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基調講演
後藤 卓也花王 会長

開発の連鎖、成功のカギ

後藤卓也氏

 事業の成否は企業の総合力の発揮にかかっている。総合力とは需要の発掘力や市場の変化・動向を把握し適応する力であり、商品開発力、研究開発力、生産力、宣伝も含めた情報伝達力、営業・販売力などである。多様な力が相乗効果を発揮してこそ、事業は成功する。

 当社は1997年にパソコン用フロッピーディスク事業からの完全撤退を決めた。同事業の売上高は800億円強と、当時の総売上高の10%近くを占め、世界市場で1―2位のシェアも確保していた。しかしソフトもハードも持たず、総合力が発揮できないと判断した。

 1982年に始めた化粧品事業は「花王に感性に訴える仕事ができるのか」などとの批判もあった。しかし、販売チャネルなどのインフラ活用が可能で、総合力が発揮できるとの信念でがんばり続けた結果、今では収益事業になっている。

 ただメーカーの成長の原動力となるのは、技術力だ。宣伝の力も大きい消費財ビジネスだが、しっかりした技術がなければ、消費者は二度同じ商品を買ってくれない。

 生産現場と開発、原料という素材開発と応用加工など、技術の連鎖を考ることが重要だ。中核技術を見極め、技術の集中と選択を進めていくために、経営陣は技術の目利きが重要になっている。

 企業経営上、今日明日の飯の種を考えていくことが大事だが、基盤研究は成果が出るまで時間がかかる。経営幹部が研究開発会議に参加するなど、経営の方向性と研究開発の方向性との整合性をとるため、様々な努力をしている。研究成果も、できるだけ全社で共有し、技術の横展開ができるようにしている。消費者に本当に価値のある商品の開発を通じ、今後も成長を図っていきたい。

[10月25日/日本経済新聞 朝刊]
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