ダン・クエール サーベラス・グローバル・インベストメンツ 会長
「日本復活」確信揺るがず

多くの海外経済ニュースはインドや中国ばかりをアジア地域における有望な投資対象として注目しているようだが、私は「日本に注目せよ」と言いたい。中国は失業問題を抱えているうえに、金融システムが脆弱(ぜいじゃく)。インドは公的金融がよろよろしているし、核保有国のパキスタンとの間にはカシミール問題がある。
日本の企業業績の先行きは明るくなっているし、法律や社会資本は整備され、労働者の質は高い。特に、不良債権処理の進展は日本経済を回復に向かわせた。金融セクターが回復することで、投融資といった経済資本の不足が解決できた。国際通貨基金(IMF)が日本経済の見通しを上方修正するなど、「日本経済が低成長・デフレ経済から抜け出す」という見方はほとんど国際的な共通認識になっている。
サーベラスは過去8年間で、80億ドル(約9200億円)を超える企業再生投資をしてきた。主な投資対象はあおぞら銀行や国際興業などだ。他の投資ファンドなどが日本から撤退するのを横目にサーベラスが長期投資の姿勢を取るのは、日本経済は必ず復活するとの確信があったからだ。
サーベラスはMCI(旧ワールドコム)など米国の企業再生分野で実績がある。特徴としては長期投資で、170億ドル(約2兆円)の運用資産を持ち、ノンバンクのように融資機能も備えている。事業再構築のノウハウはもちろん、規制当局、労働組合、銀行など様々なプレーヤーとの交渉にもたけている。
今後、日本経済の回復が本格的に軌道に乗るためには条件がある。小泉改革と同様に個別企業も事業の再構築に挑む必要がある。経済のグローバル化に伴って日本の企業は競争にさらされているからだ。事業の見直しを検討すべき企業の例を挙げると、(1)大きな資産に見合った現金収支を上げていない(2)整合性のある事業戦略がないまま多様な資産を抱える(3)株価が事業価値を大きく下回っている(4)ALM(資産・負債の総合管理)が不十分(5)本業からの現金収支だけでは借入金を返済できない――などの場合だ。
グローバル化は日本経済を潤す。日本企業が一層の事業の再構築に挑むだけのリーダーシップと勇気があれば、好条件の雇用機会も増える。中国やインドに席巻されることはない。
[10月26日/日本経済新聞 朝刊]
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