鈴木 茂晴 大和証券グループ本社 社長
敵対的買収増えない

UFJホールディングスを巡る三菱東京フィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループの争い、ライブドア対ニッポン放送に見られるように日本でも敵対的買収を含めた企業買収が当たり前の時代になってきた。大和証券グループ本社はいずれの事例においても現場に近いところに身を置き、時代の変化を感じ取ってきた。
傘下の大和証券SMBCのM&A(企業の合併・買収)部隊は担当役員以下100人の陣容で国内でも大手の一角を占める。4、5年前まで日本企業のM&A市場を席巻していたのは外資系投資銀行だったが、最近は国内系が盛り返している。
M&A手法の多様化、国境を超える案件や敵対的買収の増加などで投資銀行が持つ専門的なアドバイスが求められている。証券会社にとって大きな商機が到来しているのは間違いない。
最近注目を集めているのが買収防衛策だ。多くの企業が新株予約権を活用した毒薬条項(ポイズンピル)や授権資本枠の拡大などを導入、または検討している。しかし、大和証券SMBCが議決権行使状況に関するアンケートを実施したところ、半数の投資家が導入に反対と回答した。特に海外の投資家の反対は顕著だ。
一方、米国企業の買収防衛策の導入状況を見てみると、株価指数S&P500を構成する企業の半数強が導入済み。米国の主要企業で毒薬条項を行使した事例はないが、(買い占めた株を高値で買い戻すように企業に迫る)グリーンメーラーなどに買収を仕掛けられた際の時間稼ぎには効果を発揮する。
自発的に上場を廃止する企業も出てきた。企業防衛という観点からは最大の防衛策だが、株主への影響を考える必要がある。間違っても経営陣の保身であってはならない。
ただ私は敵対的買収がさほど増えないと見ている。世界でのM&A件数は2004年に2万3000件あったが、敵対的案件はわずか百件。友好な方が買収後がスムーズに進むためだ。
世界的な金融再編の中で、時価総額1兆2000億円の大和を買いたいという会社が現れる懸念は常にある。潜在力を考えれば株価は安すぎると思うが、これが現実だ。利益を上げて株価上昇を目指すしかない。現在は外国人株主が32%程度だが、今後は個人株主を開拓したい。
[10月26日/日本経済新聞 朝刊]
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