黄 昌圭 サムスン電子 半導体総括社長
リスク冒し新市場開拓

21世紀は相互依存の時代だ。どこの国も企業も単独では成長できない。同時にIT(情報技術)業界では大きな変革が起きている。通話や映像受信など様々な電子機器の機能が一つに集約されていく融合と、デジタルコンテンツの流通の増大だ。変化の激しいなかでは、サムスン電子も他社との協力なしには成長できない。
ITの変化を支える一つの技術は当社のフラッシュメモリー(電気的に一括消去再書き込み可能な半導体メモリー)だ。今年9月には容量16ギガ(ギガは10億)ビットのフラッシュを開発した。これを使った32ギガバイトのメモリーカードには200年分の新聞のデータを収められる。
私は2002年の学会で半導体の需要の中心がパソコンから携帯電話やデジタル家電に移ると予測した。今年は転換点だ。また、その際に「メモリーの集積度は1年で倍増する」と唱えたが、6年連続で実行している。
重視しているのは研究開発だ。我が社は大容量フラッシュメモリーやDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)、大画面テレビなど世界初の製品を生み出し続けている。市場の揺籃(ようらん)期に最先端製品を投入して市場を支配する。
世間ではリスク管理の重要性が説かれるが、もっと大切なのはリスクをとることだ。世界の先頭を走るには、有力なパートナーと早い段階から協力し、リスクを共有する必要がある。
米アップルコンピュータの「iPodナノ」や、ソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション・ポータブル」には当社のメモリーが使われている。魅力のある新製品を出すにはリスクを冒して、新しい市場を開拓する姿勢が必要だ
サムスンの売り上げは韓国の国内総生産(GDP)の18%と輸出総額の21%を占める。04年にはエレクトロニクス業界では世界で唯一、100億米ドル以上の純利益を稼いだ企業だ。ただ、今までの業績に安住すると、明日にも傾きかねない。研究開発投資や設備投資を続け、幅広い事業でバランス良く成長する必要がある。
日本は半導体部材や製造装置などの有力メーカーが多い。単なる売り手と買い手の関係ではなく、ともに成長する戦略的なパートナーとしての関係を日本企業と築いていきたい。
[10月25日/日本経済新聞 朝刊]
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