グスタフ・フンベルト エアバス 社長兼CEO
異文化融合、成功の動力

エアバスの航空機の世界シェアが50%を超えたのに、日本では4%にとどまる。だが航空機の品質、技術、燃費が評価され、いずれ10%を超えると確信している。
エアバスが誕生した1970年、空の市場は米国企業の独壇場だった。最大手のボーイングは我々を歯牙にもかけなかったが、革新や経済的な利点を顧客に提供することで世界最大の航空機メーカーになった。つい10年前に18%だった世界シェアは、98年以降ボーイングと肩を並べ、昨年は57%となった。
成功の原動力は多様な人材だ。執行委員会メンバーの国籍は5カ国にまたがる。私のパスポート上の国籍はドイツだが、心は“エアバス国籍”と感じている。異文化の融合した多様性こそが成功をもたらした。
次の目標は何か。超大型で航空会社にとって費用対効果が大きい「A380」の初飛行に成功した。今月初めには中型機「A350」の開発着手を正式に発表した。今後は欧州の枠を超えてグローバルな産業ネットワークを確立したい。欧州だけに閉じこもっていては成長を持続できない。
欧州以外にもエアバスと成功を分かち合い、パートナーとなりたがっている企業がある。我々としても、巨額になる一方の開発資金面での協力だけでなく、技術者など頭脳の面でも外部に協力を求める必要がある。
1984年に開発に着手した「A320」は開発費の全てをエアバスが引き受けたが、その後の「A330」「A340」では3%を外部が分担した。2000年に開発を始めたA380では全体のプログラムの20%をパートナーに任せており、A350にいたると25%まで上がる。しかもA350はロシア3%、中国5%を含んでいる。
エアバスは世界に160カ所のオフィスがあり従業員数は約5万5000人。その国籍は80カ国以上で、使用言語は20言語にもなる。設計センターは世界7カ所にある。日本は製造だけでなく、設計の面でもかかわるチャンスがあるだろう。
次の15年を見据えると、競争と協力の関係について深く考えざるを得ない。航空機業界では協力している相手が同時に競争相手でもあるケースが多い。エアバスには文化の多様性という強さがあり、うまく道筋をつけられればエアバスとパートナー双方の利益を最大限に引き上げることができる。
[10月26日/日本経済新聞 朝刊]
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