NIKKEI Japan Report

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これまでの放送内容

2012年2月放送

[Today's Pick]

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 現存する企業で世界一長い歴史を持つのはどこか、知っていますか? それは、ある日本の建築会社だと言われています。1400年以上も前に創業し、京都などにある歴史的な寺社を造ってきた企業です。その企業をはじめとして日本には100年以上の長い歴史を持つ企業が2万以上もあり、その数は世界でも突出しています。例えば、19世紀から秤(はかり)の製造を手掛けてきた企業は、他に類を見ない機能を持つハイテク計量機器を開発。国際的食品メーカーに採用され、圧倒的な世界シェアを獲得しています。一方、日本酒造りの技術をバイオテクノロジーに応用し、画期的な製品を生み出した酒造会社もあります。今回は、時代の変化を乗り越えて長い歴史を刻み続ける企業の秘訣を探ります。

[Newsmaker]

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 インターネットの世界で今もっともホットな分野が、フェイスブックに代表されるSNS(交流サイト)。日本では、SNSにゲームを融合した「ソーシャルゲーム」が大人気です。このサービスで急成長している日本の新興企業が、グリー。創業からわずか8年で会員数は国内で約2900万人に達し、最近では海外にも事業を拡大し始めています。創業者の田中良和社長は現在34歳。個人の趣味で始めたSNSを事業化して2004年にグリーを設立、短期間で日本有数のIT(情報技術)企業に育て上げました。急成長を支える戦略、そして世界展開への野望を田中社長に聞きました。

[兆し Kizashi 〜On the Horizon〜]

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 日本観光に来た外国人の多くが京都や奈良を訪れ、寺を見学して回ります。さらに最近では、日本の伝統文化をもっと深く知ろうという外国人も増えています。そうした人たちが数多く訪れるのが、空海(弘法大師)が9世紀に修行した地であり、2004年には世界遺産にも登録された高野山。数多くの寺があり、中には宿泊することができて、仏教のしきたりにならった食事や修行を体験できる寺もあります。日本の寺で一夜を過ごした外国人は、その体験から何を感じたのでしょうか。

[取材後記]

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 老舗の料理店には、長年人気を支えてきた秘伝のたれがあります。では、企業はどうでしょう。世界最古の企業と言われる金剛組。創業は578年で、日本書記にも登場します。長寿のカギは何なのでしょうか。「顧客の信頼を裏切らないこと」。返ってきたのは思いがけず、平凡な答えです。もっと並外れた技術や経営手法が聞けるのでは、という期待は裏切られました。しかし、その答えの真意についてさらに聞いてみると、なるほどとうなずけます。かつて、情報伝達の手段は馬や飛脚ぐらいしかありませんでした。それでも寺社仏閣のネットワークは大変なもので、請け負った仕事の善しあしは瞬く間に全国に伝わっていたというのです。いわば口コミが、今以上に絶大な影響力を持っていたと言えます。一度失った信頼を取り戻す難しさを、何世紀にも渡る試練を経て身をもって知っているのでしょう。

 120年近く続いてきた秤(はかり)メーカーのイシダにも同じことが言えます。木製の竿秤から始まった同社は、今や世界シェア70%のコンピューター計測器を製造しています。一貫して大切にしてきたのは、やはり「お客様第一、現場第一主義」だと言います。

 「原点を忘れないこと」――。17世紀から日本酒の酒蔵を営んできたヤエガキ酒造も、成功の秘訣をこう表現します。どの企業も、長い歴史の中で大きく飛躍した時期もあれば、経営難に陥り危機に直面した場面もありました。そうした浮き沈みを経て、導き出した結論には真実味があります。

 もっとも、企業が長生きすることは結果であり、目的ではありません。企業にも人の人生と同じように寿命があるといい、平均寿命は一般的に約30年とも言われます。だとすれば、取材した企業は普通の企業の何倍も、何十倍もの歳月を生きてきたことになります。それは、ただ生き永らえてきたのではなく、何度も生まれ変わるぐらいの進化を重ねてきた結果なのでしょう。(槍田真希子)

2012年1月下旬放送

[Today's Pick]

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 「居酒屋」は、日本の飲食店の代表的な業態の一つです。ビールや日本酒などのアルコール飲料だけでなく、前菜からメーンディッシュまで多彩な料理を提供するのが特徴。丁寧な接客や手ごろな価格を売りにする店が多く、日本人はもちろん最近では日本在住の外国人や海外からの旅行者の間でも大人気です。番組では、国内に約650店舗を展開する大手居酒屋チェーンを支えるシステム、そして経営理念を取材しました。一方、こうした居酒屋ビジネスへの関心は世界的にも高まっていて、海外企業が視察に来るほどです。彼らは日本流の居酒屋のどこに注目しているのでしょうか? 今回は、巨大産業に成長した居酒屋ビジネスを紹介します。

[Newsmaker]

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 インターネットを使った電子商取引分野で急成長している日本の新興企業の一つが、スタートトゥデイです。同社が運営する「ZOZOTOWN」は、国内外の著名アパレル企業やファッションブランドが電子空間に軒を連ねるネット通販サイト。扱うブランド数は1600以上、会員数は400万人に上り、ファッション分野ではライバルの追随を許さないほどの大手通販サイトになっています。創業10年余りの小さな会社が、どうしてそこまで成長できたのか? その背景には、創業者の前沢友作社長が掲げた企業理念と、それを実現するための独自の経営手法があります。ミュージシャン出身で20代前半のとき会社を興したという異色の経歴を持つ前沢社長に話を聞きました。

[兆し Kizashi 〜On the Horizon〜]

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 アニメや漫画のファンが、登場するキャラクターの衣装を実際に再現して着る「コスプレ」。かつては日本のごく一部のマニアが愛好するマイナーな趣味でしたが、今では世界中に「コスプレイヤー」がいるほどになっています。年末に東京で開催された漫画やアニメファン向けのイベントには海外からも多数のコスプレファンが詰めかけて、お気に入りのキャラクターの衣装を披露しました。そして今、コスプレ用の衣装をオーダーメードでつくる店が人気になっています。ある店の場合、会員はすでに1000人以上、最近では海外からの注文も舞い込んでいるそうです。国際的な「コスプレ」人気の拡大ぶりを、東京から報告します。

[取材後記]

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 普段の仕事帰り、たいてい夜遅い時間に何気なく足を運ぶのが居酒屋です。そのありがたみが、外国に行くと身に染みて分かります。日本の居酒屋のように深夜あるいは明け方まで種類豊富な食事を手ごろな価格で提供する飲食店は、どこにでもあるわけではありません。手ごろでいつでも入れる飲食店といえばファストフード店にも似ていますが、決定的な違いはサービスです。実際、海外でファストフードのチェーン店に行くと、どこでも同じサービスは受けられますが、画一的で人間味がない場合が多いように感じます。一方、アルバイト店員が運営を支える居酒屋では、誰が調理場に立っても同じ質が保てるよう、調理や料理の盛りつけについての写真付きの細かいマニュアルがあります。しかし、サービスにはマニュアルはありません。客に喜んでもらうにはどうしたらよいのかを自力で考えることを、社員がアルバイト店員に徹底的に教育しているのです。

 サービスで差をつける、というのは意外にもインターネット上のビジネスにも通じます。インターネットショッピングは店員とのやりとりもなく、無機質なもののようにも思えます。ところが、スタートトゥデイではファッション好きの社員が積極的に採用され、ユーザー目線にこだわってサイトの細部まで工夫を凝らしています。

 もっとも、こういうサービスは手間がかかり効率が多少犠牲になるのは事実です。実際、各国の飲食宿泊業の労働生産性を比較したデータを見ると、日本はアメリカの4割にも届きません。それでも日本企業がサービスの質を重視するのは、「もうけは後からついてくる」と見ているからです。何から何までマニュアル化して効率と収益ばかりを追求すれば、一時的に利益が増えても最終的に客は離れていってしまう、と考えているのです。時間と手間をある程度かけてでも血の通ったサービスを提供することで、より多くの客の心をつかみ最終的に利益につなげる、マラソン型の経営と言えます。それだけに、結果がでてくるまでの忍耐と揺らがない信念が求められるそうです。(槍田真希子)

2012年1月初旬放送

[Today's Pick]

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 「クール・ジャパン」と言われる日本文化の海外での人気が、インターネットを媒介にして新たな広がりを見せています。コンピューターで人工的に歌声を合成するソフトウエアのイメージキャラクターとしてつくられた仮想アイドル歌手「初音ミク」は、日本だけでなく米国やアジアなどで多くのファンを獲得しています。その背景には、インターネットの動画投稿サイトの存在があります。一方、大手IT(情報技術)企業のサイバーエージェントが運営するSNS(交流サイト)の売り物は、ユーザー同士がコミュニケーションに使うアバター(自分の分身)。多彩な「かわいい」アバターをユーザーに提供することで、世界のSNS大手に対抗しようとしています。インターネットの特性を生かした「クール・ジャパン」の新たな潮流をリポートします。

[Newsmaker]

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 東京モーターショーが12月に開催され、自動車メーカーのトップが会場に集いました。日本のメーカー各社は、燃費性能を高めた最新のエコカーを前面に押し出して展示。さらに、ITや環境技術を組み合わせた新しいコンセプトの自動車を披露しました。今回はトヨタ自動車や日産自動車をはじめとする各社のトップに国際競争に勝つための戦略を聞くとともに、自動車そのものがこれからどのように進化していくのかを探ります。

[取材後記]

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 「日本はどんどんガラパゴス化するべきだと思う」。そう話すのは、今回の取材で出会ったアマチュアの音楽プロデューサーです。彼が友人と共につくる仮想アイドル歌手の歌は、今や海外でライブを開くほどの人気です。日本は「ガラパゴス化」しているとよく言われます。もっぱら閉鎖的で、世界から孤立して取り残されている様子を示す表現です。そこであえて逆説を唱えれば、ひょっとするとガラパゴス化は日本の強みにもなりうるのはないか、というわけです。日本が生み出した仮装アイドル歌手「初音ミク」のヒットは、そう思わせるものの1つです。インターネットで検索すると、専用の音声合成ソフトを使い、世界中のファンによって作られた彼女の「持ち歌」は10万曲を超えます。音声合成ソフトは日本語のほか、英語や中国語にも対応しています。それでも外国の熱心なファンの中には日本語で歌作りをすることにこだわり、ネット上には歌詞の日本語への翻訳を求める書き込みもよくあるそうです。日本でいま「英語を話せなくてはいけない」と声高に言われる一方で、海外では日本語が人気を集めている場面が確かに存在しています。国際競争にさらされ、磨かれるものは少なくありません。ただ、グローバル化が進み、世界が均一化していく中で、むしろ日本の特殊な壁の中で熟成されたものが、海外でも通用するケースも意外とたくさんあるのではないでしょうか。

 これは、産業界にもあてはまりそうです。エコカーが全盛となった今回の東京モーターショーでは、プラグインハイブリッド車に電気自動車、それに超低燃費のガソリンエンジンと、機能もスタイルも多様な車が並びました。将来的にはIT(情報技術)との融合で、携帯電話で操作できる電気自動車、スマートフォン並みの通信機能を備えた車などの開発も検討されています。車はただの「乗り物」というこれまでの概念から、大きく進化しようとしています。そんな時こそ、国内で培われた「日本らしさ」が光るのかもしれません。ガラパゴスの逆襲が期待されます。(槍田真希子)

2011年11月放送

[Today's Pick]

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 繊維産業は第二次世界大戦後の日本の復興を支えた基幹産業でしたが、最近では中国などの新興国にシェアを奪われ、斜陽産業とも言われています。しかし、世界から注文が殺到するような優れた製品を持つ企業もまだまだあります。佐藤繊維は、他社がまねできない繊細な糸づくりの技術を持つ会社。その糸は、海外の高級ファッションブランドの服に使われています。従業員数十名の小さな会社「241(ニイヨンイチ)」は、優れた縫製技術と地域の町工場のネットワークを活用して、世界から高級ジーンズの生産を請け負っています。1世紀以上の歴史を持つセーレンは、従来の繊維業界の常識を超えた服が作れるという革新的な染色技術を開発しました。伝統の技やハイテクを駆使して世界のファッションを彩る日本の繊維産業、その実力を紹介します。

[Newsmaker]

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 武田薬品工業は230年前に創業した歴史ある医薬品メーカーで、日本の製薬業界売上高1位の座を長年守り続けています。その老舗企業が近年、海外でのM&A(企業の合併・買収)を積極的に進めています。M&A戦略を主導しているのが、長谷川閑史社長。世界経済の変化に対応し、事業の領域を日本や欧米といった先進国中心から新興国市場へと拡大することが狙いのひとつです。経済のグローバル化に対応しつつ、自らの企業のあり方をも大胆に変革しようとしている長谷川社長の経営論を聞きます。

[兆し Kizashi 〜On the Horizon〜]

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 東京都心に、外国人が夜な夜な集うスポットがあります。そこで繰り広げられるイベントは、和楽器のライブ演奏。三味線や琴など日本古来の楽器の音色を楽しむのはもちろん、自ら和楽器を手に取って演奏する外国人の姿も見られます。和楽器を通じて共鳴する日本人演奏者と外国人客の思いを、小さな店から伝えます。

[取材後記]

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 日本の繊維産業については、中国やアジアの新興国に生産が移り、とっくに廃れたという印象を私自身持っていました。ところが産業全体としては縮小していても、よく見てみると「オンリーワン技術」を武器に世界市場で存在感を発揮している企業があったのです。1世紀以上の歴史を持つセーレンは、新たな染色技術を開発。この技術の登場で、従来の手法だと最低でも2000枚以上生産しなければ採算が合わなかった衣服を、1枚からでも低コストで作れるようになると言います。また、染色は手作業の部分が多く、人件費の高い日本の競争力を下げる一因になっていました。セーレンではその行程をIT(情報技術)を駆使して自動化し、200台の装置をたった3人で操作しています。「生産コストが低くなれば、海外に流出してしまった繊維ビジネスを日本に再び取り戻せる」。セーレンの川田社長はこう意気込みます。染めあげた色そのものへの評価が高いのも特徴です。初めは手作業にこだわり採用に難色を示した海外の有名ブランドが、現物を見て「この色合いが出せるなら」と使うことを決めたそうです。淘汰の波に逆らいながら世界のトップクラスと勝負するための条件は、産業を問いません。

 江戸時代に創業し、長年の競争をくぐり抜けてきた武田薬品。主力製品の特許失効や安価な後発薬の登場で製薬業界が大きく揺れる中、長谷川社長は世界でもまれにみる超大型の海外企業買収を実現させました。国内売り上げトップの座に安住せず、世界の大手メーカーに挑む姿勢を鮮明にしています。変わらず存在し続けるためには、変わらなくてはならない。そのリスクを恐れず変化する時代についていくことが、古いのれんを守る秘訣(ひけつ)と言えそうです。(槍田真希子)

2011年10月放送

 3月11日に発生した東日本大震災から半年以上が経過しました。被災地は今どのような状況なのか、住民たちはどのような日々を送っているのか、地震や津波の被害を受けた産業はどこまで復活しているのか。今回は通常の番組フォーマットを変更し、番組全体を通して復興の現状と課題を被災地から報告します。

【被災地に寄せられる支援の手】

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 被災地の復旧・復興に向けて、震災直後からさまざまな支援の手が寄せられています。世界中からボランティアを受け入れ現地での支援活動を組織しているNGO(非政府組織)「クラッシュ・ジャパン」は、被害が大きかった地域を中心に被災者を支える活動を展開。津波の被害を受けた地域の清掃といった力仕事はもちろん、生活環境が激変して心にストレスを抱えている被災者をサポートする取り組みを進めています。日本企業も被災者の心をケアする活動を進めており、化粧品メーカーの資生堂は被災地で女性を対象にした化粧のカウンセリングサービスを継続的に実施しています。一方、原子力発電所の事故の影響で激減した訪日観光客を呼び戻すための取り組みもあります。日本の旅行会社が企画したツアーに参加した英国人カップルは今、日本全国47都道府県を旅しており、自分の目で見た日本の情報をブログで発信しています。彼らの目に、日本はどのように映ったのでしょうか。

【予想を超えるペースで回復する製造業】

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 半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスは、自動車や家電製品などに欠かせない部品であるマイコンで世界シェア1位。その工場が被災したため、自動車メーカーや電機メーカーの生産に大きな影響が出ました。しかしルネサスは6月に生産を再開、9月には震災前を上回る出荷量を確保できるまでになったといいます。一方、私たちが4月に取材した自動車部品メーカーの岩機ダイカスト工業は当時、協力工場が津波で壊滅状態になるなど大きな打撃を受けていました。しかし、そこも今では自動車メーカーからの発注が殺到しフル生産状態になっています。予想を上回るペースで進む産業の復旧・復興を支えるものは何なのか。日本経済のエンジンである製造業、その現場の底力をリポートします。

[取材後記]

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 半年ぶりに訪れた被災地で待っていたのは、全く異なる2つの光景でした。その1つは大震災の傷跡をさらした街の暗い表情です。政府による復興が思うように進んでいない現状がうかがえました。津波に襲われた海岸沿いでは、集められたがれきの山がいくつもそびえていました。長く放置されたままなのか、その上に雑草が生い茂っていました。日本有数の漁港があった石巻市も、被害のすさまじさが今なお、生々しく残っていました。廃虚が並び、人の気配もまばらです。国内外からは震災後、多大な支援が寄せられ、政府からも「復興最優先」の掛け声が聞かれます。それなのに、なぜ再建はもっと早く進まないのかと思ってしまいます。

  しかし、その一方で勇気づけられる光景にも出会いました。とてつもない苦境から自力で立ちあがり、生活やビジネスを再建しようと動き出した人々の姿です。漁港では水揚げが再開され、仮設のテントの下でセリが行われていました。周辺のインフラが復旧して加工や冷凍保管用の施設を造れるまでは本格的な再建は望めないといいますが、それでも徐々に漁港の活気は戻ってきています。できるところから取り組もうという人々の意気込みが、漁業に再び命を吹き込もうとしているようです。

 釜石市の仮設住宅で出会った女性は、夫を亡くして今は一人暮らしでした。被災直後はショックで涙も出なかったそうですが、いまでは同じ仮設住宅に住む人たちの知り合いも増え、当時のことを振り返られるようになったといいます。支えになっているのは、人との交流です。遠く海外からやってくるボランティアの企画するイベントなどが、そんな交流を支えています。女性は「本当にありがたい」と、顔をほころばせていました。

 地元の企業も奮闘しています。印象的だったのは、被災した工場などの回復の早さです。宮城県の自動車部品メーカーは、私が4月に訪れた際には工場が被災し、停電もあって製造ラインがほとんど動いていませんでした。今では設備がほぼ全面的に復旧し、生産の遅れを取り戻そうとフル回転していました。現場の責任者は「取引先に納品できなければ、すぐ別の業者に取って代わられかねない。何があっても製品を届けて、責任を果たさなければ生き残れない」と言います。その危機感こそが、復旧を後押ししている原動力の1つなのでしょう。

 1000年に1度ともいわれる大震災。復興は、1年や2年ですべてが元通りになるものではありません。東北だけでなく日本全体にとってのチャレンジでもある復興の様子を、これからも息長く追っていきたいと思います。(槍田真希子)

2011年9月放送

[Today's Pick]

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 日本の農業は生産額や就業人口が減少し続けており、衰退産業とみられています。しかし、技術力やマーケティング力を駆使して海外市場に挑戦する意欲的な農業者もいます。山沿いの棚田でコメを生産している北陸地方の小さな町は、味の評価は高いものの生産コストがかかり採算が合わないことに悩んでいました。それが、ある出来事をきっかけに人気が沸騰、価格が高くてもすぐ完売するほどのブランド米になりました。さらに今、コメを使った新商品で欧米市場を開拓しようとしています。一方、高品質の野菜を安定して生産できるシステムを確立、その栽培システムを海外に輸出しようとしている農業法人もあります。縮小する国内市場にとどまらず世界に打って出ようとする日本農業の底力をリポートします。

[Newsmaker]

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 日本のコンビニエンスストア業界は、商品やサービスの多彩さなど世界に類を見ない独特なビジネスモデルを構築しています。その中でも、商品開発や店舗展開で特徴ある戦略を打ち出しているのが国内2位のローソンです。新浪剛史社長は、小売りだけでなく商品の製造から一貫して手掛ける「製造小売り」型の業態やIT(情報技術)を駆使したマーケティングが同社の強みだと言います。そして今、ライバルに比べて見劣りしていた海外展開を本格化しています。少子高齢化が進む日本市場で今後どのような事業展開をするのか、日本で培ったノウハウを武器に海外市場をどう攻略するのかを新浪社長に聞きます。

[兆し Kizashi 〜On the Horizon〜]

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 京都に、外国人観光客を主なターゲットにした観光スポットが登場しました。映画テーマパーク「東映太秦映画村」が9月に大幅リニューアル、「アニメミュージアム」や浮世絵を展示する美術館、忍者屋敷をイメージしたアトラクションを新設したのです。海外でも人気のアニメや日本の古典芸術を前面に打ち出したテーマパークは、狙い通り外国人観光客を引きつけることができるでしょうか。

[取材後記]

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 一見すると成熟し切っていて進化の余地が少ない産業のように思えた農業とコンビニ業ですが、今回の取材を通じて、意外にも両者に共通してビジネスの広がりと可能性があることを目の当たりにしました。おなかがすいたとき、お金を引き出したいとき、手紙を出すときと、何かにつけて足がつい向かうのがコンビニです。旅先でもコンビニの明かりが見えると、なぜかほっとした気持ちになります。「将来的にはインフラの一端を担い、街づくりに貢献したい」という新浪社長の言葉には一瞬驚かされましたが、実は本業からさほどかけ離れたことではないのかもしれません。「そう考えると、コンビニって面白いでしょう? まだいろんなことができる可能性を持っていると思うんだ」と、目を輝かす新浪社長の様子が印象的でした。

 同じように農業も、驚きを秘めていました。「日本の農業には競争力がある」。今回取材を通じて出会った人たちの多くが口にした、思いも寄らない言葉でした。マーケティングの工夫ひとつで海外にも売り込める品質の高い農産物は、リポートに登場するブランド米以外にもありそうです。日本の得意な工業化が農業にも当てはめられるとは思ってもみませんでした。番組で紹介する栽培システムは、従来の方法に比べて水や肥料の使用量がぐっと抑えられるのも特長です。開発者が目指しているのは、いずれアフリカや中東などの厳しい環境下でも利用できる、安定した生産システムの実現です。今は減少傾向にある農業就業人口ですが、こうした取り組みを通じて農業に魅力を感じ、その仕事に就きたいという人が増えるのではないかと期待がふくらみました。(槍田真希子)

2011年8月放送

[Today's Pick]

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 スマートフォンを空にかざすと、何もないはずの空間に巨大ロボットが現れる。ディスプレーに映る雑誌の表紙から、機関車が飛び出してくる。そんな不思議な映像技術が、拡張現実(AR)です。このARをビジネスに取り入れる動きが、いま始まっています。日本有数の観光地、岐阜県高山市ではスマートフォンにさまざまな観光情報を表示して、来訪者の利便性を向上。複数の言語に対応し、外国人のニーズにも応えようとしています。このアプリケーションを開発したのは、日本の小さなベンチャー企業。いまでは世界100以上の国と地域で使われているそうです。一方、ARを使って斬新なコンテンツを創るクリエーターもいます。彼が考えた技術は、スマートフォンやパソコンのディスプレーを介さずにARの映像を見ることを可能にするといいます。今回は、ARの不思議な映像世界をご覧に入れます。

[Newsmaker]

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 東京の下町に、日本の大企業が頼りにしている小さな町工場があります。そこで作っているのはハイブリッド車や携帯電話に欠かせない重要な部品、そして痛みをほとんど感じないという極細の注射針。「他ではできないものをつくる」と豪語するのが、岡野工業の岡野雅行代表社員です。従業員わずか5人で、年間6億円以上を売り上げるといいます。日本の中小企業の象徴的存在である岡野氏に、ものづくりに懸ける思いや技術へのこだわりを聞きます。

[兆し Kizashi 〜On the Horizon〜]

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 観光旅行で日本を訪れるなら、ガイドブックに載っていないような面白い体験をしたいと思いませんか? 例えば、「秋葉原でアイドルのライブ観覧」「盆栽づくり」「空手」「書道」「落語」「三味線」などなど。こうした体験プログラムをウェブサイトを通じて外国人観光客に紹介するサービスが、この夏に始まりました。番組では、日本を訪れた一人の外国人旅行者があるプログラムに参加した様子を取材。果たして彼は、日本での不思議な体験を楽しむことができたでしょうか。

[取材後記]

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 今回初めて目にしたAR技術は、驚きの連続でした。スマートフォンのカメラを手にかざすと、自分の手のひらでCGのキャラクターが踊りだします。ARを使ったゲームでは、同じカメラを見慣れた通勤路に向けると画面上にモンスターが飛び出してきます。人とのコミュニケーションや遊び方だけでなく、ものの見方を根底から変える可能性すら秘めているように感じました。ただ、この技術もあくまで1つのツール。十分に生かせるかどうかは、使い方次第のようです。日本にはアニメなどARに向いているコンテンツが豊富で、今後クリエーターたちがどのような新しい世界を見せてくれるのかが楽しみです。

 岡野さんは威勢のいい早口な経営者で、78歳の今も自慢のスポーツカーを自ら運転しています。何より仕事への情熱が印象的で、職人になって60年となった今も「楽しくて、仕事したくてしょうがないんだよ」と目を輝かせます。他の業者が作れないとあきらめるほど難しい製品の注文でも「60%くらいの確率で作れる」と思ったら引き受けるそうです。「リスクを取らなければ、誰にもまねできないものなんて作れない」。多くの時間と資金も費やしながらも「まだ言えないけど、今もすごいのを作っているんだ」とうれしそうに話す様子からは、そのリスクすらも楽しんでしまう岡野さんの懐の深さを感じました。(槍田真希子)

2011年7月放送

[Today's Pick]

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 福島第1原子力発電所の事故をきっかけに、日本の電力供給能力が低下しています。そして夏を迎え、電力が不足するのではないかという不安が高まっています。日本の夏は蒸し暑いため、エアコンの使用によって電力需要が急増する時期だからです。このため、企業や一般家庭ではエアコンや照明の使用を抑えるなど、さまざまな節電策を講じています。一方、技術力でこの事態を乗り切ろうという取り組みもあります。中でも世界的な注目を集めているのが、日本の研究者らが最近開発した半導体。家電製品の電力消費を抑える、画期的な機能を持っているといいます。このほか、家屋全体で電力消費を効率化するシステムや、暑さを和らげる機能を持つユニークな服も話題になっています。さまざまなアイデアで節電に取り組む日本の夏をリポートします。

[Newsmaker]

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 石油や天然ガスといった資源や自動車をはじめとする工業製品など、さまざまな物資を船で運ぶのが海運会社。世界の貿易を支える、重要な存在です。新興国経済の成長に伴い海運業界の国際競争は激化していますが、その中で世界最大の船隊規模を誇るのが商船三井。武藤光一社長は、世界経済の動向をいち早くキャッチする情報収集力と、海の危険を回避する安全対策が会社の成長につながると言います。世界の海で勝負する海運会社の成長戦略を、武藤社長に聞きました。

[兆し Kizashi 〜On the Horizon〜]

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 7月、米ロサンゼルスで風変わりなコンサートが開かれました。数千人の観客の前に現れたのは、生身の人間ではなくコンピューターグラフィックスが描き出した仮想のアイドル歌手「初音ミク」。もともとはコンピューターで人工的に歌声を合成するソフトウエアのイメージキャラクターとしてつくられたものですが、日本アニメの登場人物のような容姿がパソコンユーザーやアニメファンの間で人気となり、今では音楽CDやキャラクターグッズなどさまざまなビジネスが展開されています。日本国内だけでなく海外でも注目され始めた「初音ミク」についてリポートします。

[取材後記]

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 深刻な電力不足という大変な困難にさらされながらも、それを乗り越える過程で平時には考えられなかった発見や進歩があるということを、今回の取材を通じて実感しました。私が訪れた家庭や企業では、節電の必要に迫られ懸命に努力をしている人々の姿がありました。 今回の番組には登場しませんが、自動車各社は工場の稼働日を週末にずらして平日の消費電力の削減に貢献しています。こうした取り組みからは、いざという時の日本人の強い結束力を感じます。さらに、電力不足を悲観するどころか商機に変えようという企業の前向きな姿勢には勇気づけられます。節電のためにオフィスでは涼しい服装を認め、勤務時間を前倒しして早めの退社を推奨する企業も増えています。いまは節電目標を達成するための苦肉の策ですが、いずれ日本人のライフスタイルを変える一歩になるかもしれません。

 武藤社長には「6対4で予測が当たれば、会社は存続できる」との話を聞きました。企業経営に限らず、予測通りに事が進まないことは日常茶飯事です。「予測は外れることもある。4割が外れても生き延びることができるマネジメントをしているかどうかが大切だ」と言う武藤社長の考えは、企業経営だけでなく私たち個人の生き方にも当てはまるところがありそうです。(槍田真希子)

2011年6月放送

[Today's Pick]

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 日本はこれまで、石油や天然ガス、ウランなど、エネルギー資源の大半を輸入に依存してきました。そうした中で発生した福島第1原子力発電所の事故により、日本のエネルギー事情は厳しい状況に陥っています。しかし日本には、今まであまり活用されてこなかったエネルギー資源があるのです。そのひとつが地熱。火山が多く存在する日本の地熱資源量は、世界有数だといいます。また、将来の実用化が期待されているのがメタンハイドレートです。天然ガスの成分であるメタンガスを含む氷状の結晶で、日本近海の海底に豊富に埋蔵されていることが分かっています。一方、日本と中国を舞台に、太陽熱を発電に活用する大規模プロジェクトも構想されています。原発事故を契機に注目度が高まる代替エネルギーの現状と可能性、課題をリポートします。

[Newsmaker]

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 7年間にわたる宇宙の旅を終えて2010年6月に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」は、世界の宇宙開発にとって多くの重要な成果を残しました。特に、小惑星「イトカワ」から持ち帰った微粒子のサンプルは46億年前に太陽系が誕生した当時の状態をとどめていると考えられるため、地球がどのように誕生したかという起源を解明するカギになると期待されています。また、「はやぶさ」は科学的成果だけでなく、度重なるトラブルを乗り越えて地球に帰還するという劇的な展開によって日本人の間に大きな感動を呼び起こしました。このプロジェクトのリーダーを務めたのが、宇宙研究開発機構(JAXA)の川口淳一郎教授。「はやぶさ」への思いや日本の宇宙開発の意義について聞きます。

[取材後記]

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 今回訪ねた地熱発電所は、火山のそびえる国立公園のすぐ脇にありました。周囲に点在する温泉を目指す観光客を横目にどんどん山奥に入っていくと突然、太いパイプが絡み合う巨大な施設が現れます。もうもうと立ち上る蒸気は地下2500メートルからくみ上げる熱湯から生まれるもので、発電タービンを24時間回し続けています。施設を運営する企業によれば、半永久的に使える安定したエネルギー資源だということです。メタンハイドレートや太陽熱もこれまでなじみのなかった資源ですが、日本の技術力でもっと効率的に利用できる可能性を秘めています。すぐに主力のエネルギー源になるわけではありませんが、手間や時間をかけてでも独自の資源の開発を進めることで、「資源のない国」という日本のイメージを変えられるかもしれないと思いました。

 「誰も考えたことのない計画をやりとげることにこそ意味がある」という川口教授。手本もなく、一から部品を作り、完成させた「はやぶさ」で小惑星探査が実現できたことが一番の誇りといいます。宇宙開発は「いわば国民がスポンサー」だとして、産業や経済の幅広い分野の発展につながるものであるべきだという川口教授の話を聞き、宇宙が少し身近に感じられました。(槍田真希子)

2011年5月放送

[Today's Pick]

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 かつて外国人の登用に消極的と言われた日本企業の姿勢が変わり始めています。「ユニクロ」を展開する世界4位の衣料チェーン、ファーストリテイリングは2011年に700人以上、2012年には新卒採用の約80%に当たる1050人の外国人採用を予定しています。こうした動きは大手企業だけでなく、海外市場に活路を見出そうとする中小企業にも広がりつつあります。一方、外国人の登用にとどまらない戦略を打ち出す企業もあります。インターネット通販の楽天は社内の公用語を日本語から英語に変えて、日本人社員も会議などを英語で行うことにしました。しかし、東日本大震災と福島原子力発電所の事故は日本で働こうという外国人たちの心に大きな変化を及ぼしています。世界市場で勝負するため国籍にこだわらず優秀な人材を確保しようと動く日本企業、そこで働く外国人たちの仕事ぶり、そして震災後の動向をリポートします。

[Newsmaker]

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 アサヒビールは2010年、日本のビール系飲料でシェア1位となりました。1980年代前半までは競合他社に押されてシェアが下がり続けていた下位メーカーでしたが、1987年に発売した「スーパードライ」が大ヒットして業界トップ企業に躍進。そして今、日本のビールのトップブランドとなった「スーパードライ」を武器に、海外市場を攻略しようとしています。最近では中国の食品・流通最大手企業や大手ビールメーカーに出資したりオーストラリアの清涼飲料大手を買収するなど、M&Aを積極化。海外展開を加速しようとしています。泉谷直木社長に、海外市場攻略の展望を聞きます。

[取材後記]

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 今回、日本企業の取り組みを目の当たりにして、一時的にでも仕事の効率が下がったり社内に混乱をもたらすリスクを顧みずに、組織のあり方を変えようとする姿勢に感銘を受けました。外国人社員は積極的で自己アピールが上手な人も多く、日本人社員にとっても良い刺激になっているという企業もありました。また、広がりつつある企業の英語化について日本で働く外国人に話を聞いたところ「日本人と同じ条件の下で仕事ができ、公平に評価してもらえるように感じる」と好評でした。そうした取り組みが、より優秀な外国人を日本企業にひきつけ、経済全体の競争力を高める原動力の1つになるかもしれません。

 日本では、飲食店に入ると「まずビール」と注文する人が多いのではないでしょうか? 何気なく飲んでいるように感じますが、「選ばれる銘柄」となるために商品のイメージづくりから消費者の心理状態の分析まで、想像を超えるマーケティング技術が駆使されています。海外メーカーとの激しい競争にさらされる中で、商品を差別化するには「品質の中でも精神的な品質、つまり高い満足感を提供することが重要だ」と話す泉谷社長の言葉が印象的でした。(槍田真希子)

2011年4月放送

[Today's Pick]

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 3月11日に発生した東日本大震災は、日本の産業にさまざまな影響を与えています。東北地方の工場の多くが被災したため、さまざまな部品の供給が不足。自動車や電機など国内外のメーカーの生産に大きな支障が出ています。そんな中でも、多くの部品メーカーは供給を滞らせないよう奮闘しています。宮城県に拠点を持つある中堅自動車部品メーカーも、取引先の被災や電力不足といった問題に直面しながら自家発電で生産を継続。こうした製造現場の姿と、自動車産業の現状をリポートします。一方、この地震で日本の技術力の優秀さが証明された分野も少なくありません。例えば新幹線は大地震の瞬間、安全に停止し死傷者は出ませんでした。東京の高層ビル「六本木ヒルズ」は独自の耐震設計で大きな揺れに耐えるとともに、震災後は自家発電の余剰電力を東京電力に販売して電力不足を補う役割を担いました。また、震災時の避難場所としての都市インフラ機能も備えています。今回は大震災から見えてきた日本の産業の課題と実力を報告します。

[Newsmaker]

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 航空機から釣りざおまで、多様な用途に使われている炭素繊維。水の浄化や海水の淡水化に使われる逆浸透膜。これらの分野で世界トップ級のシェアを誇るのが、総合化学メーカーの東レです。1926年の設立以来、衣服などに使われる化学繊維を生産してきましたが、炭素繊維をはじめとする高機能・高付加価値の素材の開発に注力することで今や世界有数の先端素材メーカーとなりました。「技術開発が会社の生命線」と語る榊原定征会長に、同社の技術の特徴や今後の展開について聞きます。

[取材後記]

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 今回訪ねた自動車部品メーカーの工場は、震源地に近い宮城県の海沿いにありました。津波は海岸線から数キロメートルの内陸に押し寄せ、目の当たりにした被害の大きさは想像を超えていました。一方で、津波を免れた地域は被災の度合いがぐっと小さく、日本の耐震技術は確かなもののように思えました。工場の経営者は「1つでも部品が欠ければ、自動車は完成しない」と言って、地震の10日後には工場の一部を稼働させ、被災した従業員も必死で部品の製造にあたってきたといいます。取材の間も余震が続き、恐怖を感じましたが、そんな環境下で部品の供給を続けようと懸命に取り組む人たちの姿に心動かされました。

 普段、身の回りにあるものがどんな素材で作られているのか意識することは少ないのですが、服の繊維や食べ物を包装するフィルム、浄水器のフィルターからテニスラケットまで、東レの素材が使われている製品の多種多様なことに驚かされました。いま注目される炭素繊維事業は長く赤字続きでしたが、「必ず21世紀の基幹材料になる」と信じ、40年余りをかけて開発を続けてきたといいます。新しい素材を生み出すには「時間とお金、そしてそれを容認する経営者の意志と忍耐力が必要」だと言う榊原会長の言葉が印象的でした。(槍田真希子)

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