パトリック・トマ エルメス 共同CEO
徳田 潔 日本経済新聞社 日経MJ編集長
ブランドとは生き方

――エルメスにとってブランドとは。
「生き方だ。それを皆で分かち合うことが我々のブランドだ。エルメスの世界を意味するサインでもある」
――ブランドにとって1番大切なものは。
「クラフトマンシップ(職人技)だ。当社では職人1人ひとりが製品を手作りしており、例えば革製品では1300人の職人が働いている。二つ目はデザインや形などのスタイル。三つ目はノウハウを守るやり方だ。商品の90%を内製化することで独自性を守っている」
――エルメスでは1人のアートディレクターの下で、約70人のデザイナーが自由に動きながら、共通のスタイルになっていると聞いた。企業文化をつくる上でも、多様性と統一性のバランスを取る秘訣は。
「多様性がなければ先はない。エルメスには世界のさまざまな文化が息づいている。過去にはエルメスのデザイナーが1カ月、日本のさまざまな職人の下で研修したこともある。こうした多様性を束ねて道筋を付ける企業哲学が必要だ」
――トップとしての役割は。
「企業の戦略とビジョンがしっかりしているか見極めること。私は六代目の経営者となるが、五代目までのトップは創業者のビジョンを大事にしてきた。私は同族でない初めてのトップになる」
「私はこれまでの経営者と同じ方向を見ながら、違った立場でいろいろな展開をしていく。エルメスらしさは何も変えない。しかし、戦略はいろいろ変えていく必要がある」
(聞き手は徳田潔・日経MJ編集長)
[10月25日/日本経済新聞 朝刊]
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