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対談
カルロス・ゴーン日産自動車 社長兼CEO
西岡 幸一日本経済新聞社 コラムニスト

将来見据え経営柔軟に

カルロス・ゴーン氏

 ――日産自動車の経営トップとして経営計画を達成したが、外国人だからできたのか。

 「1990年代の日産は経営計画を作っても成果を出せなかった。それは純粋にマネジメントの問題。誰かが社員に正しい目標を示し、難しい決定を下さなければならなかった。成功要因を私が外国人であることに求めるのは間違い。既成概念を捨てることが1番大事。外国人でも、思い込みがあるかもしれない」

 ――ゴーン改革の柱の一つ、「ケイレツ」破壊の考え方を修正することはあるか。

 「ケイレツ自体は否定しない。機能している会社もある。ただ、日産の場合は業績の足かせになった。透明性もなく解体した。より力強い関係を一部取引先と結ぶことはありうるが、古いやり方に戻ることはない」

 ――今春、仏ルノーのCEOにも就任した。ルノーに持ち帰る日本流の経営手法はあるか。

 「日産に来た当初の私と今の私は違う。日本企業に触れ、多くを学んだ。それをルノーに入れようとしている」

「一つ目は単純な形で実行すること。日本人は複雑さを疑問視し、実行の質とスピードを追求する。それを欧州でもあてはめたい。二つ目はプロセスを重視すること。三つ目は、ある一つの強みを他の領域でも生かす考え方。例えば、生産プロセスを販売現場に生かせば、すばらしい結果が得られる。日産とルノーの間で、ベストプラクティス(最も良い手本)の交換を続けていく」

カルロス・ゴーン氏  ――かつて日本の産業界は自動車とエレクトロニクスが主役だった。しかし、今は自動車の存在感が一段と高まった。

 「自動車業界は整理・統合途上にあり、有力メーカーが集中している国は日本、韓国、ドイツ、フランス、米国だけだ。その中で日本には規律、プロセス、顧客志向、即応性という基本的な文化の環境がある。力強い会社には、さらに強い家族的なきずなや力強いリーダーシップがある。その条件を考えれば今後存続できる会社も分かる」

 ――回復を目指す時と、成長しようという時でリーダーシップのあり方はどう変わるのか。

 「状況の変化に応じられる柔軟な経営が大切だ。例えば、2010年の日産は05年の日産と違う経営を求めるはずだ。経営者は即応するだけでなく、将来の状況を予想して、経営手法も組織も人事も変えなければならない。経営陣は自分のなじみのない立場、反対の立場から、どうすればよいか考える力が必要になってきた」

 「日産とルノーには全く異なるアイデンティティー、文化、歴史がある。もし、両社が合併してアイデンティティーを失えば、社員があいまいな目標しか目指せなくなる。私が経営トップの間は日産とルノーを合併させることはない」

(聞き手は西岡幸一本社コラムニスト)

[10月25日/日本経済新聞 朝刊]
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