Asia 99

中国銀行董事長、人民元切り下げを否定

 国際交流会議「アジアの未来」出席のため来日した中国銀行の王雪冰董事長兼行長(会長兼頭取)は4日、都内のホテルで日本経済新聞記者と会見し、前日国際金融市場で急浮上した人民元の切り下げ観測について「現在の情勢から見て、切り下げの可能性はない」と否定した。同銀行の不良債権問題を処理する専門会社を今年後半に設立する方針を表明。不良債権処理には7年かかるとの見通しを示した。

 国際市場では国際業務を主力とする同行が2日、取引先金融機関に中国への人民元送金の禁止を通知したことから「中国国内でも外貨との交換が停止される恐れがある」との見方が浮上、元切り下げが差し迫っているとの観測が流れた。

 王董事長は(1)外為業務が他の商業銀行にも許可されるようになった(2)海外からの送金の需要が減った――との理由から「コストを考えて業務を停止することを決定した」と説明。豊富な外貨準備などを背景に当面、元切り下げの可能性がないことを強調した。

 同行の不良債権については98年末時点で(1)返済期限を過ぎて1年以内の延滞債権(2)1年以上の延滞債権(3)回収不能債権――の合計が資産の10.29%に上ることを明らかにした。

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