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リー・クアンユー氏
シンガポール上級相
 欧米の価値観と一線

 シンガポール建国の父。信条とする現実主義に基づいて、日本の淡路島ほどに過ぎない小島を先進国並みの豊かな国に変ぼうさせた。90年に31年間務めてきた首相の座をゴー・チョクトン氏に譲って上級相に就いた後も、同国の内政、外交に大きな影響力を持ち続けている。アジアを代表する政治家の一人として世界を飛び回り、欧米の価値観とは一線を画す「アジアの価値」を各国の政治家らに説いている。

 98年5月にインドネシアのスハルト前大統領が退陣したため、67年の東南アジア諸国連合(ASEAN)発足に立ち会い一貫して現役の政治家を続けているのは一人だけになった。最近は、現在の豊かさを当然と思う自国の若い世代に、シンガポール建国の苦難をどのように伝えるかに腐心している。

 98年9月に初めて自筆の回想録をまとめた。その中でマレーシアからの独立を語るくだりが両国間の緊張を高め、話題を呼んだ。99年1月、日本経済新聞に「私の履歴書」を掲載した。

 金融改革の旗を振る長男のリー・シェンロン副首相は次期首相候補。二男のリー・シェンヤン氏はシンガポール・テレコム社長としてビジネスの最前線に立つ。英ケンブリッジ大卒、75歳。

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