小野寺 正 KDDI 社長
通信会社はサービス業

いつでも、どこでも、どんな情報でも簡単にコミュニケーションできるユビキタス時代には、通信の対象が人と人だけでなく、人とモノ、モノとモノへと拡大する。こうしたユビキタス社会の到来を前に通信事業者は転換期を迎えている。
通信設備を拡大すれば自動的に需要が増えた時代は終わり、顧客ニーズに個別対応することが求められるようになった。マーケティングを軽視する設備産業から、顧客志向の強いサービス産業への転換を迫られている。
新しいニーズを発掘するためにも通信事業者はコンテンツ(情報の内容)会社など外部との協業が欠かせない。従来の電気通信市場の規模は約17兆円だが、周辺の情報通信分野を入れると120兆円。この市場にどう切り込むかが課題だ。
例えば携帯電話ではすでに通信事業者がコンテンツを含むフルサービスを提供している。携帯電話は外界のあらゆるものと接続する「パーソナルゲートウエー」になりつつあり、将来はポケットの中に入っているものすべてが携帯電話の機能に組み込まれる。いずれクレジットカードや小銭の入った財布や定期券を持ち歩く必要はなくなる。
変革期を迎えた通信ビジネスでは顧客はもちろん株主などすべてのステークホルダー(利害関係者)の満足度を高めることが重要。当社ではCS(顧客満足度)を一歩進めた「TCS(トータルCS)」という活動に取り組んでいる。前線の営業部門から後方支援部門まで全社員が顧客満足を意識することで、価値創造企業としての方向をはっきり示し知的競争力を高めていきたい。
[10月22日/日本経済新聞 朝刊]
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