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基調講演
楊 元慶レノボ・グループ 会長

環境・ニーズ、迅速に対応

楊元慶氏

 米IBMのパソコン事業を買収し、世界三大パソコン会社の一つとなった。短期間に持続可能な成長を可能にしたのは、戦略による。レノボはそれぞれの段階で戦略に基づき、三つの成長段階をたどってきた。

 まず、中国が計画経済から市場経済に移行する時代、事業インフラが整っていない環境に適応することを学んだ。そこでの競争はウサギとカメの競争に似ている。ウサギは平らな道では勝つが、泥沼ではカメが勝つ。レノボはカメだ。中国や国際社会でどうやって生き残るかを知っている。

 次の成長段階は独自ブランド製品の販売だ。1990年以前は米ヒューレット・パッカードなどの製品を売っていたが、90年以降、独自ブランドを展開。はじめは2万台程度しか売れなかったが、取引を拡大させた。その成功のカギとなったのが顧客戦略だ。

 レノボにはパソコンを頻繁には買い替えないが買うときは最新のものを欲しがる「取引志向型」の顧客と、求めるサービスを自分で決め、交渉力を持つ「関係中心型」の顧客がいる。前者の主要顧客は中小企業や教育機関などで、後者が大企業や政府機関だ。

 中国では7割が取引志向型の顧客。我々は製品在庫などに応じて供給量を迅速に変化させることで対応する体制を整えた。

 最後の成長段階がIBMのパソコン事業買収によるレノボのグローバル化だ。今のところ事業と社風の統合は非常に円滑に進んでいる。7月の底値から株価は約54%上昇した。金融機関や市場の新しい会社に対する信頼感の表れといえる。

 円滑に統合が進んだ要因としては大きく三つある。一つ目は財務分析を含む徹底した戦略だ。12億5000万ドルという大金の代わりに得たものは、グローバルな販売網のほか、ブランド、商品開発力、企業顧客、一級の経営スタッフなど多い。

 二つ目がはっきりとした方向性。旧IBMの経営者を最高経営責任者(CEO)にしたという決定は交渉時点で決めていた。

 三つ目は合併後も慎重に振る舞ったことだ。顧客、従業員、チャネルを混乱させないことを重要視した。この結果、顧客の9割が積極的に反応してくれ、従業員でやめた人も2%以下だ。

 新しいレノボは利益を伴った成長を追求する。中国で成功したビジネスモデルを、ブラジルやインドでも立ち上げる。レノボ・ブランドも促進し、コスト構造も改善する。レノボは5年たてばより成功した有名企業になっているだろう。

[10月25日/日本経済新聞 朝刊]
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