (8/7)出走馬選定ルールが一部変更・日常的な「除外」、「機会均等」ルールの見直しを
 9月の中山、阪神から始まる秋季番組に合わせて、JRAは重賞レースの出走馬選定ルールを一部変更すると発表した。除外による優先出走権の適用されないレース(現在33競走)が、G2と一部のG3(計44競走)に拡大される。現行のルールが問題となったのは、5月の京王杯SCの際、グラスワンダー(引退)などのG1優勝馬に、軒並み除外の可能性が生じたのが発端だった。中央競馬ではクラスを問わず、「除外」は日常的な現象で、背後を探ると、日本独特の事情が浮かび上がる。

 G2の京王杯SCは、安田記念のステップ競走と位置付けられ、毎年、G1級の強豪が参戦していた。ところが、今年は同レースにつながる短距離、マイル路線を進む馬が、早くから動き出していたため、より格の低いG3やオープン特別ですでに除外馬が続出していた。

 オープンの場合、出走馬選定の基本は賞金順である。出走希望馬の数がフルゲートを超過した場合、賞金の少ない馬が除外となる。だが、このルールだとオープンに昇格したばかりの馬は、何回出馬投票しても除外される恐れがあるため、一度除外された馬には、向こう1カ月間、賞金順上位の馬にも優越する「優先出走権」が与えられる。京王杯SC前には、こうした権利持ちの馬がフルゲート(18頭)を大きく超えていた上、海外や地方からも2頭の参戦が決まっていたため、グラスワンダーをはじめ、賞金順なら問題なく出走できる馬が、除外の“危機”にあったわけだ。結果から言えば、一部の権利持ち馬の関係者が出走を自粛(?)したのか、超有名馬の除外は避けられたものの、直前のG2、マイラーズCを勝っていたマイネルマックスが除外の憂き目にあった。

 すでにG1競走では特別なルールが適用されている。除外馬の優先出走権はもともと、適用されていないが、昨年から古馬のG1に関しては、新たな選定方法が導入されている。優先順は(1)3歳を除くG1勝ち馬(2)直近1年間の重賞(地方の統一グレード競走を含む)の優勝馬(3)賞金上位馬――である。このルールが導入された発端は、昨年のフェブラリーSで、JRA史上最高齢の現役馬として注目を集めた当時14歳のミスタートウジン(現種牡馬)が参戦したことだった。いくら話題にはなっても、結果は別問題。同馬はメイセイオペラから3秒7差で16頭中15着で、最下位(3秒8差)ドージマムテキも当時10歳の高齢馬だった。両馬とも最後に賞金を加算したのは96年で、いわば終わった馬。そういう馬が過去に稼いだ賞金で、勢いのある若い馬を押し出してしまうことの不合理が指摘されたのである。今年からルールが改定され、今年のフェブラリーSでミスタートウジンは除外。現役100戦目を迎えることなく引退した。

 秋からは、G2やクラシック競走のトライアル、国際競走となっているG3にも、G1同様の出走馬選定方法が導入されることになる。まずは一歩前進であろう。ただ、出走希望馬がフルゲートを超えた場合の出走馬の選定について、一貫した考え方があるとは言えない。従来もオープンでは賞金で優劣をつけていたが、それより下のクラスでは、権利持ちの馬以外はすべて抽選である。JRAでは下級条件ほど、競走馬とレース数がミスマッチを起こしている。1日の出走馬より除外馬の方が多いことも珍しくない。ハンデ戦で、トップハンディ(JRAが「1番強い」と認定したに等しい)の馬が、クジで除外されてしまう例もしばしばある。少しでも質の高い馬を走らせるのは、ファンに対する主催者の責任で、すべてをクジにゆだねるのはいかがなものだろうか?

 人為的に馬を選別することに、全く問題がないわけではない。隠れた勝ち馬を排除してしまう危険があるし、馬を送り出す側、特に馬主は「機会均等」を主張するだろう。抽選にしても除外馬の優先出走権にしても、「機会均等」の主張に配慮したルールと見て良いだろう。

 だが、例えば同じ2勝馬と言っても、G1・3着馬と、限定戦(牝馬、父内国産馬など。メンバーの質は概して低い)を勝ち上がった馬が同列でよいのか。同じ未勝利馬でも、2着5回の馬と、2ケタ着順5回の馬が平等でよいのか。その気になれば序列はつけられる。

 売り上げ不振の今こそ、JRAにはファンの期待する質の高いレースを提供することが求められる。供給側本位の「機会均等」ルールを見直す時期が来ている。



 
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