日経フォーラム世界経営者会議
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<パネリスト>
大浦 溥 アドバンテスト 社長

ハワード・シュルツ スターバックス コーヒー 会長 兼 チーフ・グローバル・ストラテジスト

ジェッド・A・スミス ドラッグストア・ドット・コム 創設者

モデレーター:ダニエル・I・オキモト
 スタンフォード大学 A/PARC 名誉所長

成功達成の尺度統一を
「ニューマーケットの創造と世界展開」をテーマにパネル討論

 第2回日経フォーラム「世界経営者会議」は31日午後、「ニューマーケットの創造と世界展開」をテーマに、アドバンテスト社長の大浦溥氏、米スターバックスコーヒー会長のハワード・シュルツ氏、米ドラッグストア・ドット・コム創設者のジェッド・スミス氏が講演。その後、会場からの質疑を交えながらパネル討論を展開した。司会は米スタンフォード大学アジア太平洋研究センター名誉所長のダニエル・オキモト氏。=文中敬称略

 ――企業が成功するうえで人材は重要だ。従業員の質や忠誠心を高めるために何をしているか。

 大浦 社員の意欲を刺激するためにストックオプション(自社株購入権)制度を導入したが、それよりも大切なのは社員の達成感をどうやって満たすかだ。当人にとって難しい仕事でも挑戦してもらう。若い人が難しい開発に成功すれば達成感は大きいだろう。

 スミス ストックオプションが忠誠を保つ源とは思わない。顧客を重視した共通のビジョンの下で働くことが大切だ。普段から顧客のニーズに接している従業員が、ビジョン作りに参加することが重要だ。

 シュルツ 優れた人事機能があったとしても、従業員を大切にしないと事業はうまくいかない。経営者が従業員に伝えるメッセージは常に一貫していなければならない。

 ――経営ビジョンを達成するためには、従業員に何を求めればいいのか。

 大浦 当社は優れた従業員が発揮する能力を分析した上で複数の項目を定義付け、これを元に社員を評価する人事考課制度を導入した。基準は営業やSE(システムエンジニア)など業務によって異なる。

 シュルツ 当社の従業員の大半は店舗で働いている。数年前から、「オープンフォーラム」と呼ぶ地域別の集まりを四半期ごとに行っている。経営者もパートタイマーも一緒に参加し、例えば、会社に不満があれば経営陣を批判しても仕返しされることはない。ここで起きた創造的な論争は当社に大きな価値をもたらしてきた。

 スミス 従業員への対応は企業によって異なるが、大切なのは成功を達成するための尺度を統一し、全従業員が共有することだ。社員との関係の中でビジョンを形成することで、創造性が強化できる。

 ――財務諸表に表れない人材の良しあしを評価するのは難しいのでは。

 大浦 当社は「AVA」と呼ぶ経済付加価値を評価の基準にしている。資本を使ってどれだけ収益を生みだしたかを測る指標だが、個々人の仕事の成果も反映される。社員の日々の仕事ぶりを入力する「ABC(アクティビティ・ベースト・マネジメント)」という仕組みも導入した。

 シュルツ 会社が大きくなると、社員の魂が企業から離れてしまう可能性がある。従業員の心を推し量るのは難しいが、当社では、社員の忠誠心を表す出来事があった。カリフォルニア州の店舗の店長が7800万ドルの宝くじに当たり、全国のメディアに紹介された。その店長は、当選の翌日も出勤した。仕事と顧客を愛しているからだ。

 スミス 企業は生き物であり「心」を持っている。従業員が代わっても、変わらぬ価値観を生み出せるような企業文化を培うことが重要だ。米国企業の生産性が高いのは、社員に力を与えているからだ。

 ――企業が巨大化すると、悪い情報が経営者に伝わらなくなるのでは。

 シュルツ 私が最高経営責任者(CEO)を辞めて会長になったのもそのためだ。ある日、世界中のスターバックスで働いている従業員がわからなくなってしまうのでは、と恐ろしくなり、現場との接触を増やすことにした。人はだれでも、いつも成功するとは限らない。組織が従業員の失敗を許す気持ちがないといけない。

 ――日本はいったん事業に失敗すると、やり直すのが難しい雰囲気がある。

 スミス 米でもベンチャー企業の3割は失敗し、5割はまあまあ。大成功は2割にすぎない。成功に至るまでは、だれでもつらい時期を経験する。経営者は常にリスクを取る気持ちが重要だ。失敗した経験がやがて成長につながる。

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