ティエリー・ポルテ 新生銀行 社長
顧客の視点を大切に

新生銀行が過去4年で拡大させた個人向けビジネスは、まず顧客の視点から始めた。顧客が既存の金融サービスに抱いていた不満は「休日にATMが使えない」「自分のお金を引き出すのに手数料がかかる」「あまりにも金利が低い」といったことだ。こうした点を意識して準備し、万全の対応をめざした。
コンピューターシステムはインドのソフトウエア会社と提携して全面的に作り直した。新しいシステムは最高品質で最低コストと自負している。ATM手数料はゼロで、毎日使える。自宅でも取引できる。多くの顧客が元本割れは嫌うが満期変動の可能性は受け入れる傾向をとらえて作った、満期を銀行側が決める代わり利息は高めの新型定期預金も好評だ。
通常型の支店、行員数人の小型店舗、提携先を含むATM、そしてインターネットと新生銀を利用するルートは多様。顧客が選べることが重要だ。「口座開設は対面で、その後の個別の取引は電話を望む」という顧客もいるだろうし、人それぞれ考え方は違う。
残る重要な作業は、退職後の高齢者顧客を開拓すること。重要なセグメントになるのは間違いない。50、60歳代の人たちもネットを学び始めておりこうした世代の実像は変わりつつある。
1990年代の「金融ビッグバン」以来、銀行経営の自由度はかなり増した。まだ改善の余地はあるだろうが、過去と比べればかなり大きな進展があったのも事実だ。
銀行が産業を育ててきた良い経験が日本社会にはある。これまで15年、金融システム全体の資産が傷つき、資金が回らなくなった。小泉純一郎首相や竹中平蔵氏の改革で支障は取り除かれた。
[10月25日/日本経済新聞 朝刊]
|