中国は成長市場か

 
              
HOME / 関西ラウンドアップ / 記事
 
関西ラウンドアップ前週の関西の動きを振り返り解説
 

中国は成長市場か

2009/11/01配信
 景気低迷や少子化で国内市場が伸び悩む中、中国市場に活路を求める企業が関西でも増えている。10月25日には村田製作所が、中国の携帯電話向けに通信用部品の生産能力を増強すると報じられた。小売業でも滋賀県を地盤とするスーパーの平和堂が9月下旬に中国に3号店を開業している。7〜9月の国内総生産(GDP)成長率が前年同期比で8.9%を記録した中国市場だが、死角はないのだろうか。

 村田製作所は2010年3月期の設備投資額を約270億円と期初計画から50億円前後上積みする。昨秋のリーマン・ショック後の世界景気の悪化を受け、期初計画では、ここ数年続けてきた増産投資を凍結し設備の維持費に絞り込んだ。しかし中国の携帯電話市場の拡大を受け、海外メーカーからの通信用部品の受注が急増しており、来春に石川県白山市の生産子会社の製造ラインを増設するという。

 平和堂は9月26日、中国湖南省の株洲市中心部に同社の中国3店目となるショッピングモール型百貨店を開業した。売り場面積は4万3000平方メートルで、全長230メートルの商業モールに住居関連品、輸入食品、酒、ベーカリーなどの直営売り場と、衣料や貴金属など326の専門店を集めた。初年度約40億円の売上高を見込む。高島屋も12年をメドに上海市に百貨店を開業する。出店場所は市西部の高級住宅街で虹橋空港にも近い「古北新区」で営業面積は約4万平方メートルと日本国内の基幹店並み。食品から家庭用品、高級衣料・服飾雑貨ブランドまでを扱う本格的な百貨店とする。

 家電メーカーも中国市場の開拓を急ぐ。パナソニックは6月末、浙江省杭州市に白物家電の研究開発拠点「パナソニックHA R&Dセンター杭州」を設立した。ボリュームゾーンである中間所得者層向けに中低価格帯商品の開発・設計を強化。中国市場に適した洗濯機や掃除機、炊飯器などを開発するという。シャープも中国での液晶パネル事業拡大を見据え、10月1日に本社内に「中国大型液晶事業推進本部」を設けている。

 これら企業が中国市場を重視するのは、人口13億人の市場の成長性に期待をかけているからだ。確かに中国経済は8.9%という高い成長率を記録し、先進各国が不況にあえぐ中いち早く回復したようにみえる。今年のGDPは日本を抜いて世界2位になると予想されている。

高度成長が続く中国にも成熟化の兆しが出てきつつある(上海市一の繁華街「南京西路」)
高度成長が続く中国にも成熟化の兆しが出てきつつある(上海市一の繁華街「南京西路」)

しかし、よく見ると7〜9月の8.9%成長は、日本円で50兆円を超す財政出動が大きい。投資では公共投資の伸びが、消費には家電や自動車購入への政府による補助制度が寄与した。実際、農村部での家電購入に政府が補助金を出す「家電下郷(家電を農村へ)」制度の消費押し上げ効果が、需要一巡で息切れし始めている。9月の家電販売額は前月比18.7%減り約800億円だった。販売額の減少は2カ月連続となった。自動車への補助も年内には終わる予定だ。民間投資も強くない。国務院(内閣に相当)も「成長の自律的な動力は不足。民間の投資意欲は強くない」と認めている。

 原因は中国の経済構造が輸出主導ということにある。人民日報(電子版)が伝えたところでは、GDPに占める対外貿易額を示す貿易依存度は08年で約60%という。同じ尺度で見ると日米は20%前後としており、中国の依存度の大きさが分かる。やはり、今回の世界不況は中国経済に大きな痛手をもたらしたと考えられる。

 それでは中国が内需主導型の経済に転換して高い成長を維持できるか。この点でも、中国には日本以上に急速な少子高齢化に直面するという大きなハンデがある。1979年以来、一人っ子政策を採ってきた中国では、生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)が2015年以降は減少に転じる、という試算がある。すでに上海市では60歳以上の人口が300万人と全体の2割強となった。今後、内需による成長のためには労働生産性の向上を図っていかなければならない。中国政府は、これまでとは異なる成長戦略が必要だ。

 こう考えると、現在の日本と似た問題が、今後中国市場でも本格化すると考えられる。成長著しく、需要は後からどんどんわいてくる、と考えていると手痛い目にあうだろう。

 ミズノは北京五輪を商機とみて店舗を増やし、08年末には中国で直営店とフランチャイズチェーン(FC)店合わせて約900店を展開したが、米ナイキや独アディダスに後れを取り、知名度が高まらぬままFC店を中心に200店舗を年内に減らす方針を打ち出した。厳しい競争にさらされた例といえる。

 中国市場は確かに巨大だ。しかし、日本市場で製品の魅力を高められなくなり苦境に立った企業が、中国市場ならまだ売れると安易に進出するとすれば成功はおぼつかないだろう。中国市場もいつまでも右肩上がりではない。成熟市場でも売れるように、製品なりサービスなりの競争力を磨く地道な努力がここでも求められる。(小)
Index
Today's Topics 関西ラウンドアップ:前週の関西の動きを振り返り解説
ニュース 知&得:暮らし・仕事に役立つスキルをわかりやすく解説
創&芸:美術・芸能・文芸を歴史的視点や展望交え紹介 探&見:ひそかに話題になっているテーマ・スポットをルポ
交&縁:関西の経済・社会・文化を支える人脈を描く 活&健:地域スポーツの動向や選手の隠れた一面などを紹介
Nグラフィー:音声付きスライドショーで開く新しい映像世界
 
ページの一番上へ
サイトポリシー 免責事項 個人情報 著作権 リンクポリシー