日経フォーラム世界経営者会議
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証券ビジネス、ITで一変
ヘンリー・M・ポールソン Jr. ザ・ゴールドマン・サックス・グループ 会長 兼 CEO

 グローバル化と情報技術(IT)革命の進展により、世界経済はかつてないような変化に直面している。この中で、日本が規制を緩和し、真の市場経済に移行するならば、繁栄を享受できるだろう。IT革命にどう対応するかが日本にとって大きなポイントになる。

 ゴールドマン・サックスは謙虚な気持ちでITをビジネスに取り入れてきた。投資銀行の業務をインターネットという視点から見直し、ビジネスモデルを向上させている。例えば最近では、他社の買収により、米国株式市場で最も進んだ電子取引の技術を獲得した。日本でもネットを通じた債券販売の手法を導入している。ITが証券ビジネスを様変わりさせており、この変化に敏速に対応するように努めている。

 残念ながら、現在の日本は世界経済の競争の中で後れをとっている。企業の株主資本利益率(ROE)は1980年には米国と同じ12%だったのが、現在はわずか3%と、米国の29.6%に大きく引き離されている。他の国は障壁を取り除き、市場を開放して競争原理を積極的に導入したのに対し、日本はそうしなかったためだ。

 IT革命は日本にとって大きな利益をもたらす。日本はすでに、ITと製造業を結びつける技術に関しては世界のリーダーだ。現在は競争力がない日本の産業も、ITを取り込むことによって競争の先頭に立つ可能性がある。

 市場の開放が産業を活性化させるいい例が、日本の携帯電話だ。市場を自由化したことで、新規参入や加入者が急増し、世界に誇る携帯電話市場を作りあげた。NTTドコモはiモードの成功で、携帯電話で世界のリーダー企業に成長した。

 日本に起業家精神が欠けているとは思わない。欠けているのは起業家精神を発揚させる制度だ。米国でネットの起業家が会社を設立する費用は75ドルで済むのに、日本では総額で110万円かかるという話もある。

 ゴールドマン・サックスは日本の起業家精神を信じている。今年、京セラとベンチャーファンドを設立し、日本のベンチャー企業に5500万ドルを投資した。日本は大きな潜在能力を持っており、競争原理の導入により日本は最終的な勝者になると確信している。

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